Dental Materials Journal
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7 巻, 1 号
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  • 福島 忠男, Jack L. FERRACANE, 堀部 隆, Toru OKABE
    1988 年 7 巻 1 号 p. 1-12,133
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    各種Succinoxy methacrylateの歯科用合金〔gold (Type IV), Au-Ag-Pd, Ni-Cr, Co-Cr〕への接着性と化学構造との関係をさらに検討するため,2SEMと各種疎水基を付加した2SEM誘導体3種(2SPrM, SPPM, Bis SGMA)を合成した。30mol%合成モノマーとBGDMAおよび100mol%合成モノマー(2SEM, 2SPrM)からなる6種のBonding agentの合金研磨表面(サンドペーパー#600)への乾燥時(Dry 3時間および7日間)や水中浸漬時(Wet 7日間)での接着力を剪断接着試験より求めた。30mol%合成モノマーを含むBonding agentを用いた場合,Precious, Nonprecious合金への接着性と化学構造の相関が認められなかったが,100mol%の場合,2SEMより疎水性である2SPrMの方がWetでの接着力はやや優れ,その低下率も少なかった。また,総体的にDry 3時間より,Dry 7日間での接着性が優れていたBonding agentの場合,水中浸漬による接着力の低下は著しく,その原因は接着界面に蓄積された応力が水で解放されたものと推察される。
  • 加藤 裕正, 伊藤 和雄, 和久本 貞雄
    1988 年 7 巻 1 号 p. 13-18,133
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ボンデイング材,コンポジットレジンがいずれも,化学重合型と可視光線重合型両者の起媒方式をもつコンポジットレジンシステムについて,それらの組合せの違いが窩壁に対する接着性にどのように影響するかを調べた。三社(クラレ,三金,3M)のレジンシステムを選択し,それぞれについてボンデイング材とコンポジットレジンの5通りの組合せで象牙質円柱窩洞に填塞し,窩壁におけるコントラクションギャップの幅を計測した。その結果,化学重合型コンポジットレジンを填塞したグループは可視光線重合型コンポジットレジンを填塞したグループに比べ,有意にコントラクションギャップが小さかった。しかも,ボンデイング材は可視光線重合型のものをコンポジット填塞前に照射重合させると最良の窩壁適合性が得られた。
  • その4 1-35 (MTYA)で処理した象牙質に対するMMA/TBB-Oレジンの接着性
    早川 徹, 遠藤 浩, 原 哲夫, 深井 京子, 堀江 港三
    1988 年 7 巻 1 号 p. 19-23,133
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    MTYA, HEMA,グルタルアルデヒドからなるプライマー,1-35 (MTYA)で処理した牛象牙質に対するMMA/TBB-Oレジンの接着性を検討した。象牙質は40%リン酸,10%クエン酸で,それぞれ60秒,あるいは10-3で30秒,または60秒エッチングした後,1-35 (MTYA)を作用させた。対照として1-35 (MTYA)を作用させない場合の接着強さを測定した。
    1-35 (MTYA)を作用させないと,リン酸およびクエン酸エッチングの場合,試験体を作製することはできなかった。1-35 (MTYA)を作用させると,リン酸エッチングで18MPa,クエン酸エッチングで23MPaと接着強さは大幅に向上した。10-3エッチングの場合は,30秒エッチングで16MPa, 60秒エッチングで20MPaの接着強さが得られた。
    樹脂含浸層の厚さと接着強さとは比例しておらず,樹脂含浸層の成分が接着強さに大きな影響を与えていることが示唆された。
  • 渡辺 孝一, 大川 成剛, 宮川 修, 中野 周二, 塩川 延洋, 小林 正義
    1988 年 7 巻 1 号 p. 24-38,134
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Beを含む陶材焼付用Ni-Cr合金上に生成された酸化薄膜を,ガラス裏打法を用いたEPMAとデバイーシェラー粉末X線回折法により研究した。酸化条件は大気中で700°C・5分間,または1,000°C・2分間,あるいは真空中(10-3 Torr)で1,000°C・40分間といずれも薄い酸化膜が生じるよう限定されている。大気中における酸化ではNiOとCr2O3が主要酸化物であり,後者の前者に対する比は700°Cの場合0.57そして1,000°Cの場合2.5であった。真空中における酸化ではBeOとBeCr2O4だけが検出された。いずれの場合においても,酸化膜の微細構造は下地となった合金相に対応して変化していた。これら得られた構造や形態に関するデータについて,酸化理論を参考にしながら考察した。
  • 山内 六男, 堺 誠, 川野 襄二
    1988 年 7 巻 1 号 p. 39-47,134
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    オハラの純チタン鋳造システムにより製作した純チタン鋳造床を9名の患者に装着し経過観察を行った。その結果,装着感も良く,破損もなく,粘膜面との適合性も良好で,かつ通常の金属床義歯に比べて軽量であった。また,X線による鋳造欠陥の検査では多少の鋳造欠陥が認められたが金属床の破損を引き起こすようなものではないと考えられた。これらの臨床的観察結果からみて臨床応用上問題となる点はないと考えられた。ただし,床用レジンとの接着性が弱いこと,本システムによる純チタンの鋳造性についての実験では,メッシュパターンの場合,メッシュが完全に鋳造されないこと,平板のパターンの場合輪郭的には鋳造されていてもX線による鋳造欠陥の検査では若干鋳造欠陥が認められたことなどから,今後この点を含めより詳細な検討が必要であることが示唆された。
  • 藤井 孝一, 奥 淳一, 有川 裕之, 山内 浩人, 大野 秀夫, 小椋 正, 井上 勝一郎
    1988 年 7 巻 1 号 p. 48-54,134
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジン用レオメータにより4種類の市販小窩裂溝填塞材の操作時間,硬化時間を測定した。また,人の抜去歯牙の小窩裂溝に填塞された材料の硬化中の温度上昇を熱電対を用いて調べ,さらに,高速液体クロマトグラフを使って硬化後の未反応物質の分析を行った。
    23°Cでのそれぞれの材料の操作時間は0.52∼1.09minの間であり,そしてまた32°Cでの硬化時間は0.91∼1.38minの間であった。0.5mmの厚さで硬化させた時,髄室蓋から1.2mm離れたデンチン部分での温度上昇は0.18∼0.21°Cの間であった。未反応物質は,硬化前後のそれぞれの溶液で測定されたクロマトグラフの面積比で計算され,0.5mmの厚さの試料では,それぞれの材料で19.7∼45.8%の範囲であった。
    本実験中の小窩裂溝填塞材では,硬化時の温度上昇の歯髄に対する影響はほとんどないと思われる。
  • 第3報- 光重合型コンポジットレジンのL細胞に対する毒性試験
    井上 勝一郎, 有川 裕之, 藤井 孝一, 新原 明, 藤田 龍一郎, 塚田 岳司, 黒木 賀代子, 岡 智子, 内山 長司
    1988 年 7 巻 1 号 p. 55-61,135
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    現在市販されている18種類の光重合型コンポジットレジンについて,マウス由来の培養細胞に対する各材料の細胞毒性試験を行なった。細胞障害の程度は,細胞死滅を含む核濃染領域と細胞形質に萎縮がみられる領域の2領域にわけ,それぞれの領域の面積で表示した。また,各材料の硬化物中に含まれる未反応物の量を高速液体クロマトグラフを用いて定量し,未反応物量と細胞障害がみられる領域との関係を調べた。その結果,4種類の材料(パルフィークライト,プリズマフィル,プリズマフィルコンピュール,パイロフィルライトボイド)を除く他の材料間では,硬化体中の未反応物量と細胞障害を引き起こす領域との間に相関がみられ,未反応物の増加に伴って細胞障害を起こす領域が大きくなることがわかった。除外した4種類の材料については,硬化体中の未反応物量は少ないにもかかわらず,細胞障害を起こす領域が著しく大きくなっている。この理由については現在検討中である。
  • 接着性ブリッジの設計要因が接着層でのき裂成長に与える影響
    篠原 直幸
    1988 年 7 巻 1 号 p. 62-73,135
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    有限要素法にもとづく破壊力学的手法によって,接着性補綴物の設計条件と接着材層に発生するき裂成長との関係をエネルギー解放率gの概念を用いることにより解析した。解析は接着材層でのき裂成長に伴うエネルギー解放率とクリティカルロードの値が,水平的なき裂長さa,安全率n,メタルフレームの構造および金属の厚さのファクターによりどの様に変化するかにより行なった。解析の結果,gはメタルの厚みが増すと減少し,1.0mm以上では非常に小さくなった。また隣接面にウィングを設定すると設定しない場合に比べgは小さくなり,その差Δgはウィング長の半分程度で最大となった。そしてΔgは,金属厚みの増加に伴ない減少した。結果とクリティカルロードを用いた考察により,接着性補綴物の耐久性を向上させる為のブリッジの設計要因について検討を行ない呈示した。
  • CaとF添加の影響
    伴 清治, 鶴田 昌三, 渡辺 徹男, 菊池 元彦, 長谷川 二郎
    1988 年 7 巻 1 号 p. 74-86,136
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    CaとFを添加したZnO-Al2O3系粉末を均一共沈法により調製し,沈殿物および焼成物の組成と形態に与える影響を検討した。また,リン酸亜鉛セメントとして応用した場合,その歯科理工学的性質に与える両元素の添加の影響についても検討した。
    沈殿物はZnとAlを含む塩基性炭酸化水和物であり,焼成することによりZnOとZnAl2O4が生成した。またCaとFを多量に配合したものではCaF2が生成した。焼成した粉末中のZnO粒子の大きさはCaとFの添加により増大したが,ZnOとZnAl2O4量はほとんど変化しなかった。これらの粉末を市販のリン酸亜鉛セメント液と練和した場合,そのセメント硬化体は両元素の添加により,圧縮強さが減少し硬化時間が短くなり,セメント表面の中和が促進された。とくに,Zn/Al比が5でCa, Fを少量添加し,焼成-粉砕により調整した粉末の硬化体は1%乳酸および1%クエン酸中での溶解度が市販品よりも小さい値を示した。
  • 入江 正郎, 中井 宏之
    1988 年 7 巻 1 号 p. 87-93,136
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    銀配合型と従来型(それぞれ器械練和用と手動練和用の2種)計4種の市販グラスアイオノマーセメントの圧縮強さ,ダイアメトラル引張り強さ,曲げ強さ,無処理のエナメル質,象牙質に対するせん断接着強さを測定した。銀配合型は,従来型に比較して上述のすべてにおいて統計的に劣っていた。接着強さについて従来型と比較すると,銀配合型は象牙質に対する接着性には大差がないが,エナメル質に対しては有意に低い値を示した。銀配合型と従来型について,器械練和用と手動練和用とを比較すると,機械的性質と接着強さのすべてに統計的に有意な差は認められなった。ダイアメトラル引張り強さと曲げ強さについては,エナメル質,象牙質に対するせん断接着強さと統計的に有意な関係が認められたが,圧縮強さについてはみられなかった。
  • 武谷 道彦, 村上 信成, 畦森 雅子, 本村 正子, 山本 泰
    1988 年 7 巻 1 号 p. 94-110,136
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    4-META/MMA-TBBレジンセメントと歯科用金銀パラジウム合金の接着を改善するための金属表面の簡便な処理法の比較を,金属同志および金属とエナメル質を接着させて行った。サンドブラストを行って鋳造後の酸化膜を除去し,リン酸で陽極処理を行った場合,37°Cの水中浸漬初期から3ヵ月後まで十分な接着強さを保持していたが,金パラ清掃剤を用いて鋳造後の酸化膜を除去し,リン酸で陽極処理を行った場合は,水中浸漬3ヵ月目で接着強さの著しい低下を生じた。サンドブラストのみ行ったものは,水中浸漬初期の接着強さは小さかったが,水中浸漬3ヵ月目になると接着強さは増加した。
    4-META/MMA-TBBレジンセメントは,水中浸漬中においても常に新しい接着を形成している事が示唆された。
  • YOSHIO KOZONO, M. Eng., D.D. Sc.
    1988 年 7 巻 1 号 p. 111-118
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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