犬の気管虚脱の外科的治療に用いる気管外プロテーゼは、シリンジケースなどのポリプロピレンを用いたものが一般的であるが、その治療成績は一定しない。そこで、光ファイバー用のアクリル材が持つ材質の特性に注目し、ジグザク状円筒型を呈するParallel Loop Line Prostheses(PLLP)を考案した。従来のラセン形の形状から脱却することで、手術時における操作性の向上を図った。このPLLPの有効性を確認する目的で、気管虚脱を呈する4~8歳齢の小型犬5症例に対し、PLLPを用いて外科的矯正術を行った。その結果、優れた操作性と良好な成績が得られ、さらに縫合・固定における理想的な力学的特性が認められた。