道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
最新号
道南医学会ジャーナル第3号
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  • 石川 悠加, 石川 幸辰
    2020 年 3 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    1.国立病院機構函館病院に重症心身障害児(者)病棟60床が新設 2020年8月1日、当院は、国立療養所時代からの旧筋萎縮症120床と重症心身障害児(者)120床を、国立病院機構函館病院60床と国立病院機構北海道医療センター180床に新築移転となります。2020年8月からは、国立病院機構函館病院60床は、道南に唯一の重症心身障害児(者)病棟となります。 昭和39年に、患者親の会の要望などを背景に、全国国立療養所結核病棟の空床を利用する形で筋ジストロフィー病棟(27施設)や重症心身障害児(者)病棟が開設されました。当初の目的は、専門療養(特にリハビリテーション、日常生活介護)と教育(通学)でした。現在は特別支援学校や学級が多くありますが、当時は、地域の学校は通学受け入れが無く、養護学校も近くに無い患者さん達が多くいました。重症心身障害児(者)は道南を中心の受け入れでしたが、筋ジストロフィーの子ども達は、全道から児童相談所を介して措置入院(児童福祉)となりました。2019年正月映画「こんな夜更けにバナナかよ」の主人公は、筋ジストロフィーで、当院に入院しながら隣接の養護学校小中学部に通学していました。この主人公は、その後在宅療養しますが、多くの患者さんは、高校卒業後には、医療的ケアや介護が重度となり、専門医療へのアクセスが大変な地域で 年老いた両親のもとで在宅療養することは困難と判断され、継続療養しています。 2.重症心身障害児(者)の動向 重症心身障害児(者)は、肢体不自由(坐位以下)と知的障害(IQ35以下)を合併した状態診断です。重症心身障害児(者)の多くは、脳性まひですが、脳炎や事故の後遺症や、未だ解明されていない疾患が含まれている可能性もあります。1980年頃からの新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)や小児集中治療室(pediatric intensive care unit:PICU)の整備などにより、救命困難であった症例も救命されるようになり、高度医療を継続する例が増えています。 3.小児神経筋難病の動向 小児期発症の神経筋難病は、デュシェンヌ型・福山型先天性・ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、先天性ミオパチー、先天性筋強直性ジストロフィーなどです。この中で、脊髄性筋萎縮症は小児の筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis=ALS)と言われるものです。 人工呼吸が導入される以前の死因は呼吸不全が8割以上を占めていました。しかし、1985年から、旧国立療養所筋萎縮症病棟入院者にも人工呼吸の使用が開始されました。当初は気管切開人工呼吸と体外式(胸郭式)人工呼吸が行われ、1990年からは非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation=NPPV)が第一選択とされています。人工呼吸が導入されてから、死因として心筋症や消化管および栄養障害が増えています。また、延命により、四肢の障害もさらに重度になっています。 また、1994年に米国FDAに認可された機械による咳介助(mechanical in-exsufflation=MI-E)の研究用第1号機は当院に輸入され、1995年に厚生省に医療機器として認可されました。鼻マスクやマウスピース、気管挿管や気管切開チューブを介して使用でき、挿管予防や早期抜管に役立ちます。 4.在宅療養と入院療養の垣根が無いネットワーク 在宅用機器の進歩に伴い、在宅療養が可能な例も増えていますが、家庭の事情や地域の専門医療体制、教育機関の受け入れにより、入院を要する例もいます。在宅であっても、本人の状態変化、両親の体調不良やケア体制の変化による一時入院、レスパイトのベッドが必要時に確保されていなければなりません。さらに、両親の高齢化や本人の医療的ケアや介護負担が増すことにより、在宅療養の継続が困難になることがあります。 5.延命に伴う急性期医療の活用増大 人工呼吸器による大幅な延命が可能になり、全身の様々な合併症が起こるようになってきています。神経専門のICU(Neuro ICU)がある米国クリーブランドでも、筋ジストロフィーの合併症治療に対するICU利用や手術適応や治療方針について、前例が無く、医学的にも倫理的にも社会的にも判断に苦慮するとしています。 米国疾病予防管理センター(CDC)が作成を促進したデュシェンヌ型筋ジストロフィーのケアの国際ガイドラインは示されていますが、本邦の現場ではそれを実現できるだけの各科の専門医療の育成を要する段階です。CDCは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを神経筋疾患のモデルとして、多科多職種の医療チームを育成し、「神経筋疾患の気管切開、寝たきり、胃ろうをできるだけ回避し、QOLと生命を最大限になるようにすること」を目標にしています。 6.AYA世代の医療体制 デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、小児科の手元を離れる19歳以降に、救急外来や入院を要する事態が急増することが米国でわかってきました。そして、カナダでも、そのような急性増悪や合併症発症の際に、急性期の入院やレスパイト入院などのニーズに専門性を持って対応できる病院があまり無いことで、“神経筋疾患患者が難民化”していると言われています。 小児がんでは、「これまで生きられなかった小児がん患者が成人になり、内科への移行は困難である」ことから、米国に習って本邦でも、「小児科と多科との連携による治療体制を思春期・若年成人(adolescent and young adult=AYA)世代に続けられる」ように整備が進められています。希少な疾患で、これまで生きられなかった疾患が18歳以上になった時の移行期医療は、欧米でも、橋渡しまでに長期間を要する場合もあります。小児期を診療してきた医療チームと今後を担う成人の医療チームが、症例によっては時間をかけながら徐々に受け渡しができることが望ましいと考えます。 6.疾患修飾薬とマネジメントの組み合わせの重要性 近年、ポンペ病や脊髄性筋萎縮症などで保険診療となっている疾患修飾薬による四肢運動機能や呼吸機能の改善、または進行の緩徐化に伴い、NPPVとMI-Eを用いた呼吸管理の重要性が増しています。効果として、運動機能の改善だけでなく、気管切開の回避やNPPV離脱時間の増加などが挙げられます。欧米では、医学的にも経済的にも、神経筋疾患や重症心身障害児(者)において、気管切開をできるだけ回避する呼吸リハビリテーションの専門性の向上や普及が進んできています。韓国では、神経筋疾患に対する呼吸リハビリテーションの専門拠点病院が大学を中心に各地に整備され、疾患修飾薬による呼吸に対する効果の評価体制の充実がはかられています。本邦においても、今後の疾患修飾薬とマネジメントの専門ネットワーク拠点の強化が求められます。 7.道南における希少疾患の医療ネットワーク  当院が移転する国立病院機構函館病院と国立病院機構北海道医療センター(神経筋疾患のNPPVセンター)および関連の病院とクリニックで、小児期発症の神経筋難病と重症心身障害児(者)の長期及び短期入院、外来、在宅の医療体制の維持をはかれるようにしたいと考えます。そして、希少な疾患の小児から成人まで移行期医療のチームが育成されることが望まれます。
  • 白銀 透, 斉藤 洋
    2020 年 3 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【緒言】近年、少子化により出生数が減少しているが、当院でも減少の一途をたどっている。今回、八雲町と周辺町村の出生数の減少傾向について調査、検討した。【対象】当院で妊婦健診や分娩を行っている北渡島・桧山地方(八雲町、長万部町、せたな町、今金町)と後志西部(寿都町、黒松内町、島牧村)の町村。【方法】内閣府、総務省、厚生労働省のデータを利用。日本、北海道、八雲町、合算地域(八雲町を含む上記地域の合算)に対し、以下の1)~7)の項目について2000年、2015年のデータ及び2045年の予測値を調べ、検討した。1)総人口、2)老年人口(65歳以上)、3)年少人口(15歳未満)、4)出産子育て世代人口(20-39歳)、5)出生数、6)人口千人当たりの出生数、7)子育て世代人口千人当たりの出生数。【結果】都市部を含まない当地域は日本や北海道全体に比べ、人口減少は顕著であった。また、人口構成においても、老年人口の増加、年少人口の減少や出産子育て世代人口の減少は顕著であった。出生数や人口千人当たりの出生数も大きく減少していたが、特殊合計出生率の代わりに用いた出産子育て世代千人当たりの出生数の値には大きな差が無かったため、過疎高齢化及び出産子育て世代の減少による影響が大きいと考えられた。【結論】出生数減少を抑制するには、出産子育て世代の確保が重要であると思われた。【結語】出産子育て世代人口の減少は、年少人口の減少もあり、今後、全国的に進行する。それは人口流出の影響もあり、地方でより顕著となる。出産子育て世代人口の確保は重要な政策となる。また、小児科、産婦人科の無くなった地域は出産子育て世代が離脱し、地域消滅のリスクが増加する。北海道は広大なため、産婦人科としては、効率化のみを重視せず、小児科と共に分娩数の多少のかかわらず、地域ごとに周産期施設の存続に努める必要があると思われた。
  • 櫻田 穣, 角 洋彰, 﨑本 裕治, 加藤 由美子, 斎藤 裕一, 太田 奈々, 木村 繭, 埜畑 有子, 榎波 洋子, 中島 菊雄, 酒井 ...
    2020 年 3 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【目的】感染症の初期治療において、アンチバイオグラムは有用である。規模の大きな医療機関では積極的に活用されており、全国的に見ても広域スペクトラム抗菌注射剤の耐性率は減少傾向にある。しかし、アンチバイオグラムを作成できない施設や自施設のみのデータでは検体数が少なく活用できない施設があるのが現状である。また、経口抗菌薬は、その多くが外来にて処方されるため、適正使用については診療所などを含め、地域で取り組む必要がある。しかし道南地域には各医療機関が参考にできるアンチバイオグラムは作成されていなかった。そこで、道南地域の感染防止対策加算算定施設が中心となり、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)の機能を利用して、地域アンチバイオグラムを作成し公開したので、その取り組みについて報告する。 【方法】感染防止対策加算1算定施設と、厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業の検査部門へ参加中の加算2算定施設に、地域アンチバイオグラム作成に関して目的・方法などを説明し参加を依頼した。賛同を得られた4施設で、J-SIPHE北海道道南地域連携グループを設置した。J-SIPHEの還元情報機能を使用し、アンチバイオグラムを作成した。 【結果】アンチバイオグラムデータは、参加施設に電子メールにて提供し、また市立函館病院のホームページにて一般公開し、常時入手可能となった。 【結論】地域アンチバイオグラムを作成・公開することはできたが、まだ参加施設は少なく、周知も不十分である。今後は、参加施設の増加と、地域での認知度向上に努め、抗菌薬適正使用に貢献し、薬剤感受性の向上につなげていきたい。
  • 畑中 一映, 早坂 秀平, 土田 直央, 東野 真幸, 杉浦 諒, 宮本 秀一, 木下 賢治, 伊藤 淳, 山本 義也, 成瀬 宏仁, 久留 ...
    2020 年 3 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブは本邦において2017年9月、胃癌に対し承認された。国際共同第Ⅲ相試験比較試験ATTRACTION-2のアップデート解析では、全生存期間中央値5.3ヵ月、奏効率11.9%と報告され、奏効例(CR+PR)では全生存期間中央値が26.6ヵ月と長期生存が期待できる結果であった。最近では免疫関連有害事象irAEの発現と良好な予後との関連を示唆するレトロスペクティブな検討の報告もみられている。【目的】当科においてニボルマブを投与した胃癌患者の追跡調査・検討を行う。【方法】2017年9月から2019年8月までに投与を行った患者の背景・有害事象・治療効果に関し、レトロスペクティブに調査した。【結果】期間中ニボルマブを投与した症例は22例(男性 15、女性7)。年齢56~79歳、進行14、再発8、原発巣は10例で切除。組織型は分化11、低分化型11、HER2陽性3例。PS 0/1/2が各7例/12例/3例。転移巣は腹膜13、リンパ節10、肝9、副腎2、腹壁1、脳1。3次治療としての投与が14例、4次治療7例、5次治療1例。前治療薬歴では5-FU系、タキサン系、ラムシルマブは全例に使用。プラチナ系21例、イリノテカン4例、トラスツズマブを3例に使用していた。投与回数は2回~39回。画像評価を施行した20例では治療奏効はPR 3例15.0%であった。奏効例3例のPFSと投与回数は23ヵ月/27回、20.5ヵ月/39回、16ヵ月/32回であり、全例治療を継続している。3例のMSI検査では1例high、1例陰性、1例未検であった。奏効3例ではいずれもirAE を認め、Grade2の大腸炎と甲状腺機能低下を各1例、皮膚掻痒症を1例に認めた。1例はpseudo progressionを呈した。【まとめ】当科に於いても既報と同様の胃癌ニボルマブ治療奏効率であり、奏効例では長期間の治療奏効を認めている。
  • 久保 公利, 松田 宗一郎, 津田 桃子, 加藤 元嗣
    2020 年 3 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【症例】76歳、男性【主訴】肝内異常陰影【現病歴】2017年2月に近医で施行した腹部CTで肝内に異常陰影を認め、精査加療目的に当院を紹介受診した。【既往歴】高脂血症(40歳代)【経過】腹部US・EOB-MRIで転移性肝腫瘍を疑い、上下部内視鏡検査を行ったが異常所見を認めなかった。PET-CTで小腸と肝S6にFDGの集積が認められた。カプセル内視鏡で小腸の粘膜下腫瘍を疑い、ダブルバルーン小腸内視鏡を施行したところ空腸にbridging foldを伴った粘膜下腫瘍を認め、中心部に潰瘍を伴っていた。潰瘍部からの生検でGISTと診断し、腹腔鏡下小腸切除術を施行した。病理組織学的にGISTと最終診断された。【結語】カプセル内視鏡・ダブルバルーン小腸内視鏡で診断された小腸GISTの1例を経験したので報告する。
  • 久保 公利, 松田 宗一郎, 津田 桃子, 加藤 元嗣
    2020 年 3 巻 1 号 p. 28-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【症例】70歳、女性【主訴】腹痛、蕁麻疹【現病歴】2018年9月22日、夕食にシメサバを摂食した。約6時間半後に蕁麻疹が出現し、7時間後に強い心窩部痛を自覚した。翌日自然軽快し近医を受診した。上部消化管内視鏡検査(EGD)で胃穹窿部に粘膜下腫瘍様の巨大隆起病変を認め、9日後に当科を紹介受診した。【既往歴】脳動脈瘤(1999年)、白内障(2013年)、大腸腺腫(2017年)【経過】当科受診時に施行したEGDで胃穹窿部の粘膜下腫瘍様病変は消失し、同部位3か所にH2 stageの潰瘍を認めた。潰瘍周囲粘膜には発赤・浮腫状変化を認めた。病理組織学的に悪性所見は認めず、軽度のリンパ球、形質細胞、好酸球の浸潤を認めた。内視鏡所見、病理組織学的所見に加え、抗アニサキスIgG・IgA抗体が陽性であったことから胃アニサキス症によるvanishing tumorと診断した。【結語】胃アニサキス症と考えられた胃vanishing tumorの1例を経験したので報告する。
  • 津田 桃子, 加藤 元嗣, 小野寺 友幸, 松田 宗一郎, 久保 公利, 間部 克裕
    2020 年 3 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】医学的に便秘とは,「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義される.便秘に伴う症状は排便回数減少,排便困難,残便感など様々である一方,排出すべき便がない場合は「便秘」ではない.本検討では,便秘を訴える患者に対する腹部超音波検査を用いた便秘の画像評価について検討した. 【方法】2019年5月から当院便秘外来を受診した患者のうち,便秘治療介入前に腹部レントゲン検査,CT検査,腹部超音波検査を施行した24症例について検討した.腹部レントゲン検査は臥位で,CT検査は単純CT検査で,腹部超音波検査は腸管観察を中心に背臥位で3.5MHzのプローブを用いて評価した.①患者背景,②画像評価における便秘の有無,③腹部レントゲン検査,CT検査,腹部超音波所見における便局在部位評価の比較を検討した. 【結果】結果①平均年齢71±17歳,性別男性4:女性20,13症例(54.2%)で腹部手術の既往があり,19症例(79.2%)で過去に市販薬を含む便秘内服薬使用の既往があった.11症例(45.8%)がブリストル便形状スケールで1-2(硬便)であり,10症例(41.7%)が3-5(普通便),3症例(12.5%)が6-7(水様便)であった.②すべての症例で画像評価において大腸内に便が存在し「便秘」と評価できた.③便の局在部位はCT検査,腹部超音波検査において22例(91.7%)で一致していた.一致しなかった2例(8.3%)は1例が排尿後のため直腸病変の描出ができず、局在が不一致であった.もう1例は腹部手術歴不明で,横行結腸のみしか同定できず評価不十分であった.腹部超音波検査では,他の画像検査と比較し,便性状も評価できる可能性が示唆された. 【結語】腹部超音波検査で便秘を客観的に評価可能であった.非侵襲的で,今後の便秘診断・治療の一助となる検査として有用であると考える.
  • 津田 桃子, 加藤 元嗣, 小野寺 友幸, 松田 宗一郎, 久保 公利
    2020 年 3 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 亮介, 間部 克裕, 米谷 則重, 松田 宗一郎, 津田 桃子, 久保 公利, 加藤 元嗣, 八木田 一雄
    2020 年 3 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【症例】10代男性 【主訴】心窩部痛、嘔気、体重減少 【現病歴】3週間持続する心窩部痛、嘔気、体重減少を主訴に前医受診。軽度の鉄欠乏性貧血と上部内視鏡検査で十二指腸球部に2箇所の潰瘍を認めた。H.pylori便中抗原および血清抗体は陰性で原因は不明、各種PPI治療で潰瘍が改善しなかったことから、当院紹介となった。【既往歴】アレルギー性鼻炎 【家族歴】父親:H.pylori胃炎、十二指腸潰瘍、母親:小児喘息 【経過】H.pyloriはUBT、RUT、便中抗原、血清・尿中抗体いずれも陰性で、生検においてもH.pylori (-)、H.heilmannii (-)であった。生検でCMV陰性、NSAIDs服用はなく、画像検査及び生検結果からクローン病を示唆する所見なし、CT、US、MRIでZollinger-Ellison症候群を示唆する腫瘍病変を認めなかった。胃、十二指腸、回腸、大腸の生検結果から好酸球性十二指腸潰瘍と診断されプレドニゾロン治療を検討したが、若年者に対しては様々な副作用も懸念されることから、本人・両親の希望の下で、より高い安全性が期待されるクローン病治療薬ブデソニド製剤をDDSを考慮し粉砕した剤型で投与開始した。治療開始後速やかに症状消失し十二指腸潰瘍の治癒傾向を認め退院。8ヶ月後には潰瘍は完全に瘢痕化し、経過中高値を示した末梢血中の好酸球数も正常レベルまで低下を認めた。 【結語】今回の症例において、回腸から上行結腸で徐放するよう設計されたブデソニド製剤を粉砕して投与することで、明らかな副作用なしに好酸球性十二指腸潰瘍の改善効果が認められた。更なる検討が必要であるが、好酸球性胃腸炎や好酸球性食道炎に対し本治療が有効である可能性が示唆された。
  • 大沼 法友, 阿部 千里, 高井 みゆき, 山村 二三江, 伊藤 匡
    2020 年 3 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】ミオクローヌスを伴って急速にアカシジアが増悪した症例を経験し、 慢性に経過していた同様の症例に後から気付く機会があり、経過と問題点を考察する。 【事例】症例1、61歳男性。進行期の肺腺癌。骨転移と膵転移による疼痛あり、Fentanyl・4mg/dayを投与しながら抗癌剤治療を継続。掻痒と悪心への対症療法後に「リハビリする」と言い廊下を歩き始めた。ふらつきあり安静を促したが興奮して多動状態が持続。さらに、焦燥と両足を急に屈伸する動作が出現。Flunitrazepam・5mgとDiazepam・10mgを静脈内投与して5時間後に安静に戻った。後日の精神科往診にてアカシジアとミオクローヌスの合併と診断。 症例2、64歳男性。進行期の肺小細胞癌。骨転移と肝転移による疼痛あり、Fentanyl・6mg/dayを投与しながら抗癌剤治療を実施していた。さらに制吐剤、鎮痛剤を頓用して苦痛を緩和。足の不快感を訴えるようになり「歩く方が治る」と深夜早朝に歩き回るようになった。さらに大腿部の不随意運動が安静時に間欠的に出現するようになった。症例1を参照すると、ミオクローヌスを伴ったアカシジアが緩徐に出現した経過であったと推察しうる。 【考察】アカシジアとミオクローヌスが併発し症状が複雑化して診断に苦慮した。経過を見直すと合目的でない行動が前駆症状であったと思われるが、精神的な反応や気分転換と解釈し神経学的診断が後になり、患者様が抱えていた本来の辛さに気付くのが遅れた。化学療法を行う症例への早期からの緩和医療として麻薬製剤を導入し、制吐剤・抗癌剤を反復投与し、抗精神病薬も併用される中で、薬剤の錐体外路作用が重なって神経障害を生じるリスクになったと考えられた。当科では、スタッフ間で典型例の経過を共有し、発症時の対応薬を病棟に常備して同様例の早期発見・対応に努めるようにしている。
  • 鈴置 真人, 大原 正範, 岩代 望, 小室 一輝, 高橋 亮, 大高 和人, 溝田 知子, 水沼 謙一, 守谷 結美, 木村 伯子
    2020 年 3 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    BR膵癌は技術的に外科的切除が困難であることに加え,局所浸潤により切除を施行してもR1切除となる可能性が高く,術前治療を含めた集学的治療がR0切除率の向上や長期予後を改善させる可能性があると期待されている.今回、われわれは術前化学放射線治療(CRT)が奏功し,膵頭十二指腸切除を施行したBR-PV膵頭部癌の1例を経験したので報告する. 症例は60代の女性.糖尿病で近医に通院中,血糖値の上昇を認め腹部USを施行したところ,膵頭部に低エコ-腫瘤を指摘され,精査目的に当院を紹介,入院となった.精査の結果,PV,SMVに浸潤を伴う50x42mm大の膵頭部癌(cT3 cN1 cM0, cStage IIB)の診断となり,BR-PVの判断で術前CRTの方針となった. 術前治療としてGEM+nab-PTXx2コース,その後,S-1+膵頭部腫瘍への外照射(50.4Gy/28fr)を施行した.治療後のCTでは膵頭部の腫瘍は39x25mmと縮小し,SMV狭窄像の改善が得られ,CRT終了後から約4週間後,亜全胃温存膵頭十二指腸切除,SMV楔状切除を施行した.病理組織学的検査では門脈浸潤は確認されず,ypT2 ypN0 yM0, ypStage IBであったが,PCM1でR1切除の結果となった.術前治療の組織学的効果判定はGrade 1bであった. 術後はGEMによる全身化学療法を6コース施行し,再発所見を認めずその後は経過観察としている.手術から1年4ヶ月が経過した現在,再発は認められていない.
  • 本田 一浩, 米澤 一也
    2020 年 3 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】 病院内には様々な時計があり必要時、適宜時刻の確認をすることができる。しかしその一方で、各時計に時刻誤差があった場合には、日常の診療や治療、手術、急変時の対応等に大きな影響を及ぼす。そのため設置している院内時計は正確さが求められ、時刻管理は病院にとって重要な課題である。今回、院内全体で時計の設置場所の確認、時刻調整、マニュアル、チェックリストの作成を行い、院内時計の時刻管理について取組みを実施したので報告する。 【方法】院内時計の種類、個数、設置場所、担当者について調査し標準時刻に調整する。また時刻誤差について調査し時刻の許容誤差範囲、調整方法を決定し、マニュアル、チェックリストを作成する。  【結果】調査票に基づき各部署に調査依頼。中央管理の壁掛け時計を担当者で標準時刻に調整。12月25~28日の期間で各部署の設置時計、時計表示のある医療機器等は各部署で標準時刻に調整。平成31年1月時刻誤差を調査票に基づき各部署に調査依頼。3月にマニュアル、チェックリストの検討。5月に時刻誤差許容範囲を月差±1分以内、時刻調整を毎月2週目までに実施することを決定。5月医療安全管理委員会でマニュアルの決定。電子カルテ導入に伴いチェックリストの追加修正。7月チェックリスト完成。8月初旬に職員に周知し本稼働した。 【考察】院内時計の時刻調整は8月より稼働した所であり、今後、時刻誤差については引き続き医療安全推進部会で多職種による情報共有、検討をしていく予定である。また、本年5月から電子カルテ導入に伴い電子カルテの時刻管理については医療情報管理部のシステムエンジニアとも連携していく必要がある。今後、院内全体で各時計の時刻管理を継続して実施することにより時間の正確性、信頼性を担保していく事が望まれる。そのためにはチェックの実施状況について定期的に確認し時刻設定の必要性について周知していく事が課題となる。
  • 井川 敬子, 阿部 千里, 佐藤 千代子, 福原 直美, 松本 健太郎, 今村 佳奈, 落合 冬佳, 久保 公利, 間部 克裕, 加藤 元嗣
    2020 年 3 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】洗浄に携わるスタッフが増えたことから、洗浄方法の問題点を共有し、洗浄の質向上に繋げることを目的とした。【方法】平成30年10月から平成31年1月に、使用済み内視鏡を無作為に選択し、洗浄を行った9人を対象に、用手洗浄後のAMPを測定した(以下、A3)。拭き取りは、①彎曲部 ②軟性部 ③オレドメから操作部 ④吸引シリンダー内 ⑤送気送水シリンダー内 ⑥洗浄容器内の6か所とし、気管支鏡は⑤を鉗子チャンネル開口部とした。剥離液回収は、⑦先端部の浸漬 ⑧吸引管路 ⑨送気送水管路 ⑩鉗子起上管路 ⑪副送水管路 ⑫ボタン類浸漬の6か所とした。A3値が100RLU以下になるまで洗浄し、有意水準5%で分散分析を行なった。【結果】初回洗浄71件、再洗浄率36.62%、再々洗浄率11.27%で、内視鏡シリアル番号別・検査治療部位別・処置の有無別・洗浄者別に有意差はなく、測定サイト別に有意差が見られた。【考察】内視鏡は、挿入部だけでなく、操作部・ユニバーサルコードも含め、全体を清浄化し消毒する必要があるため、特定サイトに限定せず、内視鏡全体の評価をすることが望ましい。再洗浄後にA3値が上昇した例が数件あり、すすぎが不十分だったことで残留した汚れが別個所に再付着したと思われる。酵素洗浄剤は低起泡性を使用しているため、すすぎの良し悪しを目視で判定するのは難しく、十分な水量と適切な水圧が必要である。【結論】1.内視鏡の清浄度調査において、シリアル番号別・検査治療別・処置の有無別・洗浄者別に有意差はなく、測定サイト別に高い有意差が認められた。2.清浄不良を数値化することで、洗浄不足の原因を自主的に追及する機会となり、洗浄方法の改善と衛生管理意識向上に繋がった。3.目視だけでは限界があるため、数値化して評価できるA3法を、洗浄毎もしくは日常的に導入し、定期的に、特定サイトに限定しない内視鏡全体の清浄度評価が必要である。
  • 福島 安義, 佐藤 賢一郎
    2020 年 3 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2020 年 3 巻 1 号 p. 65-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2020 年 3 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2020 年 3 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2020 年 3 巻 1 号 p. 78-86
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 2020 年 3 巻 1 号 p. 0-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 2020 年 3 巻 1 号 p. 87-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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  • 加藤 元嗣, 中田 智明, 水島 豊, 恩村 宏樹, 萩澤 正博, 光銭 健三, 大原 正範, 山城 雅明
    2020 年 3 巻 1 号 p. 89-
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/01
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