皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)は多彩な皮疹を呈する疾患であり,その正確な診断は時に困難である.菌状息肉症は,CTCL中で罹患頻度が高い疾患であり,菌状息肉症はステージ別・病型別にその病態を理解することが,正しい診断・治療に結びつく.CTCLはその疾患の多様性から,移行期~進行期にかける治療は多岐におよび時に治療の選択が困難であることがある.それゆえ,腫瘍内免疫環境の理解など基礎医学的知識から薬剤の特性,さらにそれらの臨床試験における成績を総合的に理解して,患者の個別化利用を進めることが重要である.CTCLは未だ,上記のいずれも十分に解明されていない未開の疾患である.今後,これらの知見が一つずつ進歩することにより,CTCL患者の治療が進化することを期待する.
菌状息肉症以外の皮膚リンパ腫は希少な疾患であり,診断名自体が生命予後に直結する.従って,治療選択に対して病型診断は重要である.インドレントと考えられている原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫,原発性皮膚辺縁帯リンパ腫,原発性皮膚濾胞中心リンパ腫などの1次治療は局所療法である.皮膚病変に対しては手術療法,放射線療法以外に,その性状に応じてステロイドの密封法や局所注射も選択可能で,皮膚科医が診断から治療まで担当すべき疾患群である.アグレッシブタイプの1次治療は,多剤併用化学療法を含む全身療法である.その担当診療科は,個々の施設の特性や主治医の経験などに依存する部分もあるので一定した見解はないが,診断や治療方針の決定,治療後の経過観察には皮膚科医が関与すべきである.
皮膚T細胞リンパ腫に対する抗CD30抗体薬物複合体ブレンツキシマブ ベドチン(BV)の国内第2相医師主導治験の結果について概説する.本治験はCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫を対象に実施され,良好な有効性と安全性が示された.さらに治験運営の工夫やコロナ禍対応,今後期待される新規治療薬についても解説する.
80歳女性.右頬部の紅色結節を主訴に受診.部分生検でケラトアカントーマと診断,切除術を行った.病理標本上,断端陰性であったが,神経周囲浸潤の像があった.術後2カ月後に局所再発し,再切除標本でも深部の神経周囲浸潤があったことから術後放射線療法を追加した.以後は局所再発や遠隔転移なく経過している.神経浸潤は一般的には悪性腫瘍でみられる病理所見だが,ときにケラトアカントーマでもみられることが報告されている.ケラトアカントーマや類似病変における神経浸潤の意義や取り扱いにつき文献的考察を加えて報告する.
VEXAS症候群は好中球性皮膚症を高率に来たすため,皮膚科医が診断に果たす役割は大きい.過去にSweet症候群と診断した患者がVEXAS症候群であった可能性を後方視的に検討した.結果,難治性皮疹のために複数回生検を施行したHistiocytoid Sweet症候群(HSS)の6例は,VEXAS症候群の特徴と合致していた.今回の既存検体を用いた遺伝子検査ではUBA1変異は同定されなかったが,HSSはVEXAS症候群の初発症状でもあるため,遺伝子検査による早期診断と適切な治療介入が求められる.