動物臨床医学
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25 巻 , 3 号
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特別寄稿
症例報告
  • 馬場 亮, 戸野倉 雅美, 松木薗 麻里子, 高橋 香, 鴇田 真弓, 市橋 弘章, 伊藤 寛恵, 文原 千尋, 藤野 浩子, 小暮 啓介, ...
    2016 年 25 巻 3 号 p. 93-96
    発行日: 2016/09/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー

    歯周病をはじめ,犬の歯科疾患の中には,抜歯をせざるを得ないことも少なくない。歯科治療中は超音波スケーラーによる歯石除去やバーによる歯の分割,歯槽骨の切削時に頻繁に冷水を歯面や口腔粘膜に接触させる。そのため,生体はより熱を失いやすくなり,術中に低体温症をしばしば発症する。今回,動物用歯科ユニット(オーラルベットⅡ,発売元 モリタ製作所 製造販売元 モリタ東京製作所)内の洗浄水を加温し,その温水を歯科処置中に使用することによって,術中の低体温症に対する予防効果を検討した。症例は体重,体格(BCS),年齢を揃えて,温水群と冷水群の2群に区分した。術中に体温が36.9℃に達するまでの体温低下の速度の違いを2群間で比較検討した。2群間において,36.9℃までの体温の低下速度に有意な差は認められなかった。しかしながら,復温後の体温の上昇速度では,温水群は冷水群に比較して有意に速いことが示された。

  • 小川 祐生, 八村 寿恵, 山岡 佳代, 和田 慎太郎, 大成 衷子, 網本 昭輝
    2016 年 25 巻 3 号 p. 97-100
    発行日: 2016/09/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー

    猫の若年性歯周病は乳歯列から永久歯列への交換の時期に始まる歯肉・歯周炎であり,過形成性歯肉炎と若年性歯周炎に大別される。本症例は発症が4.5カ月齢時で,重度の歯肉炎や歯周炎がみられたことから若年性歯周炎と診断し,抗生剤やステロイドなどによる一般的な内科的治療を実施したが奏功しなかった。歯肉炎を起こし歯肉後退を起こした部分と,それに続く健康な歯を含めた全臼歯抜歯を実施したところ症状の軽快を得た。本症例により,第一選択の治療であるスケーリングや,ステロイド剤や抗生物質などの内科的治療に反応が見られない症例に対して,全臼歯抜歯が有効な治療法であることが示された。

  • 諏訪 晃久, 安川 邦美, 小路 祐樹, 羽迫 広人, 片山 龍三, 西森 大洋, 森本 寛之, 下田 哲也
    2016 年 25 巻 3 号 p. 101-104
    発行日: 2016/09/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー

    12歳のビーグルが全身の体表リンパ節腫大で来院した。各種検査結果からB細胞性高悪性度リンパ腫と診断した。症例は形質細胞性腫瘍に特徴的な高カルシウム血症とモノクローナルガンモパチーを随伴していた。UW25(the University of Wisconsin-Madison protocol)による治療の結果,全身の体表リンパ節の腫大は改善したが,高カルシウム血症とモノクローナルガンモパチーは改善しなかった。さらに皮下腫瘤が発生し,病理検査およびリンパ球クローナリティー検査の結果から,B細胞性大細胞型リンパ腫と診断した。メルファランとプレドニゾロンの治療に変更したところ,高カルシウム血症とモノクローナルガンモパチーは速やかに改善した。以上のことから症例は治療反応性の異なる2種の病態を呈していたと考えられた。

  • 佐藤 和昭, 金井 一享, 畑井 仁, 古林 与志安, 山下 洋平, 木村 祐哉, 伊藤 直之
    2016 年 25 巻 3 号 p. 105-108
    発行日: 2016/09/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー

    乳頭腫には,パピローマウイルス性と非ウイルス性起因が考えられている。犬の結膜乳頭腫に関する報告は非常に少ないが,その中でも多くがパピローマウイルスとの関連性が示されており,非ウイルス性乳頭腫(扁平上皮乳頭腫)の報告は1報のみである。今回,左眼の球結膜に腫瘤が認められた犬(チワワ,未避妊雌,9歳11カ月齢)において,腫瘤を外科的に切除するとともに,摘出組織の病理組織学的検査を行い,扁平上皮乳頭腫と診断した。しかし,ウイルス感染でしばしば観察される空胞変性が一部上皮にみられたため,抗ウシパピローマウイルス抗体を用いた免疫組織学的検索を行ったが,ウイルス抗原は検出されなかった。結膜乳頭腫において,一般的に病理組織学的検査よりウイルス性乳頭腫と非ウイルス性乳頭腫の鑑別は可能であるが,本症例のようにウイルス性起因が一部疑われる症例に対してはウイルス学的検索が補助診断に重要となると考えられた。

  • 三谷 浩気, 秋山 今日子, 秋山 道子, 岩田 徳余, 真下 忠久
    2016 年 25 巻 3 号 p. 109-113
    発行日: 2016/09/25
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル フリー

    去勢済雄,8歳齢のミニチュアダックスフントが元気・食欲の低下と排尿障害を主訴に来院した。腹部X線検査および超音波検査にて石灰化を伴う前立腺肥大を認め,細胞診検査にて異型性の高い上皮系細胞を認めた。前立腺腫瘍による尿道閉塞と診断し,膀胱前立腺全摘出術を実施した。病理組織検査結果において前立腺癌と診断された。手術により排尿障害は改善したが,早期に腫瘍の全身的進展を認め第97病日に斃死した。膀胱前立腺全摘出術による前立腺癌の完全切除は困難であり,腫瘍進展の制御には術後補助療法が必要となる。本症例のように術前に腫瘍の肉眼的転移所見を認めない症例においても,前立腺癌に対する全身療法の有効性が明らかでない現状では膀胱前立腺全摘出術の適用は慎重に検討すべきである。また膀胱前立腺全切除術のみでは生存期間の延長は望めないと考える。

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