腐植化度の異なる腐植酸7点を粒子量別に7画分に分画し,各画分の吸光係数(K_<600>,K_<400>),RF,Δ log K および可視部吸光曲線を測定し,各画分の光学的特性を検討して腐植化の進行と粒子量との関係を考察した。1)同一粒子量画分の腐食化度の順はA>B>R_p型腐食酸であり,極低粒子量画分ではΔ log KよりRFの差が大きく,中粒子量画分でRFおよびΔ log Kの差がともに最大となり,高粒子量画分ではRFの差が減少した。2)同一腐食酸の各画分の光学性を粒子量の大小順にみると,A型腐植酸では,中粒子量>低粒子量>極低粒子量の順にK_<600>,RFが高く,Δ log Kは逆になる。高粒子量画分ではK_<600>,K_<400>,RFが低下したが,Δ log Kは中粒子量画分とほぼ同じであった。B型腐植酸も,ほぼ同様な傾向を示すが,K_<600>,RFの上昇はわずかであり,K_<400>は低下した。R_p型腐植酸では,極低粒子量≒低粒子量>中粒子量>高粒子量画分の順にK_<600>,K_<400>,RFが高く,Δ log Kは逆になるが,最も高粒子の >G-200画分ではΔ log Kは高くなった。P型腐植酸の各画分の光学性も緑色部分(P_g)を除けばR_p型腐植酸に類似した。3)粒子量別画分腐植酸の腐食化度の判定基準はK_<600>またはRFが最もよい。4)以上の実験結果から,腐植化の進行は,RFの高いA型腐植酸では,おもに中粒子量までは粒子量の増大と関連しており,RFの低いR_p型腐植酸では,おもに粒子量の減少する過程と関連している。またB型腐植酸では粒子量の増大および減少と関連するこれら両過程が併存しているものと考えられた。5)腐植酸の黒色調を増大させる構造は粒子量約2.5×10^4以下で形成されると推定された。6)腐植酸に含まれるP_gは,その粒子量は小さいが,土壌中では他腐植酸と結合し,高粒子化していると考えられた。
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