2010年代初頭より続く免疫チェックポイント阻害薬の臨床現場への上梓により,現在メラノーマにおける薬物療法は抗PD-1抗体がその中心となっている.他がん種における本邦の抗PD-1抗体を主軸とした複合免疫療法の発展は既にメラノーマの領域を凌駕しており,複数の複合免疫療法,術前補助療法などが既に保険適用されている.一方で,海外では現在もメラノーマに対する多くの臨床試験が行われ,国内では保険承認されていない複合免疫療法も海外では承認されている.本稿ではメラノーマにおける世界の免疫チェックポイント阻害薬の最新治療を紹介し,国内の今後の研究開発のシーズのヒントを含め概説する.
抗PD-1抗体であるニボルマブが上皮系皮膚悪性腫瘍に対して使用可能となった.その結果として,一定数の患者が承認された根拠となる国内治験や各種ガイドライン,その他の報告をまとめた.特に有棘細胞癌及び基底細胞癌においては,海外臨床試験の情報が参照可能である.総じて一次治療として用いても良いエビデンスと疾患背景を持つ疾患群であり,その効果が期待される.
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場はメラノーマ患者の予後を改善し治療戦略を変えたが,重要な課題(効果と副作用の予測と差別化,治療抵抗性の克服など)も見えてきた.ICIを含むがん免疫療法の最大の特徴は長期寛解である.本稿では現状のがん免疫療法の課題を克服しつつ,がん免疫療法の長所を十分に発揮させるために重要な因子について,最新の臨床研究と基礎研究のデータをもとに考察する.
症例1:65歳女性.4年前に肛門管扁平上皮癌の切除歴あり.肛門周囲に紅色調皮疹が出現し,生検の病理所見からBowen病を疑われ受診.症例2:72歳女性.2年前から肛門部の皮膚腫瘤あり,生検の病理所見からBowen病を疑われ受診.いずれも皮膚原発ではなく肛門管由来の扁平上皮癌と最終診断し,消化器内科で化学放射線療法が行われ,完全寛解が得られた.肛門管扁平上皮癌は臨床像,病理像から皮膚癌との鑑別が問題になり得るが,標準治療は皮膚有棘細胞癌やBowen病のそれとは異なるため明確に区別する必要がある.
全身性強皮症にgeneralized morphea(GM)を合併した7例について検討した.全例女性で平均年齢は55.4歳だった.胸腹部や背部に境界不明瞭または比較的明瞭な淡紅色~褐色調紅斑が多発し,6例でチクチクとした痛みや刺すような痛みを伴っていた.GMの分布は,腰のベルトやブラジャーのように,主に下着による慢性の刺激(圧迫や摩擦)を受ける部位に生じていた.病理組織学的には真皮中層~全層にわたって膠原線維の膨化・肥厚がみられた.5例が限局皮膚硬化型,2例がびまん皮膚硬化型の全身性強皮症を合併し,同期間に当科で診断された全身性強皮症におけるGMの発症率は1.5%であった.
皮膚の加齢変化と全身的フレイルとの関連性が明らかになれば,全身的フレイルのリスクを皮膚症状から予見可能となる.そこで研究グループを組織し,皮膚乾燥,かゆみ(搔破痕),老人性紫斑,足爪病変,皮膚萎縮の5項目に着目して横断的調査を行った.65歳以上の男女701名の調査にて老人性紫斑と皮膚萎縮が全身的フレイルと関連することが示され,5項目全体でも関連が示唆された.これらをスキンフレイルと仮称し,今後縦断的研究で全身的フレイルのリスク因子であることを明らかにしたい.