13歳のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが半年前からの運動時の呼吸困難と体重減少を主訴に来院した。麻酔下での口腔内の肉眼所見では,軟口蓋を介し両側頬粘膜に連続する形で口咽頭を占拠する5×3 cm の口咽頭腫瘤が確認された。本症例は,腫瘤減容積処置中に心停止で死亡した。剖検により,病理組織学的検査から,肺,リンパ節,腫瘤で,腺癌および扁平上皮癌成分の共存が認められ,本症例は病理病期stageⅣの口咽頭の腺扁平上皮癌と診断された。口咽頭部腫瘍の鑑別疾患に,稀な疾患ではあるものの,腺扁平上皮癌の可能性も考慮する必要があると考えられる。