動物臨床医学
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15 巻, 4 号
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Original Article
  • 矢田 新平, 北野 寿, 守 祐子, 原 広幸, 下内 可生里, 矢田 乃路子
    2006 年 15 巻 4 号 p. 103-111
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/14
    ジャーナル フリー
    過去16年間(1990~2005年)に亘り犬と猫の外傷性股関節脱臼の観血的整復術で,経寛骨臼ピンニング法を78症例に施術してきた。外傷性股関節脱臼の観血的整復術にはこれまで複数の術式が提唱されてきたが,その選択に際し,術式がシンプルで手術時間が短くさらに術者患者ともに負担の少ない術式を念頭において経寛骨臼ピンニング法を選択した。本術式で大腿骨頭にピンを刺入する際の煩雑さは大腿骨頭刺入ピン誘導具(通称,Gポイントガイド)の開発で解決した。骨頭に刺入するピンの太さは骨頸の幅に0.16をかけ,その値に1を加えた値が臨床的に応用できた。骨盤腔内側に露出するピン先の長さは猫では股関節窩の深さに3mm加えた長さ,中型犬では5mm加えた長さが有効であった。78症例中4例で再脱臼,便秘,ピンの「くの字」弯曲のいずれかの併発症がみられたが,その他の74例(94.9%)では全て良好な結果が得られた。
  • 才田 祐人, 田中 綾, 曽田 藍子, 清水 美希, 島村 俊介, 平尾 秀博, 山根 義久
    2006 年 15 巻 4 号 p. 113-118
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/14
    ジャーナル フリー
    肺動脈狭窄症(PS)は大動脈狭窄に次いで発生頻度の高い先天性心疾患である。
     PSの病態把握には超音波検査が有用であり,PSの重症度評価指標としてはドプラ法によって肺動脈血流速度から算出される圧較差が主に用いられている。
     しかしながら,圧較差が80mmHgを超えていながら症状を示さない個体もみられ,圧較差のみでの重症度判定には限界がある。したがって,超音波検査においては,より臨床症状との相関性を有した指標が求められ,今回,左室系パラメータに着目し,圧較差および臨床症状との関係について調査した。
     圧較差が80mmHgを超える症例では一回拍出量の減少がみられ,特に左室内径短縮率(FS)が60%以上に亢進したPS犬においては,右室圧負荷に由来する心室中隔の偏位が認められた。左室系パラメータの一つであるFSは圧較差に依存せず,より臨床症状を反映する指標としてPSの病態評価に有用であると思われた。
  • 深瀬 徹
    2006 年 15 巻 4 号 p. 119-123
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/14
    ジャーナル フリー
    ネコノミの自然感染を受けている犬6頭および猫6頭からノミを採取し,各分離株について,ペルメトリンとフィプロニル,イミダクロプリドに対する感受性をin vitro において検討した。種々の用量の薬物を滴下したシャーレにノミを収容し,24時間後にノックダウンの状況を観察したところ,いずれの薬物もノミに対する高いノックダウン効果を示した。ただし,ノミの分離株によっては,薬物に対する感受性に多少の差異が認められた。
  • 深瀬 徹
    2006 年 15 巻 4 号 p. 125-129
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/14
    ジャーナル フリー
    蚊の吸血の防止法を確立するための基礎的検討として,ヘアレスラット(HWY/Slc,雄,4週齢)24個体を1群6個体の4群に分け,無処置対照群,ペルメトリン100mg/kgプアオン投与群,フィプロニル7mg/kgスポットオン投与群,イミダクロプリド10mg/kgスポットオン投与群とし,それぞれの投薬を行った。その後,各ラットを1個体ずつケージに収容し,そのケージを主にアカイエカが大量に発生している環境に設置して30分間にわたり蚊の飛来と吸血の状況を観察した結果,無処置対照群とフィプロニル投与群,イミダクロプリド投与群のラットは多数の蚊による吸血を受けたが,ペルメトリン投与群のラットから吸血を行った蚊の数は有意(p<0.05)に少ないことが確認された。次いで,ラットにおいて効果が認められたペルメトリンを同一用量でプアオン投与した犬と猫を同一環境に係留したところ,蚊の吸血を防止することが可能であった。
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