アルファルファ摘出根粒を用いて,塩類ストレスによる呼吸,窒素固定,および窒素固定の効率の変化について調べた.呼吸は,二酸化炭素の増加により,窒素固定は,アセチレン還元法により,それぞれ測定した.また窒素固定の効率は,酸素分圧の変化に伴う呼吸と窒素固定の変化より求めた.塩類ストレスの処理は,0,3000,6000 ppm NaCl の3段階で行った. 1)検出器として,TCDを用いることによって呼吸とアセチレン還元を同時に定量できた. 2)呼吸速度は,対照区, 3000 ppm NaCl 区,6000 ppm NaCl 区でそれぞれ 48.24,40.72,32.85μmol/g 新鮮重/h とNaCl 濃度が上がるに従って低下した.また,アセチレン還元速度も,対照区,3000 ppm NaCl 区,6000 ppm NaCl 区で,それぞれ10.60,10.20,5.06μmol/g新鮮重/h とNaCl 濃度が上がるに従って低下した.酸素分圧の低下によっても呼吸とアセチレン還元の有意な低下がみられた. 3)酸素分圧を下げて,呼吸とアセチレン還元を測定することにより,アセチレン還元に対する窒素固定呼吸の比較(R_f)と維持呼吸と成長呼吸の和(R_<mg>)をそれぞれ求めた.R_f とR_<mg> は対照区でそれぞれ2.23,24.01,3000ppm NaCl 区でそれぞれ 2.01,21.45,6000 ppm NaCl 区でそれぞれ 2.01,21.45,6000 ppm NaCl 存在下で,アセチレン還元に対する窒素固定呼吸の比率が,増加した.また,維持および成長に必要な呼吸は,減少した.
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