動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
Print ISSN : 1344-6991
ISSN-L : 1344-6991
25 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特別寄稿
原著
  • 廣瀬 快, 髙島 一昭, 山根 剛, 山根 義久
    2016 年 25 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    公益財団法人 動物臨床医学研究所の附属施設である人と動物の未来センター“アミティエ”に保護され,コクシジウム症と診断した猫19頭に対して,トルトラズリル(豚用バイコックス®)を用いて治療を行い,その有効性を検討した。トルトラズリルは,30 mg/kg PO 単回,30 mg/kg PO 2日連続,30 mg/kg PO 3日連続/週の2週間の3通りで経口投与した。駆虫率はそれぞれ,33.3 %,83.3 %,100 %であり,トルトラズリルの高い有効性が確認された。また,トルトラズリルは2~3日の連日投与およびオーシスト排泄の予防効果が認められなくなる投与10日目以前に再投薬を行うことが重要であると考えられた。

症例報告
  • 岡村 健作, 樋口 悦子
    2016 年 25 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    胃腸運動鬱滞による急性胃拡張に罹患したウサギは,激しい疼痛とショック症状に陥り,治療を施すも斃死に至るケースがある。致死的リスクを判断することは困難で,来院時に容易にこれを判断できるようになることは非常に有益となる。今回,致死的リスクを高感度に検査できる方法を検討するため,本疾患に罹患したウサギ28羽(回復群23羽,死亡群3羽,救命群2羽)と健常ウサギ33羽に関して研究を行った。来院時のX線画像において死亡群の大動脈径は回復群に比べて有意に縮小していた。健常群の検討から,大動脈径は体重と中等度の相関があることが示唆された。救命群では縮小していた大動脈径が治療後に体重相当にまで回復したことから,X線大動脈径測定が最も信頼性の高いリスク評価検査である事が示唆された。この病態は,ショックによる低血圧に続く,大動脈圧受容器の反射による動脈の収縮が関連している可能性があると考えられた。

  • 松本 浩毅, 吉松 宏基, 手嶋 隆洋, 小山 秀一
    2016 年 25 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    甲状腺機能低下症と医原性副腎機能低下症をともなう犬アトピー性皮膚炎(CAD)と診断されたゴールデンレトリバーの血清脂肪酸濃度を測定した。治療開始前の血中脂肪酸濃度は,24種類中11種類が基準値の範囲を超えていた。加療とともに皮膚の状態は改善傾向を示したが,第180病日には皮膚の状態が再び悪化した。その時点の血清中脂肪酸濃度は,基準値を超えていたのは1種類のみであり,11種類は基準値よりも低値であった。そのため,脂肪酸サプリメントを治療に加えたところ皮膚の状態は劇的に改善した。本症例における血清中脂肪酸濃度の測定は,脂肪酸サプリメントを給与するタイミングの見極めに役だった。

  • ~術後創部の治癒過程を観察した2事例~
    小林 真歩, 神野 信夫, 安田 暁子, 松原 孝子
    2016 年 25 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー

    術後創部の異常を早期に発見するためには,創部の疼痛や不快感などが重要な情報となる。しかし,動物看護においては,動物から症状の訴えを得ることは困難である。そのため,客観的な観察から早期に異常を発見することが求められる。そこで今回,外科手術後の看護動物2事例を対象とし,治療経過とともにサーモグラフィを用いた創部の観察を行った。その結果,1事例においては,腫脹・発赤を認めた創部がサーモグラフィ上で周辺部より高温を示し,肉眼的に炎症が消失し治癒が進行するに従い,創周囲との温度差が減少し均一な温度分布となった。また,2事例目では,創部に形成された潰瘍内において,組織が壊死している領域が低温を示し,創状態が悪化していることが確認された。以上,創部に炎症所見を認めた2事例に対して撮影を行うことで,創の状態を継続的にモニタリングすることができ,術後の創傷治癒過程の観察,創部の予後予測にサーモグラフィを用いることができる可能性が示された。

資料
feedback
Top