水疱性類天疱瘡(BP)は高齢者に好発する自己免疫性水疱症で,主にBP180に対するIgGおよびIgE自己抗体が関与し,補体や免疫細胞を介する炎症と非炎症性機序により水疱が形成される.治療にはステロイドや免疫抑制剤が用いられるが,高齢者への安全性が課題である.本稿では,DPP-4阻害薬関連BPや2型炎症を含むBPの最新の病態理解と治療戦略について概説する.
天疱瘡の診療に携わる皮膚科医は,患者と一緒に治療の目標である「寛解」をめざして長い道のりを歩く心構えが必要である.天疱瘡診療ガイドラインに基づいた治療成績の検証,現状の天疱瘡治療におけるアンメットニーズ,ステロイド減量中に血清自己抗体が検出されたときの考えかた,再燃・再発が見られた場合の対処法など,できる限り多くの天疱瘡患者で寛解を達成するために有用と思われる情報をアップデートする.
自己免疫性水疱症は,皮膚や粘膜に水疱を生じる高齢者に多い自己免疫疾患であり,治療の中心となるステロイド療法は疾患活動性を制御する一方で,糖尿病,感染症,骨粗鬆症など多様な合併症を誘発する.本稿では,自己免疫性水疱症の治療に伴う合併症の病態と管理について概説する.
自己免疫性水疱症は皮膚の構成蛋白に対する自己抗体が産生されることで水疱などの症状を生じる臓器特異的な自己免疫性疾患である.疾患モデルを用いた研究により自己抗体が水疱形成を生じることが証明されており,これまでに抗体を介した種々の病態機序が明らかにされてきた.また近年明らかとなった新しい病態機序も示されている.本稿では天疱瘡と類天疱瘡に分けて病態の概要を解説し,近年明らかになった新知見についても紹介する.
2018年~2020年に当施設を初診した皮膚悪性黒色腫ステージ0~II:77名とステージIII・IV:25名について,初診から2年間に要した医療コストを平均値で比較すると,医療費11,494,879円(835,530円対12,330,409円),外来通院日数12日(10日対22日),入院日数43日(11日対54日)の差があった.薬剤費の差(8,913,297円)が最も大きく,進行期皮膚悪性黒色腫の医療費を増加させていた.病期I・IIでは,末端型の皮膚病変は,末端型の爪部病変および他の病型より医療費と入院日数が高値であり,術式や術後ケアの差が一因と考えられた.
生物学的製剤を投与中にcutaneous paradoxical reactionを生じた20患者21症例を後方視的に検討した.使用した生物学的製剤は,抗TNF製剤(n=18)が最も多く,新規に誘発された皮膚症状は,乾癬(様皮疹),掌蹠膿疱症(様皮疹)/掌蹠外皮疹,膿疱性乾癬,壊疽性膿皮症,サルコイドーシス等があり,既存の皮膚症状の悪化を3例に認めた.生物学的製剤は10例で継続となったが,11例で中止され,そのうち5例が他剤に変更されていた.本検討は単施設からの報告であり,今後多施設共同研究などにより多数例を解析し疾患ごとの病態の違いや共通する機序が明らかになることを期待したい.
68歳,女性.両下肢・腹部に母指頭大までの褐色結節と,水疱様外観を呈する固い黄色結節が多発した.生検組織像では主に汗腺周囲に限局してアミロイドの沈着が確認された.同部位には形質細胞の浸潤もみられ,免疫染色およびin site hybridizationで免疫グロブリンκ鎖の発現を認めた.血液検査で抗SS-A抗体が陽性,さらに唾液,涙液の分泌低下を認めシェーグレン症候群が判明した.皮膚結節性アミロイドーシスで汗腺周囲に限局してアミロイドが沈着した報告は稀で,自験例を含め4例のみであった.特異な沈着様式を呈した機序について考察した.