日本皮膚科学会雑誌
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95 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 佐藤 仁吾, 山本 康生, 荒田 次郎, 井坂 公
    1985 年 95 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    副腎皮質ホルモンによって惹起されたと思われる蕁麻疹を伴う軽度アナフィラキシーの1例(45歳,主婦)を報告した.デキサメタゾンおよびベタメタゾンの皮内テスト陽性,また3種類の副腎皮質ホルモン外用剤の貼布試験も即時型反応を示した.この結果より副腎皮質ホルモンによって惹起されたアナフィラキシー反応として蕁麻疹が出現したものと考えた.
  • 吉池 高志, 小川 秀興
    1985 年 95 巻 1 号 p. 7-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    伴性遺伝性魚鱗癬患者において,その保因者,正常対照,尋常性魚鱗癬患者,伴性遺伝性眼白皮症を対照として,末梢白血球および角層のsteroid sulfatase活性を測定したところ,伴性遺伝性魚鱗癬患者では本酵素活性が特異的にほぼ欠如していた.低比重リポタンパクの電気泳動移動度もやはり,本症患者では特異的に増大していた.被験試科のsteroid sulfatase活性と保存期間の関係を検討したところ,角層ではその活性を室温下100日以上も失わず,角層試科の遠隔地よりの搬送による酵素診断が可能なことを説いた.
  • 渡辺 光枝, 花輪 滋, 森嶋 隆文
    1985 年 95 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    遺伝性出血性毛細血管拡張症の51歳,女性の典型例を経験し,本症の皮膚の病変血管部,正常皮膚,毛細血管拡張性肉芽腫のplasminogen activatorの局在をfibrinolysis autography(Todd)を用いて検討した.正常皮膚では皮下脂肪組織,真皮下層から中層の血管周囲に局所線溶活性がみられた.遺伝性出血性毛細血管拡張症では病変血管部に線溶活性がみられ,しかも,亢進していることを明らかにし,病変周囲の線溶活性は正常皮膚と同程度であることを知った.毛細血管拡張性肉芽腫では線溶活性は認められなかった.以上の結果から,遺伝性出血性毛細血管拡張症における止血し難い出血は血管異常や血小板異常に加え,病変血管部の線溶活性亢進も関与していることが示唆された.
  • 石田 修, 神保 孝一, 高橋 正昭
    1985 年 95 巻 1 号 p. 17-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    メラノサイト(以下MC)の形態的特徴を定量的に解析するために画像分析法を試みた.実験材料として,レックリングハウゼン氏病(以下R病)のカフェ・オ・レ(Cafe-au-lait)斑を選んだ.正常皮膚とカフェ・オ・レ斑を色調別に生検し,]R離Dopa(Dihydroxy-phenylalanine)標本を作製し,Dopa陽性MCをコンピューターに接続した画像分析装置を用いて二次元的に解析し,形態的特徴を定量的に表現した.結果として,色調の違いによるMCの形態像の差異を定量的に表すことが出来,本画像分析法の有用性がうかがわれた.
  • 高橋 昌江, 手塚 正
    1985 年 95 巻 1 号 p. 23-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    1.遺伝性掌蹠角化腫患者および健常人の足底角層を用い,10%ホルマリン水溶液による固定,無固定に分けてそれぞれ3種類のbufferで抽出を行い,残渣の凍結切片をDACMで染色し,S-S基の局在を蛍光顕微鏡で観察した.2.DACM染色による膜の発蛍光に著しい減弱のみられた無固定試料の上清についてDACM染色後,SDS-PAGEを行い蛍光を持つポリペプチドを検討した.3.SDS-PAGEの結果,患者および健常人試料両者に分子量15,000に強い蛍光を有するTris-HCI buffer可溶性ポリペプチドが検出された.そこでこのポリペプチドを膜の発蛍光物質由来と推定し,分離,精製を試みた.4.この分子量15,000のポリペプチドの構成アミノ酸は患者,健常人検体で大差はなく,1/2-cystine値が約4%と高値を示した.5.抽出前後の試料を電顕的に観察したところ,膜のmarginal bandの変化は認められなかった.これらの結果と角層のSH基,S-S結合は細胞膜周辺に存在している事実を考えると,光顕的にみられたDACM染色陽性物質はmarginal bandのみではなく,それ以外に膜周辺にS-S基にとむポリペプチドが存在していると考えられ,角質細胞膜発蛍光部位はmarginal bandだけではない可能性が示唆された.
  • 斎田 俊明, 石井 晶子, 宇野 明彦, 安藤 巌夫, 山田 清, 柴田 洋一, 土屋 真一
    1985 年 95 巻 1 号 p. 31-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    原発巣が自然消褪現象を呈した興味深い悪性黒色腫症例のリンパ節転移巣を培養材料として,悪性黒色腫の培養細胞株を樹立することに成功した.M-ASと命名したこのcell lineは,10%fetal calf serum加RPMI1640培地にて,プラスチック面およびガラス面のいずれにもmonolayerとして増殖し,そのcell pelletは灰白色から淡褐色を呈する.凍結保存可能.増殖は速やかで,population doubling timeは約29時間.培養細胞は細長い樹枝状突起を有する多極性,多角形状の細胞であって,楕円形の核を有する.Giemsa染色やHE染色ではmelanin顆粒は認め難いが,Masson-Fontana染色標本ではmelanin顆粒を少数含有する細胞が散見される.光顕DOPA反応は微弱陽性,電顕DOPA反応陽性.S-100蛋白陽性.染色体分析では,マーカー染色体と考えられるorigin不明なsmall metacentric chromosomeが4本見出され,また異常な形態の染色体が数本認められた.Nude mouseへの異種移植にて腫瘤の形成がみられ,これは組織学的には類上皮細胞型黒色腫細胞の充実性胞巣よりなっていた.悪性黒色腫関連抗原(MAA)については,PAP法にてM-AS細胞膜上にp97aおよびp97b抗原の存在することが確認された.そして,抗p97bモノクロナル抗体(mouse IgG2b)はM-AS細胞に対しcomplement dependent cytotoxicity陽性であった.入江らの発見したMAAであるOFA-Iについてはimmuene adherence法にて,OFA-I-1は認められないが,OFA-I-2は弱いながらも細胞膜上に表現されていることが判明した.
  • 仲 弥, 原田 敬之, 西川 武二
    1985 年 95 巻 1 号 p. 43-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    23歳,男性の左臀部に生じた局面型のchromoblastomycosisの1例を報告した.鱗屑および病変組織内に明らかなsclerotic cellsを認め,鱗屑および組織の培養にて炭粉状黒色集落および黒灰色絨毛状集落を認めた.slide culture,発育温度,走査電顕およびexoantigen test等の所見も合わせて原因菌をExophiala jeanselmeiと同定した.患部に発熱シートによる温熱療法を試みたところ,軽快するも完治には至らなかったため,切除した.なお,自験分離菌株は顆粒形を有するExophiala jeanselmeiで,かかる菌が分離されたという報告はいまだ認められない.自験分離菌株の性状および関連する黒色真菌との比較検討を試みた.
  • 鷺野谷 秀夫, 馬場 徹, 上野 賢一
    1985 年 95 巻 1 号 p. 51-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    健常人末梢血より得られた単球をサルコイドーシス患者血清と共に24時間培養後,非特異的エステラーゼ染色を行なった.対照として,プールした健常人血清を用いて同様な実験を行なった.その結果,サルコイドーシス患者血清と共に培養した細胞は,健常人血清と共に培養した細胞に比して非特異的エステラーゼ染色にてより濃く褐色調を呈した.color data systemにてこの濃度差を解析し,color data system上の1~4段階の差をもって患者血清にて処理された細胞は対照細胞に比して濃染している事がわかった.以上の結果から,サルコイドーシス患者血清による単球の非特異的エステラーゼ活性上昇が示唆された.
  • 1985 年 95 巻 1 号 p. 55-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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