動物臨床医学
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20 巻, 3 号
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特別寄稿
原著
  • 上垣 華穂, 李 奇子, 佐々木 直樹, 石井 三都夫, 古岡 秀文, 廣川 和郎, 成澤 昭徳, 山田 一孝
    2011 年 20 巻 3 号 p. 77-81
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    子牛の肺炎診断を目的に,11頭の子牛に対して立位で胸部側方向像のComputed Radiography(CR)撮影を行った。撮影条件の失宜による取り直しはなく,全例で肺後葉の観察が可能であった。今回の基礎的検討では,肺後葉の病変の摘発が可能であったが,前葉の病変は描出できなかった。この結果から,子牛の胸部におけるCR診断は肺炎のひろがり診断,重症度判定に有効と考えられた。
  • 高島 一昭, 山形 静夫, 山根 義久
    2011 年 20 巻 3 号 p. 83-88
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    犬の外眼部炎症性疾患の臨床例に対する0.05%ジフルプレドナート点眼薬の有効性と安全性を評価した。対照薬剤として0.1%プラノプロフェン点眼薬を用い,無作為にジフルプレドナート群(D群)とプラノプロフェン群(P群)に群分けし,比較検討した。外眼部炎症性疾患である結膜炎症例165例,角膜炎症例14例,眼瞼炎症例21例,合計200例を対象とした。治療効果として,有効以上を示した症例は,D群では101例中94例(93.1%),P群では99例中81例(81.8%)であり,両群とも高い効果が認められたが,各群に有意差は認められなかった。しかしながら,3日目においてD群がP群に対し有意な改善が認められたため,D群のほうがP群より即効性があるものと考えられた。なお,両群に明らかな副作用は認められなかった。したがって,ジフルプレドナート点眼薬は,犬の外部炎症性疾患に対し高い有効性と安全性を示すことが確認された。
症例報告
  • 高橋 義明, 平川 篤, 大道 嘉広, 山本 直人, 田中 美礼, 吉田 満洋, 大塚 浩平, 桑原 慶
    2011 年 20 巻 3 号 p. 89-93
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    10歳3カ月齢,去勢雄のミニチュアダックスフントが1カ月前からの元気・食欲の低下を主訴に来院した。一般血液検査では重度の非再生性貧血と軽度の血小板減少症が認められた。骨髄検査では,赤芽球系細胞の過形成,正染性赤芽球以降の細胞の減少および単核細胞による赤血球と赤芽球の貪食像を認めたことから非再生性免疫介在性貧血と診断した。メチルプレドニゾロンによるパルス療法に対する反応が悪かったため,ヒト免疫グロブリン製剤とシクロスポリンの投与を開始した。その結果PCVの上昇を認め,以後約5カ月間にわたってシクロスポリンを中心とする免疫抑制療法により良好に維持されていた。しかし,第173病日に再燃し,再びヒト免疫グロブリン製剤を投与したが著効はみられなかった。第210病日にシクロスポリンにアザチオプリンを追加投与したが,その後も約4カ月間以上にわたって貧血が持続していたが,第349病日以降にPCVは上昇に転じた。
  • 片山 泰章, 栗谷川 優子, 岡村 泰彦, 高橋 清, 神志那 弘明, 大石 明広, 宇塚 雄次
    2011 年 20 巻 3 号 p. 95-100
    発行日: 2011/09/30
    公開日: 2012/12/18
    ジャーナル フリー
    骨盤狭窄により7カ月間の排便困難を呈する1歳4カ月齢の雑種雄猫に対して,整形外科用ワイヤーをコイル状に加工して作製した簡易スペーサーを用いて骨盤腔拡張術を行った。スペーサーには12 mm幅のコイルを用い,術後に骨盤腔は約30%拡張した。本症例は手術翌日から自力排便が可能となり,特に長期的な食事療法や緩下剤の内服を必要とせず,術後10カ月間良好に維持されている。本症例で用いたコイル状スペーサーは作製が容易であり,近年入手困難とされる既存の特殊形状骨盤拡張プレートの代替法として有効である可能性が示唆された。合併症や予後については,症例数の蓄積および長期的な経過観察が必要である。
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