パラジウム基の焼付用合金の基本成分であるPd-Ag, Pd-Cu, Pd-Co 2元合金の熱膨張係数の温度依存性について調べた。その結果,Pd-Ag (Ag<50%), Pd-Cu (Cu<30%)合金の室温から600°Cまでの温度での実熱膨張係数が温度の一次式α=C
1+C
2Tで表されることが明かにされた。また,温度の一次式の定数C
1とC
2が添加元素含有量の一次式で表示できた。すなわち,上記の任意の組成の合金について,任意の温度,温度区間での熱膨張係数が,ここで示された結果を利用して推定できることが明かにされた。
Pd-Cu合金の規則-不規則変態(一次相変態),Pd-Co合金の磁気変態(二次相変態)と熱膨張係数の関係について調べ,相変態前後の熱膨張係数の特徴が明かにされた。そして,合金の相変態を利用することにより,陶材/合金補綴物中の残留応力が制御でき,相変態による合金の強化と残留応力を利用した陶材の強化を同時に図る陶材/合金システムを作成することの可能性が示唆された。
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