2002年1月~2004年1月の2年間に山根動物病院(鳥取県倉吉市)および米子動物医療センター(同県米子市)に来院した鳥取県および岡山県内で飼育または保護された犬20頭とキツネ2頭の合計22頭について臨床症状,血液性状および血清抗体検査を検討した結果,レプトスピラ症と診断した。
犬の1例を除いてワクチン接種は行われていなかった。臨床症状としては全頭で食欲および元気消失,またほとんどの例で高窒素血症由来と思われる神経症状および嘔吐が認められた。血液検査結果から,重度腎不全および肝機能障害が認められた。
今回のレプトスピラ症の発生は山や河川周辺で飼育された犬だけでなく,市街地で飼育された犬においても認められた。このことは,他の多くの飼育・家畜動物および野生動物への感染の危険性を示唆するものであり,今後さらに正確な診断・治療の確立が必要であること,ワクチン接種などの予防措置の啓蒙および普及が必要であることが認識された。
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