動物臨床医学
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11 巻, 3 号
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Original Article
  • 星 克一郎, 田中 綾, 平尾 秀博, 管 慶一郎, 丸尾 幸嗣, 高島 一昭, 野一色 泰晴, 山根 義久
    2002 年 11 巻 3 号 p. 113-120
    発行日: 2002年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    動物のより生体侵襲の少ない体外循環回路と人工肺の開発を目的に犬の開心術を実施し、新しく開発したヘパリンコート人工肺および回路と、ヘパリンコートを行わないノンコート人工肺および回路について、酸素交換能、白血球および血小板の保護について比較検討を行った。両群とも開心術は全く同様な方法で行い、僧帽弁閉鎖不全症を想定して、豚大動脈処理弁を用いて弁置換術を実施した。術前から術後にわたり、両群で経時的に採血を行って血液検査を実施した。酸素交換能はヘパリンコート人工肺は、ノンコート人工肺と比較して、若干の低値を示したものの、ほぼ同様な機能を維持した。また、ヘパリンコート人工肺では、白血球数および血小板数が、体外循環中に低下することなく、有意に高値で推移した。したがって、ヘパリンコート人工肺および回路は、ノンコート人工肺に比較して白血球、血小板などの血液成分保護に優れ、良好な酸素添加能を有していることが示唆された。その結果、新しく開発したヘパリンコート人工肺および回路は、ノンコート人工肺および回路に比較して生体に対し侵襲性の低い体外循環法であると考えられた。
  • 藤村 正人, 岩崎 利郎, 阪口 雅弘
    2002 年 11 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2002年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎と診断した犬23例に対して減感作療法を実施した。治療期間1年未満で5例が治療を中止した。そのため、減感作治療の効果判定は18例を対象とした。治療効果は著効5例、有効7例、効果不十分4例、無効2例で、その有効率は67%であった。また、副作用は1例に確認された。
Case Report
  • 渡辺 仁, 南 心司, 大丸 秀士
    2002 年 11 巻 3 号 p. 127-130
    発行日: 2002年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    インドホシガメに直径25mmの膀胱結石を認めた。自力排出が期待されないことや全身状態の悪化から腹甲切開による膀胱結石摘出術を施し、治癒させることができた。術後の経過は良好だが、腹甲の修復には長期間が必要であった。
  • 粟村 雄一, 内田 和幸, 山崎 桜子
    2002 年 11 巻 3 号 p. 131-135
    発行日: 2002年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    11歳、雌の雑種犬が、歩行困難を主訴に来院した。臨床症状、エドロホニウム試験、X線検査および細胞診所見より、胸腺腫に伴う後天性重症筋無力症と仮診断された。臭化ピリドスチグミンとプレドニゾロンの併用により、比較的良好に維持されていたが、4、5カ月後に急死した。病理組織学的検索では、胸腺腫および多発性胸腺嚢胞と診断された。本例では、胸腺腫に対する特異的な治療なしに、腫瘤の縮小が観察された。
  • 清水 美希, 永島 由紀子, 星 克一郎, 平尾 秀博, 小林 正行, 田中 綾, 丸尾 幸嗣, 山根 義久
    2002 年 11 巻 3 号 p. 137-142
    発行日: 2002年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    乳糜胸により呼吸困難を示した1歳10カ月齢の雄のラブラドール・レトリバーに遭遇した。心臓超音波検査にて右室腔内に突出する異常構造物が認められ、その直後で乱流を示すモザイクパターンが確認された。連続波ドプラ法による血流速度は5.19m/秒、圧較差は107.7mmHgであった。さらに三尖弁中隔尖の肥厚、および三尖弁逆流が確認された。心カテーテル検査により右室内圧の著明な上昇が認められ、右室造影検査にて右室腔内における造影剤の欠損像が認められた。これらの検査所見より右室二腔症と先天性三尖弁形成不全症が示唆された。その後、頻回の転倒発作が認められるようになり病態の進行が示唆されたため、人工心肺装置による体外循環下開心術により右室流出路における異常な筋肉様組織と膜様物を切除した。術後は、失神発作の消失や圧較差の顕著な減少が得られたことから、犬の右室二腔症に対して人工心肺装置を使用した体外循環下開心術による治療が非常に有用であることが示された。
  • 柴崎 哲, 片本 宏, 野村 紘一
    2002 年 11 巻 3 号 p. 143-146
    発行日: 2002年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    2カ月間にわたる元気消失、腹水貯留、運動不耐性を主訴に3歳のジャーマンシェパード(27.2kg)が大阪府立大学付属家畜病院に来院した。血液検査および血液生化学検査では著変は認められなかったが、心電図検査において著明な洞性の除脈および不安定なP波が認められた。心エコー図検査では、軽度の左心室腔の拡張と左心室収縮率の低下以外に著変は認められなかった。アトロピン試験により、洞不全症候群と診断し、イソプロテレノールとジピリダモールの内服による治療および運動制限を実施したところ、良好に経過し臨床症状の改善がみられ、現在無投薬にて良好に経過している。本症例は、大型犬には珍しい洞不全症候群(Rubenstein II型)であると考えられた。
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