動物臨床医学
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11 巻, 4 号
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Original Article
  • 米澤 覚, 矢島 信一, 米澤 るり子, 鎌田 信一
    2003 年 11 巻 4 号 p. 155-161
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    犬の気管虚脱の外科的治療に用いる気管外プロテーゼは、シリンジケースなどのポリプロピレンを用いたものが一般的であるが、その治療成績は一定しない。そこで、光ファイバー用のアクリル材が持つ材質の特性に注目し、ジグザク状円筒型を呈するParallel Loop Line Prostheses(PLLP)を考案した。従来のラセン形の形状から脱却することで、手術時における操作性の向上を図った。このPLLPの有効性を確認する目的で、気管虚脱を呈する4~8歳齢の小型犬5症例に対し、PLLPを用いて外科的矯正術を行った。その結果、優れた操作性と良好な成績が得られ、さらに縫合・固定における理想的な力学的特性が認められた。
  • 橋本 志津, 山村 穂積, 佐藤 常男, 金山 喜一, 酒井 健夫
    2003 年 11 巻 4 号 p. 163-166
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    乳腺腫瘍発症犬46症例の腫瘍組織中エストロゲン(ER)およびプロゲステロンレセプター(PR)濃度を測定した。乳腺癌23症例のER濃度およびPR濃度の平均値は、MacEwenらの分類によるステージI(n=8)では7.76と11.30、ステージII(n=6)では8.54と10.37、ステージIII(n=7)では5.61と10.06、ステージIV(n=1)では4.57と9.14、ステージV(n=1)では1.97と5.07fmol/mg proteinであった。乳腺悪性混合腫瘍23症例のER濃度およびPR濃度は、ステージI(n=20)では9.06と16.27、ステージII(n=2)では3.04と15.23、ステージIII(n=1)では1.97と4.44fmol/mg proteinであった。これらの乳腺腫瘍各症例のERおよびPR濃度は、病態ステージの進行に伴い、低値を示す傾向を認めた。症例数は少ないが、その傾向はER濃度で顕著であった。
Case Report
  • 房岡 輝行, 坂口 裕隆, 末神 和弘, 秋山 達
    2003 年 11 巻 4 号 p. 167-170
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    7カ月齢で両前肢の歩様異常と疼痛および後肢のふらつきを呈した雄犬のボルゾイが来院した。血液検査および単純X線検査では顕著な異常は認められなかった。左後肢の縫工筋の筋生検では、病理組織学的に筋線維はび慢性に大小不同を呈し、変性壊死した筋線維も観察され、筋原性筋疾患が疑われた。症例は徐々に起立不能となり飼い主の意向で安楽死した。剖検による上腕三頭筋、大腿二頭筋、胸筋、横隔膜、心筋および坐骨神経の病理組織学検査において、心筋を除くその他の筋組織には筋萎縮した大小の領域を伴い、神経原性筋萎縮所見が認められた。また、坐骨神経には多病巣性に神経内膜の線維症を伴うワーラー型の軸索変性が認められた。従って本症例はニューロパシーであると示唆されたが、その原因を特定できなかった。また、他院に於いて兄弟犬が同様の症状を呈し突然死したが、病理学的検査は行われなかった。以上のことからボルゾイにおいても遺伝性のニューロパシーが存在する可能性があり、今後同様の症例を収集し、検討すべきであると考えられた。
  • 山岡 佳代, 八村 寿恵, 甲斐 千恵美, 松本 光晴, 網本 昭輝
    2003 年 11 巻 4 号 p. 171-173
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    避妊済みのフェレット2症例で、外陰部の腫大が認められた。年齢、発症時期、hCG投与への反応より発情が疑われた。試験開腹を行ったところ卵巣の遺残が確認された。
  • 角田 睦子, 宮本 昌廣, 河村 美登里, 富永 参代, 角田 利一, 平野 健
    2003 年 11 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    避妊済み雌、3歳、去勢済み雄、4歳、去勢済み雄、3歳の3頭のフェレットが、尾端に生じた腫瘤が次第に大きくなってきたとのことで来院した。腫瘤はいずれも最後尾椎に発生しており、表面は無毛で光沢があり、硬く、痛みやかゆみの兆候は認められなかった。いずれの症例も、レントゲン検査で腫瘤の中心部に石灰化が認められた。第1例と第2例では経過観察中に腫瘤が徐々に拡大する傾向が認められたため、初診より3カ月後と10カ月後に、また第3例については初診から10日後に、それぞれ腫瘤を外科的に完全に切除した。症例1は術後18カ月、症例3は22カ月を経過した時点で、再発および転移の兆候は認められておらず、良好に推移している。症例2については切除後の来院がなく経過は不明である。切除した腫瘤を病理組織学的に検索した結果、3例ともに脊索腫と診断された。
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