動物臨床医学
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13 巻, 2 号
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Original Article
  • 城下 幸仁, 山根 義久
    2004 年 13 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    犬における末梢静脈血の血液ガス分析値の臨床応用への適応限界を提示するため、連続した61例の循環動態が維持された外来患犬より続けて採取した動脈血と末梢静脈血サンプルを用い、両者の血液ガス分析値を比較した。末梢静脈血は、安静時に横臥で駆血をせず、シリンジ内に空泡を混入せずに採取された。そのサンプルは、動脈血のpH,炭酸ガス分圧(Pco2)、重炭酸塩濃度([HCO3-]),塩基過剰(Base Excess、以下B.E.)値とかなりの相関を示したが(R2 = 0.56 - 0.79)、pHで動脈血値より有意に低く、Pco2で有意に高く、Po2で有意に低く、[HCO3-]で有意に高い値を示した。B.E.値は動脈血値と有意差なく臨床的にも差がないと考えられた。末梢静脈血のB.E.値は臨床目的に動脈血値と代用可能である。末梢静脈血サンプルの血液ガス分析値は、B.E.を除き、動脈血のおおよその値を推測するにすぎず動脈血値に代用できない。
  • 上林 譲, 寺村 浩一, 下城 真佐子, 吉田 紘子, 深田 恒夫
    2004 年 13 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    犬におけるワクチネーションプロトコールを検討するにあたり、その基礎的資料を提供するために、臨床上健康な犬でコアワクチンである犬パルボワクチン(CPV)および犬ジステンパーワクチン(CDV)を毎年接種している犬(毎年接種群)と3年前に接種し、それ以降接種していない犬(3年毎接種群)の抗体価を比較検討した。CPV Hemoagglutianting inhibition(HI)抗体では毎年接種群と3年毎接種群の間に有意差(p<0.05)が認められた。感染防御ありとした64倍以上抗体価を示した犬は毎年接種では17頭中全頭であり、3年毎接種では18頭14頭(78%)であった。CDV中和抗体では毎年接種群と3年毎接種群の間に有意差は認められなかった。64倍以上の抗体価を示した犬は毎年接種では17頭中16頭(94%)であり、3年毎接種では18頭中11頭(61%)であった。したがって、臨床獣医師にとっては犬の疾病予防の責任を果たす必要からこれらの混合ワクチンは毎年接種が必要と思われる。
Case Report
  • 馬橋 幸人, 上野 芳樹, 島村 俊介, 清水 美希, 小林 正行, 平尾 秀博, 田中 綾, 丸尾 幸嗣, 町田 登, 山根 義久
    2004 年 13 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    9歳齢の雌のハスキー犬が頸部腫瘤を主訴に来院した。各種検査結果より手術適応と判断し、外科的摘出手術を実施した。術後血中チロキシン、カルシウム濃度が低下したため甲状腺ホルモン剤、カルシウム剤、ビタミンD剤を投与したが、カルシウム濃度は安定させることはできなかった。しかし活性型ビタミンD3剤を投与することにより、血中カルシウム濃度を安定化させることが可能であった。甲状腺癌の摘出と同時に上皮小体も摘出されていることが示唆された。
  • 斉藤 久美子, 長谷川 篤彦
    2004 年 13 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    子宮からの出血および重度の貧血(PCV≤19%)を呈した兎4症例に遭遇した。全例で食欲は低下ないし廃絶し、また元気も低下ないし消失していた。3例では子宮出血による著しい血尿が認められ、緊急に卵巣子宮全摘出術を行った。これらは子宮内膜過形成であった。重度の貧血にもかかわらず血尿がみられなかった1例も緊急手術を施したが、これは子宮捻転を伴った子宮水腫であった。また貧血の症例の手術において輸血と酸素療法は極めて重要であると思われた。血尿のみられた1例は術後3日目に死亡したが他の3例は救命することができた。
  • 千葉 達成, 佐々木 恵, 千葉 知江, 町田 登
    2004 年 13 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    3歳、雄のチワワが歩行困難を主訴に来院した。本症例は2歳時にすでに跛行が認められており、次第に症状が悪化して歩行不能に至った。単純X線検査で両側の手根関節および足根関節にびらん性関節炎が認められた。関節病変以外には、心エコー検査により弁膜の肥厚・逸脱に伴う僧帽弁閉鎖不全症が認められた。変性ウサギIgGを用いたリウマチ因子の検出結果は陰性であり、関節包の生検でも関節リウマチを確定する所見は得られなかったが、X線および心エコー所見から僧帽弁傷害を随伴した関節リウマチと仮診断した。関節リウマチおよび僧帽弁閉鎖不全症に対する内科的治療を実施したが症状は進行性に悪化し、6カ月後に肺水腫のため死亡した。病理学的検索の結果、関節リウマチならびにリウマチ性心疾患(心内膜炎、心筋炎および心外膜炎)と確定診断された。
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