日本皮膚科学会雑誌
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96 巻, 7 号
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  • 坂本 ふみ子
    1986 年 96 巻 7 号 p. 685-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    若年性黒色腫の12例について,微細構造的および細胞化学的に検索し,以下の結果を得た.1.若年性黒色腫細胞に,球形ないし類円形のmelanosomeが多数認められた.長楕円形のmelanosomeは少なかった.2.球形ないし類円形のmelanosomeは,微細構造的にpheomelanosome,または“mosaic” melanosomeと,また,長楕円形のmelanosomeは,eumelanosomeにそれぞれ類似していた.3.腫瘍細胞内には未熟型のmelanosomeが多く,すでにmelanosome complexの形成が認められた.4.臨床的色調は,淡赤色,淡褐色,赤褐色,黒色などであったが,特に赤褐色の腫瘍ではmelanosomeはほとんどが球形であった.5.球形のmelanosomeの存在は,腫瘍細胞内のmelanosomeの崩壊,melanosomeの未熟性とともに,若年性黒色腫の臨床的色調の多様性に関与していることが示唆された.
  • 川口 博史, 佐藤 政博, 池澤 善郎
    1986 年 96 巻 7 号 p. 699-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    薬剤に対するT細胞応答のMHC(主要組織適合複合体)支配を解析するために,モルモットの実験結果を参考にして,半合成Penicillinのsulbenicillin(SBPC)を抗原としたマウスT細胞増殖反応系の基礎的検討を行なった.次に組み換えマウスを用いた解析により,SBPCに対するT細胞増殖反応性はMHC内のI-A locusにマップされた.またこのI-A locusマップされた増殖反応は抗Aβモノクローナル抗体で阻害されたが,抗Eαモノクローナル抗体で阻害されなかった.以上よりSBPCに対するT細胞応答性はMHCのクラスⅡgeneの1つであるI-A locusによって支配されており,そのI-A locusによる支配は,その遺伝子産物であるA(AβAα)分子が,T細胞の抗原認識に際して拘束分子として機能することに基づくことが示された.このようなSBPCに対するT細胞応答のMHC支配機構は,T細胞伝達性とされているヒトの発疹症型薬診においても基本的には恐らくそのままあてはまるものであり,重要である.
  • 影下 登志郎, 江川 清文, 長野 博章, 小野 友道, 荒尾 龍喜, 中島 孝
    1986 年 96 巻 7 号 p. 705-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    ヒト正常皮膚における血液型物質抗原の分布を抗A,B,H血液型モノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に検討した.赤血球および血管内皮はそれぞれの血液型に一致した抗体で陽性所見が得られた.表皮細胞では顆粒細胞のみにそれぞれの血液型に一致した抗体で陽性所見が得られた.エックリン汗器官では表皮内および真皮内導管で,それぞれの血液型に一致した抗体で陽性が得られたが,分泌部では血液型にかかわらず抗B抗体で陽性所見が認められた.また血液型にかかわらず,内毛根鞘細胞も抗H抗体で陽性所見が認められた.アポクリン汗器官・脂腺はすべて陰性であった.
  • 井上 成史, 折原 俊夫, 島田 明美, 古谷 達孝
    1986 年 96 巻 7 号 p. 711-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    血中CEA値の上昇を認め,皮疹の改善とともに血中CEA値が低下した49歳,38歳男子の乾癬性紅皮症2例を報告した.血中CEAと皮疹との関連性をみるため,皮疹部におけるCEAの局在についてPAP法により検索し,parakeratosis直下の表皮上層棘細胞間ないし細胞膜,および浸潤好中球に一致してCEA陽性所見が認められたが,後者のそれはnonspecific crossreacting antigen(NCA)吸収後に消失した.以上より乾癬病変部表皮内におけるCEAの存在が判明したが,この反応が乾癬に特異的か否かという点で論議の余地が残された.しかし,表皮keratinocyte系細胞ではみられないCEAが乾癬表皮内で認められたことは注目すべきであり,この点につき今後更に詳細な研究が必要であると思われた.
  • 小川 忠丈
    1986 年 96 巻 7 号 p. 719-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    上皮成長因子(RGF)のヒト皮膚線維芽細胞(HSF)とヒト胎児肺線維芽細胞(HEL)に対する増殖,DNA合成,ならびに蛋白合成効果を調べた.さらに,これらの作用がジヒドロテストステロン(DHT)により培養系においても生体内と同様に影響を受けるか否か,及びその程度を明らかにする為に増殖細胞数,細胞への3H-チミジンおよび3H-プロリンの取り込み量を測定した.培養細胞へのEGFの添加はHSF,HELにおいて,ともに細胞数,チミジン取り込み量の増加をEGF濃度依存性に認めた.これにDHTを添加すると,さらにチミジンの取り込み量が増加した.一方プロリンの取り込みに対してはEGFはまったく影響はなかった.しかしながら,これにDHTを添加することによりプロリンの取り込み量は増加した.以上の結果から,EGFは培養HSFおよびHELに対してDNA合成と細胞の増殖を促進させる効果があり,DHTはさらにこれらの効果を促進させることがわかった.また,これらの線維芽細胞に対してEGFはプロリンの取り込みによる蛋白合成の促進効果はなかった.しかしDHT添加により,蛋白合成の促進効果が出現することがわかった.
  • 鈴木 正巳, 小松 秀雄, 佐藤 政博
    1986 年 96 巻 7 号 p. 725-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    近年,皮膚科領域において経口投与によるパンテチンの臨床効果が種々検討されている.3Hで標識したパンテチンを,3種の基剤,液状基剤,O/Wクリーム,W/Oクリームに5%濃度配合し,モルモットの背部剃毛部位に閉塞投与した後の経皮吸収性および吸収後の体内分布,排泄の程度を,オートラジオグラフィー法による観察と液シン計数法による測定により検討し,次の結果を得た.1)パンテチンは3種の基剤いずれの場合も経皮吸収されることが判明した.吸収量はW/Oクリーム>O/Wクリーム>液状基剤の順位で,基剤としてW/Oクリームが良好であることが示唆された.2)パンテチンの吸収経路は経表皮と経毛包の両経路であることが認められた.3)経皮吸収後の体内分布は,肝臓,腎臓,心筋,咬筋および骨格筋などの筋肉組織,胃粘膜,腸管粘膜,涙腺に特異的に蓄積することが認められ,3H-パンテチンの皮下投与の結果からも確認された.4)皮下投与の観察結果から,上述の臓器組織に取り込まれた3H-パンテチン由来の放射活性は5日間以上貯留することが判明した.5)パンテチンは腎を経て尿へ主に排泄され,肝を経て糞への経路もあることが観察された.6)外用剤としてパンテチン製剤の可能性が示唆された.
  • 吉田 正己
    1986 年 96 巻 7 号 p. 737-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    皮膚粘膜部単純ヘルペス患者40例について主病巣に関連ある部位またはそれらの部位の分泌物からウイルス分離を試み,次の結果を得た.初感染例の場合,性的接触の感染様式をとる女性陰部ヘルペス3例と両乳房に生じた単純ヘルペス2例について検索したところ,女性陰部ヘルペスのうち2例に咽頭から,および1例にカテーテル尿から単純ヘルペスウイルス(HSV)1型が分離された.また,疱疹性湿疹4例についても検索したところ,3例に眼瞼結膜,2例に咽頭,1例に鼻腔からHSV1型が分離された.再発例の場合,眼周囲皮膚に生じた単純ヘルペス6例の検索では,6例に眼瞼結膜,2例に鼻腔,1例に咽頭からHSV1型が分離された.また,口唇口囲,鼻,頬部に生じた単純ヘルペス20例のうち,6例に唾液から,3例に咽頭から,2例に鼻腔からHSV1型が分離された.陰茎,臀部に生じた単純ヘルペス5例について前部尿道からウイルス分離を試みたが,結果はすべて陰性であった.以上の結果から,皮膚粘膜部単純ヘルペス患者では主病巣に関連する部位とそれらの部位の分泌も,主病巣と同様に,他の接触者への感染源になりうることが示唆された.
  • 1986 年 96 巻 7 号 p. 745-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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