日本皮膚科学会雑誌
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98 巻, 6 号
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  • 廣谷 由佳里, 荒田 次郎
    1988 年 98 巻 6 号 p. 613-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    本邦で初めて高速液体クロマトグラフィーで糞便中にX-porphyrinを証明した典型的な異型ポルフィリン症を報告する.54歳女性.家族内同症はない.初診6ヵ月前より赤色尿が続き,肝機能障害を指摘され,プロトポルフィリン製剤を内服.その頃より日光裸露部に小水疱,色素沈着を生じた.軽度肝機能障害,および異型ポルフィリン症に特有の尿中ポルフィリン体,ポルフィリン前駆体の上昇がみられ,高速液体クロマトグラフィーでも尿中ポルフィリン体の典型的なパターンとともに糞便中にX-porphyrinと推定されるピークが見られた.プロトポルフィリン製剤内服中止により症状,検査所見の改善は見られなかった.プロトポルフィリン製剤が光に対する増感剤として作用し皮膚症状の顕現化に関与した可能性もあると考えた.
  • 勝海 薫
    1988 年 98 巻 6 号 p. 619-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    正常ヒト毛髪を尿素,dithiothreitolで可溶化後,iodoacetamide(IAA)でアルキル化し,毛ケラチン蛋白を抽出した.抽出蛋白を等電点と分子量による二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D-PAGE)で分析した.毛ケラチンには,毛線維蛋白(HFP)と毛基質蛋白(HMP)が存在し,2D-PAGE上,HFPは分子量41.5k,43k,58.5k,59k,等電点pH5.1~6.8のポリペプチド群であり,HMPには,分子量15k~28kの酸性ポリペプチド群(aHMP)と塩基性ポリペプチド群(bHMP)が存在することが判明した.さらにaHMPを詳しく分析する目的で,抽出蛋白のゲル濾過分画の2D-PAGEを行ったところ,分子量15k,20k,26k,28k,等電点pH5.0~7.0のaHMPポリペプチド群が明瞭に分離された.また,抽出蛋白をイオン交換クロマトグラフィーで分画することにより,bHMPポリペプチド群が分子量18.5k,26k,28k,等電点pH7.8~8.8の明らかなスポットとして分離された.同時に等電点pH8.0~9.0,分子量30k以上の範囲にultra-high-sulphur proteinの帯状のスポットが認められた.以上の方法により,毛ケラチン蛋白全体の等電点・分子量による2D-PAGEが可能となり,あらたにaHMPとbHMPの分画の存在が碓認された.本法は,今後,種々の毛髪疾患における毛ケラチン蛋白の分析に極めて重要な方法になると考えられる.
  • 大田 ゆみ, 飯島 正文
    1988 年 98 巻 6 号 p. 627-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    組織培養が,表皮Langerhans細胞(LC)のin vitro cytotoxic T lymphocyte(CTL)誘導の抗原提供細胞(APC)機能に及ぼす影響について検討した.すなわちCTL誘導の混合培養前に,マウス表皮細胞(EC)を37℃,48時間pre-cultureし,組織培養されたLCのAPC機能を通常のLCのAPC機能と比較検討したところ,次のような興味ある所見が得られた.1.組織培養により,LCの細胞表面のIa抗原量の飛躍的増強が認められた.2.組織培養された耳LCにはAPC機能の著しい亢進が認められた.3.組織培養により,従来全く認められなかったマウス尾LCのAPC機能が復活し,尾LC自体もAPC機能を持つことが初めて証明された.このようにマウス尾LCは組織培養されて初めてAPC機能を発揮でき,耳LCと比較してより未熟(未完成)なAPCである可能性が示唆された.従来CTL誘導に際し,脾のIa+-adherent cellがAPC機能のうち刺激細胞(STM)機能と補助細胞(ACC)機能の両方の機能をもつのに対し,LCは通常のin vitroCTL誘導法ではSTM機能しか発揮できず,Ia抗原陽性APC間に機能的異質性の存在が指摘されているか,今回,APC機能に関して尾LCと耳LCとの間にも更に機能的異質性があることが明らかとなった.
  • 木村 太紀
    1988 年 98 巻 6 号 p. 635-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    都下特殊浴場従業員(ソープランド嬢)100名を対象として,STDとくに梅毒・B型肝炎・サイトメガロウイルス・単純ヘルペス・ATL・AIDS・クラミジア等の蔓延状況を,血清抗体測定を通じて間接的に検索した.1)被験対象者 平均年齢は26歳,平均従業期間は16ヵ月であった.2)梅毒血清反応陽性者21%(名)と高率を示し,就中不顕性感染者は18%(名)であった.3)B型肝炎ウイルスについてはHBs抗体保有者が30%にみられたが,HBs抗原保有者はみられなかった.従業(経験)年数と陽性率との間には相関関係が認められた.4)ATL,AIDS抗体陽性者はみられなかった.5)サイトメガロウイルスについては92%が抗体保有者であったが,対照とした一般女性群の抗体保有率(96%)も高く,この値の示す意義はあまり大きくないものと考えられた.6)クラミジア抗体保有者は被験対象者では80%に達し,正常対照者の36%に比し高率を示した.7)単純ヘルペスについては,被験対象者の88%が抗体高値陽性であり,正常対象者における比率45%に比し高率を示した.
  • 栗田 依幸, 中尾 裕史, 高森 建二, 小川 秀興
    1988 年 98 巻 6 号 p. 643-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    線維肉腫細胞(HT-1080)の機能と周辺組織構成マトリクスとの相関関係を,線維肉腫細胞が産生するlysosomal protease活性を指標として検索し,線維肉腫の局所浸潤・増殖機構を考察した.HT-1080株をコラーゲンまたはフィブリン存在下に培養後,その細胞内cathepsin B及びhemoglobin(Hb)-hydrolase活性を測定し,これら間質成分を含まず培養した系と比較した.Hb-hydrolase活性はコラーゲンあるいはフィブリン添加培養により影響を受けなかったが,cathepsin B活性はこれらの間質成分の影響を受けて有意な活性上昇を示した.対照として用いた同系の正常細胞である皮膚線維芽細胞においては,間質成分いずれの添加培養後もHb-hydrolase,cathepsin B活性ともに変化を示さなかった.以上より,①腫瘍細胞は,コラーゲンやフィブリンなどの周辺間質高分子構築物の影響を受け,②それらを分解・崩壊させ得るようなプロテアーゼ活性を高め,③そのプロテアーゼを有効に放出しつつ腫瘍細胞の浸潤・増殖を容易ならしめているとの機序が示唆された.
  • 1988 年 98 巻 6 号 p. 647-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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