動物臨床医学
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9 巻, 4 号
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総説 :
原著 :
  • 下田 哲也, 真下 忠久, 松川 拓哉, 中西 淳, 岩本 竹弘, 長谷川 篤彦
    2001 年 9 巻 4 号 p. 187-192
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/21
    ジャーナル フリー
    1983年から1988年の間に山陽動物医療センターにおいて、FeLV感染に関連した腫瘍性および非腫瘍性疾患と診断された猫400例の背景とその病態生理学的特徴を明らかにした。症例の性別は雄271例 (うち去勢済み52例)、雌129例 (うち避妊済み39例) であった。全症例の69%は4歳以下の若い猫であった。その中で雄雌ともに2歳での発症が最も多かった。400例のうち腫瘍性疾患 (リンパ腫、急性白血病、MDS) は21.3%、非腫瘍性疾患 (好中球減少症、ヘモバルトネラ症、口内炎、膿瘍、FIPなど) は79.7%であった。全症例の約半数は免疫不全や免疫異常のために発症した二次的な疾患であった。初診時の血液検査所見において貧血が68.8%、好中球増加症が27.5%、好中球減少症が30.0%、リンパ球増加症が27.5%、リンパ球減少症が44.9%、血小板増加症が14.7%、血小板減少症が21.8%に認められた。
症例報告 :
  • 内田 恵子, 牧野 みさ子, 塩田 弘幸, 苅谷 和廣, 左向 敏紀, 織間 博光
    2001 年 9 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/21
    ジャーナル フリー
    症例1は9歳齢、雄の日本猫雑種、去勢済みが、排尿障害を主訴に来院した。尿糖 (+++) および血糖値 (423mg/dl) から糖尿病と診断し血糖コントロールを行っていたが、急速に四肢不全麻痺に陥り、歩行困難となった。筋電図検査、運動神経刺激伝導速度、病理組織検査から糖尿病に伴うポリニューロパシーと診断された。血糖コントロールを厳格に行ったところ、6カ月後にはインシュリン治療を離脱し、9カ月後には運動神経刺激伝導速度がほぼ正常までに改善した。
    症例2は14歳齢、雄の日本猫雑種で糖尿病発症後1年10カ月経過し、徐々に歩行異常を併発、その後血糖値が安定し5カ月で神経症状が改善した。
  • 長谷川 承, 古屋 興一, 新田 健, 梅田 昌樹, 武井 達之輔, 左向 敏紀
    2001 年 9 巻 4 号 p. 199-203
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/21
    ジャーナル フリー
    10歳齢、雌のヨークシャテリアが発情後期に糖尿病を発症し、31病日に子宮蓄膿症により卵巣子宮摘出術を行った。その後インスリン療法を中心として良好なコントロールができていたが、181病日に病状の悪化と共に腹部右副腎位に約45×20mm大の腫瘍を認めた。糖尿病との関連を疑い同腫瘍の検査を行ったが、血中コルチゾル濃度は低値を示し、臨床症状やその他の検査からも副腎皮質機能亢進症を示す所見は得られなかった。しかし死後病理学的検査により副腎皮質癌と診断され、左側の副腎皮質も代償性変化と考えられる過形成を示していた。このことから副腎皮質癌は非機能性であることが示唆された。本症例では非機能性の根拠となった各所見が、逆に腫瘍の起源を限定できない原因ともなった。
短報 :
  • 池畑 義久, 佐藤 常男, 白井 弥, 野上 貞雄, 鯉江 洋
    2001 年 9 巻 4 号 p. 205-208
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/21
    ジャーナル フリー
    交通事故死した猫 (雑種、雄、年齢不詳、体重1.3kg) を剖検したところ、右心室内に犬糸状虫 (雄、体長12cm) が一隻寄生していた。病理組織学的検索により肺には好酸球と単核細胞の浸潤および巨細胞の出現を伴う肺内肺動脈の塞栓症が認められた。部位によっては動脈周囲炎や気腫、うっ血もみられ、肺病変は重度かつ広範囲に及んでいた。肺内肺動脈に多数出現していた肥満細胞は電顕的に電子密度の異なる大小不同の顆粒を有し、粒子構造優位型 (Particulate-type) に分類された。それらの顆粒は融合 (fusion) 形成や急速型脱顆粒現象を示唆する迷路状構造 (labyrinth-type) を形成しており、虫体寄生に伴うアレルギー反応のあらわれと考えられた。
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