動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
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31 巻, 1 号
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特別寄稿
原著
  • −脂肪組織を利用した細胞療法に向けて−
    佐藤 慶太, 阪本 裕美, 中山 智宏, 坂井 学
    2022 年 31 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    脂肪組織由来間葉系幹細胞は進行した慢性肝炎の犬の細胞療法に期待される。しかし,進行した慢性肝炎の犬では栄養状態の悪化から細胞源である脂肪組織の採取部位について検討する必要がある。本研究では,慢性肝炎の犬の脂肪組織の分布と採取について検討した。慢性肝炎の犬25頭(うち進行群11頭,非進行群14頭)を研究対象とした。慢性肝炎・進行群では皮下脂肪面積が腹腔内脂肪面積と比較して有意に低値を示した。また,慢性肝炎・進行群は慢性肝炎・非進行群と比べて腹腔内脂肪面積/皮下脂肪面積比が有意に高値を示した。さらに,慢性肝炎・進行群の犬1頭で腹腔鏡下脂肪採取を試みた結果,生検鉗子で容易に採取が可能であった。以上の結果から,進行した慢性肝炎の犬において,腹腔鏡下肝生検の際に腹腔内脂肪組織を同時に採材することで,脂肪組織由来間葉系幹細胞に必要な十分な細胞源を安全かつ容易に採取することが可能と考えられた。

症例報告
  • 佐橋 悠, 佐橋 三和子, 中東 礼子, 北野 優香里, 日笠 喜朗
    2022 年 31 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    症例は猫,雑種,約7歳,去勢雄。1カ月前より,食欲の低下と流涎を認めるようになった。口腔内は,重度歯周炎が認められ,上顎犬歯は動揺していた。重度歯周炎による食欲低下と診断し,第30病日に全身麻酔下にて残存歯の全顎抜歯処置を行った。左下顎犬歯の抜歯処置中にスリーウェイシリンジを使用して処置したところ,左下顎の腫脹と捻髪音を認めた。X線検査では下顎に空気含気像を認め,皮下気腫と診断した。バイタルサインの悪化がないことを確認して処置を継続し,残存歯すべての抜歯処置を行った。処置後,セフォベシンナトリウム8 mg/kgの皮下投与を行った。術後3日目では捻髪音が認めたが,7日目には捻髪音は認めず,X線写真でも含気像は消失していた。創傷部に癒合不全等の問題は認めなかった。本症例より,スリーウェイシリンジを使用する際は,圧縮空気の排出方向,強さなど使用には十分な注意する必要があることがしめされた。

資料
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