日本皮膚科学会雑誌
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97 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 成沢 寛
    1987 年 97 巻 5 号 p. 529-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
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    掌蹠にみられる色素斑について臨床病理学的検討を行なった.調査対象は349名に及び健康人対照群,非悪性腫瘍群,悪性腫瘍群の3群にわけ比較検討した.その結果単なる老人性変化ではないと考えられた.薬剤との関連性を検討したが,薬疹の可能性は否定的であった.皮疹の分布傾向には有意の差がみられ,悪性腫瘍群では他と比べ男女とも手掌ならびに足蹠に広範な分布を示した.本症は単に掌蹠に生じた老人性色素斑とするよりは,健康人にも存在するが内臓疾患にともなっておこりうることが推測された.病理組織所見としては,基底層主としてcrista profunda intermediaにメラニン沈着の増加と軽度のメラノサイトの増加がみられた.
  • 岸本 三郎, 在田 継久, 小石 和夫, 平野 真也, 坪井 達也
    1987 年 97 巻 5 号 p. 537-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    58歳,男性の前額部に生じた黄赤色の腫瘍に対して光顕,電顕およびケラチン,ピメンチン,セロトニンを免疫組織化学的に検索した.本腫瘍はbasaloid(B)細胞より成るbasal cell epithelioma(BCE)と,一部に脂腺細胞を認めたBCE with sabaceous differentiation,および大小のsquamoid(S)細胞より成り,細胞質内管腔形成が認められ,apocrine duct squamous cell carcinomaと考えられる腫瘍の三者より構成されていた.大型のS細胞は前述した三者に陽性を示したが,Bおよび小型のS細胞は陰性であった.間質にも三者に陽性を示す大型のS細胞を散在性に認めた.一般にB細胞はpluripotentialな性格を持ち,癌化する可能性を自験例は示した.さらにビメンチンの染色性が角化細胞では未分化の指標となる可能性を示した.
  • 北島 淳一, 石井 正光, 深井 和吉, 茶之木 美也子, 濱田 稔夫
    1987 年 97 巻 5 号 p. 545-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    8歳男児に生じたhalo congenital nevusについて光顕的,電顕的に検索した.中心母斑はcompound nevusで,真皮における稠密なリンパ球浸潤を欠く非炎症型であった.電顕的にhalo部表皮においてはmelanocyteはその数が減少し,細胞質内にはspherical granular melanosomeを主体とする異常melanosomeが豊富に観察された.基底層上に増加しているLangerhans細胞のあるものはリンパ球とのappositionを示した.表皮内母斑細胞巣において,Langerhans細胞は増加しており,多数の開大したER,空胞を有するものや,細胞膜が不規則かつ不連続で,細胞質内小器官の流出像を示すものが観察された.表皮内母斑細胞のあるものはcytolysisを示し,一部に表皮内母斑の構築の破壊がみられた.真皮内母斑細胞には著変はみられなかった.以上より本症においてはhalo発生のみならず,表皮内母斑の退縮にもLangerhans細胞を始めとする一種のcell-mediated immunityが関与している可能性が示唆された.
  • 秋山 純一, 進藤 泰子, 高瀬 吉雄
    1987 年 97 巻 5 号 p. 555-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    Dermatofibrosarcoma Protuberans(以下DFSPと略す)の2症例につき腫瘍部皮膚組織の細胞培養を行った.また対照として健常部皮膚真皮より線維芽細胞を培養し,両症例腫瘍部由来細胞との比較を行った.腫瘍部由来増殖細胞は2例とも,対照細胞と明らかに異なる組織球様の形態が見られた.酵素組織化学的検討で腫瘍部由来細胞はAcid phosphataseとEsterase染色陽性で,電顕によりバーベック様の顆粒と細胞質内にPeroxidase陽性顆粒を認めた.腫瘍部由来細胞は,StaphylococcusおよびCandida菌を用いた免疫貪食能試験で明らかな陽性を示した.またrosette法による細胞膜receptor検討で腫瘍部由来細胞にFc receptorおよびC3b receptorを保有する細胞がみられた.モノクローナル抗体(Mo2)による免疫組織学的な検索でmacrophageと共通する膜抗原が腫瘍部由来細胞に認められた.〔3H-〕thymidineの取り込みによるautoradiographyとscintillationcounterによる測定で,腫瘍部由来細胞は対照細胞と比較して,細胞密度が一定数に達すると急激に増殖能が低下するという強い接触抑制作用を示した.また〔3H-〕prolineを取り込ませてのcollagen合成能試験で,腫瘍部由来細胞は組織球の性質を持ちつつ,線維芽細胞とほぼ同程度のcollagen産生能を保有していた.
  • 四本 秀昭, 田代 正昭
    1987 年 97 巻 5 号 p. 567-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    腸管は皮膚,気道と並んで生体が最初に抗原物質と接触する重要な臓器の一つであり,近年,皮膚科領域でも皮膚疾患と腸管免疫との関連性が報告されている.我々はCBAマウスに接触皮膚炎をひきおこすpicryl chloride(PCl)を経口的に投与し,免疫応答へ及ぼす影響を検討した.PCl5mgをマウス腹壁へ塗布すると接触皮膚炎を感作できるが,経口的に同量を投与した場合,むしろ抗原特異的な反応の抑制が誘導された.PCl経口投与後3日目のマウスでバイエル板と腸間膜リンパ節にTs-affが観察されたが,Ts-effはバイエル板,腸間膜リンパ節,脾のいずれにも認められなかった.PClの接触皮膚炎感作が成立したマウスへ経口的にPCl5mgを投与したところ,接触皮膚炎の大きさは増強された.CBAマウスをサイクロフォスファマイドで前処理した場合,経口的にPClを投与しても感作が成立した.
  • 宮下 光男, 安井 由美子, 武村 聡, 藤岡 彰, 鈴木 啓之, 森岡 貞雄
    1987 年 97 巻 5 号 p. 573-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    54歳女性の鼻の左下に発生したエクリン汗管腺腫の1例を報告した.腫瘍塊の各所見は,光顕所見:主として2層の壁構造からなるか管腔様構造,及び充実塊からなる.電顕所見:管腔様構造は,ほぼ真皮内汗管類似の微細構造をとっている.免疫組織化学所見:S-100蛋白は,管腔様構造では陰性で真皮内汗管と同様の所見を示すが,充実塊の細胞は陽性を示す.酵素組織化学所見:腫瘍細胞はコハク酸脱水素酵素強陽性,β-グルクロニダーゼ陰性で,エクリン汗器官と同様の染色態度を示す.以上より自験例はエクリン汗管への分化傾向を示す1例と考え,その組織学的特徴よりエクリン汗管腺腫と診断した.免疫組織化学的にS-100蛋白は充実製腫瘍塊のみに陽性を示した.正常汗器官におけるS-100蛋白の染色態度との比較検討により,本腫瘍における充実性腫瘍塊の腫瘍細胞は,エクリン汗器官の分泌部あるいは筋上皮細胞への分化能を潜在している可能性を推測した.
  • 柳瀬 信一, 山崎 雙次, 古谷 達孝
    1987 年 97 巻 5 号 p. 581-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    限局性強皮症10例(斑状型5例,線状型3例,斑状型と線状型の併発1例,汎発型1例)に対して比較的少量の副腎皮質ホルモン剤内服療法を行った.治療効果は著効2例,有効5例,やや有効2例,無効1例であり,臨床型別では斑状型に,発症時年齢別では15歳以上に,罹病期間別では5年未満の症例においてより勝れた治療効果が得られた.
  • 三田 哲郎, 安江 厚子
    1987 年 97 巻 5 号 p. 587-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    疥癬症の診断にマダニエキスによる皮膚反応,および,マダニよりも疥癬に近縁種のヒョウヒダニのエキスによる皮膚反応が有用か否かを検討した.疥癬症患者では,マダニエキス皮膚反応の陽性率はヒョウヒダニエキスによるそれよりも有意に高かった.マダニエキスによる皮膚反応は,疥癬症のスクリーニングや,疥癬後遺症の診断に利用できる可能性がある.
  • 坂本 文野, 野村 洋文, 森 理, 蜂須賀 裕志, 笹井 陽一郎
    1987 年 97 巻 5 号 p. 591-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
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    EDTA-Trypsin処理により分離した表皮細胞をCounterflow Centrifugal Elutriation(CCE)により分画した.表皮細胞は,細胞浮遊液の流速によりSmall Cell Fraction(SCF,15ml/min以下),Intermediate Cell Fraction(ICF,15~22ml/min)およびLarge Cell Fraction(LCF,22ml/min以上)の3つに分画された.それぞれに含まれる細胞は,Giemsa染色による形態,顕微蛍光測光による核DNA,Light-Scatterによる細胞内部構造の検索から,SCFは基底細胞,ICFは有棘細胞,そしてLCFは顆粒細胞が優位であることを知った.
  • 1987 年 97 巻 5 号 p. 595-
    発行日: 1987年
    公開日: 2014/08/08
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