動物臨床医学
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24 巻, 3 号
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特別寄稿
原著
  • 片岡 康, 武藤 能忠, 伊澤 伸元, 原田 和記, 澤田 拓士
    2015 年 24 巻 3 号 p. 111-118
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    2007~2008年に伴侶動物として飼育されている猛禽類122羽からクロアカスワブを採取し,サルモネラと大腸菌の保菌状況を調べた。サルモネラはすべての検体から分離されなかった。一方,大腸菌は122羽中98羽から分離され,O群型別によりO8が9株,O1が3株,O168が3株,O86が2株,O128が1株であった。タカ目から分離された大腸菌62株中37株(59.7%)がVero毒素産生大腸菌であり,1株(1.6%)が易熱性エンテロトキシン産生大腸菌であった。またフクロウ目から分離された大腸菌36株中17株(47.2%)がVero毒素産生大腸菌であり,7株(19.4%)が易熱性エンテロトキシン産生大腸菌であった。タカ目とフクロウ目から分離された大腸菌の薬剤感受性パターンを比較したところ,タカ目から分離された大腸菌62株中33株(53.2%)が感受性株であり,フクロウ目から分離された大腸菌36株のうち感受性株はわずかに5株(13.9%)しか認められなかった(P<0.05)。
  • ~ 膝蓋骨内方脱臼術後と退院前の荷重の変化 ~
    銀 梓, 松本 みのり, 原田 恭治, 左向 敏紀, 松原 孝子
    2015 年 24 巻 3 号 p. 119-123
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,歩行時の荷重測定を用いて術後機能回復の経過を把握することの有用性を動物看護の視点から検討することである。研究方法は,健常犬3事例と膝蓋骨内方脱臼の手術を行った犬3事例の術後歩行における肢にかかる荷重の測定結果を比較した。さらに,術後と退院前の荷重の変化を比較した。その結果,個別性のある機能回復の経過を把握することができた。手術部位が両側か片側か,手術時の年齢などの違いによって回復の経過が異なること,さらに,視診と異なり客観的に評価出来た。よって,比較的簡易に測定できる荷重の測定は,術後の経過やリハビリの成果など個別の回復を把握するために,動物看護師の観察の客観的なツールの1つとして有用である。
症例報告
  • 羽迫 広人, 山本 健人, 佐藤 立人, 相津 康宏, 白永 純子, 白永 伸行
    2015 年 24 巻 3 号 p. 124-127
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    当院で2012年度に臨床症状,犬膵特異的リパーゼ(Spec cPL)の高値より急性膵炎と診断した20例の犬を対象に回顧的調査を行った。Spec cPLと犬リパーゼ活性(v-LIP)の間に有意な相関を認め,ベッドサイドにおける急性膵炎の評価にv-LIPは有用であると考えられた。またv-LIPは急性膵炎単独の症例と比較し,併発疾患を伴う症例では治療による数値の下降は長期間を要する傾向にあった。CRPは初診時に低値を示したが翌日以降上昇する例が散見され,初期病態の評価には注意が必要であることが示唆された。
  • 大成 衷子, 白石 加南, 八村 寿恵, 山岡 佳代, 和田 慎太郎, 網本 昭輝
    2015 年 24 巻 3 号 p. 128-131
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    7才齢雄のウサギが食欲低下と元気消失を主訴に来院した。 背弯姿勢,腹部の疼痛がみられたためX線検査を行ったところ,左右腎臓の腎盂内に結石が認められた。鎮痛剤や皮下輸液などによる内科的な治療を行っていたが,第8病日に右腎盂内にあった結石が尿管に移動し尿管閉塞を起こした。腹部超音波検査で右腎盂と尿管の拡張が認められたため,右尿管切開を行い結石の摘出を行った。結石の主成分はシュウ酸カルシウムであった。術後の経過は良好であったが,第21病日に腰をうかす姿勢をとり排尿回数が多いとのことで来院した。左腎盂内にあった結石が尿管に移動し,左腎盂と尿管の拡張を起こしていたため,左尿管切開を行い,結石の摘出を行った。経過は順調であったが,第64病日(2回目の手術から43日目)に元気消失,頻尿を訴えX線検査にて右腎盂内に新たな結石が形成されたことを確認した。以降必要に応じ皮下輸液や鎮痛剤の投与を行い維持し,日常生活に支障はなかった。しかし第691病日(2回目の手術から670日目)に左右腎盂内の結石の増大と,BUNおよびCreの上昇がみられ,第887病日(2回目の手術から866日目)に腎不全の悪化により死亡した。
  • 高橋 義明, 平川 篤, 山本 直人, 田中 美礼, 吉田 満洋, 桑原 慶, 浦 亜沙美, 阿波 利英, 堂森 あすか
    2015 年 24 巻 3 号 p. 132-137
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    出血傾向を伴う重度な血小板減少症を呈し,骨髄検査を含む各種臨床検査により免疫介在性血小板減少症と診断した犬2例に対して,プレドニゾロンとシクロスポリンによる免疫抑制療法を実施した。症例1は寛解後,プレドニゾロンを休薬しシクロスポリン単独投与による維持療法において再発した。プレドニゾロンの再開で再寛解し,シクロスポリンをアザチオプリンに変更するもプレドニゾロンを減量すると再発した。そこでアザチオプリンをレフルノミドに変更したところ,プレドニゾロンの休薬が可能となり,レフルノミド単独投与により寛解が維持されている。症例2は寛解後,プレドニゾロンを休薬し,シクロスポリン単独投与による維持療法中に歯肉増殖症を発症したため,シクロスポリンをレフルノミドに変更したところ,歯肉増殖症は消失し,レフルノミド単独投与により寛解が維持されている。
短報
  • -体圧高値部位の把握と低反発ウレタンマットを用いた看護介入-
    長澤 優紀, 小泉 紫織, 左向 敏紀, 松原 孝子
    2015 年 24 巻 3 号 p. 138-140
    発行日: 2015/09/30
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル フリー
    全身麻酔を受ける看護動物の看護を考える中で,犬の体圧は分析されているが,現代の獣医療において主要な看護動物である猫の体圧は研究されていない。そこで本研究では,全身麻酔下仰臥位の猫における,体圧高値部の把握を行った。さらに,体圧高値部位の減圧のため,低反発ウレタンマットを用いた検討を行った。その結果,仰臥位の猫における体圧高値部位は,頭部,肩甲骨部,腸骨部であった。加えて,手術台に対する上顎の角度が異なれば,体圧値は変化するという示唆を得ることが出来た。また,体圧高値部位の減圧を目的で低反発ウレタンマットを用いることは,有効であることが考えられた。しかし,4 kg未満の個体では,減圧効果がみられない部位もあった。今後,体重と減圧効果の関係についても検討が必要であると考える。
資料
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