日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
60 巻, 4 号
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 60 巻 4 号 p. Cover1-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 60 巻 4 号 p. Cover2-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 60 巻 4 号 p. App1-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 岩田 進午
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 271-273
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 久保田 徹
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 274-278
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 近藤 錬三
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 279-282
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
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  • 長谷川 和久, 朝日 俊子
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    水稲栽培に際して北陸産貝化石肥料施用の効果を検討した。 1)酸性の程度が異なる土壌を供試し,イネのポット栽培試験により三要素施肥条件下で土壌pHを矯正するため貝化石を施した場合の効果を炭カルと比較検討した。干拓地の強酸性土壌において貝化石は炭カルに比べ水稲に対する効果は劣る。また松任沖積水田の微酸性土壌では,はっきりした効果がみられなかった。また貝化石の施用は無施用の対照に比べてイネの窒素,リン酸の吸収量を増した。 2)加賀平野の乾田・ムギわらすき込み田のイネについて,10a当たり200kgの貝化石を,複合肥料と併用した効果を枠試験で比較した。経時的な土壌化学性の変化からみると貝化石などの塩基性資材を施用すると見掛け上,7月7日,8月7日のEh値のように時期によって土壌還元の進行をわずかに制御する場合もみられたが,全体的に判然としなかった。またこれらの資材施用により土壌中の可給態窒素量は時期によっては増えるが,可給態リン酸や,二価鉄などについては対照とのはっきりした差はみられなかった。 4)貝化石は既報のように土壌酸性矯正という土壌改良的機能が主で,他にイネに対してカルシウムや一部ケイ素などの吸収を間接的に促す役割を有していると考えられる。
  • 伊藤 滋吉, 飯村 康二
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 290-297
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    水田に施用した有機物(稲わら)の分解過程をGCを用いて,ガス代謝の面から検討した。 1)二酸化炭素の発生量と,酸素の消費量は対応し,高い相関関係が認められた。窒素を施用すると酸素の消費が多くなり,二酸化炭素,メタンの発生量は増加した。酸素の消費は,酸素濃度が変わっても消費速度は,1作期間ほぼ一定であった。2)稲わらを10a当たり600kg施用した場合,1作期間に二酸化炭素(CO_2-C)は289kg,メタン(CH_4-C)を36 kg生成した。 3)田面水中に溶存している二酸化炭素の実測値は,容器中の二酸化炭素分圧と,田面水のpHから計算した計算値と一致し,これらの数値を基に田面水中の溶存二酸化炭素が計算できると考えられた。 4)気相中の二酸化炭素,メタンと田面水および土壌溶液中に溶存している炭酸塩を加えると稲わらの分解量を90〜98%説明できた。 5)稲わらを10a当たり300kg施用すると仮定して,わが国の水田が発生するメタンの量を試算すると発生量は約20万tとなった。
  • 倉持 寛太, 佐久間 敏雄
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 298-306
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    傾斜地畑土壌における浸潤・再分配過程の水移動に対する粗孔隙の影響を理解するため,重水(D_2O) をトレーサーとして用いた現地試験を行った。試験区は斜面上部(試験区I),斜面下部(試験区II)の2カ所に設けた。斜面方向5m,幅1m,深さ0.7mをビニールシートで遮水し試験区とした。斜面上部の土壌は中粒質酸性褐色森林土に,下部は細粒質暗色表層擬似グライ性褐色森林土に分類される。重水溶液(D/H 減資比 5000ppm,水深換算4 mm)を散布した後,約 30mm の降雨処理を行い,11日間重水を追跡した。 1)浸潤過程(降雨処理後1日以内)では,水移動は不均一であり,とくに心土では,重水の不規則な分布がみられた。試験区 I における心土の粗孔隙系は,直径10mm以上のルートチャンネル,試験区II のそれは構造面に沿った連続した割れ目状孔隙であった。水移動の不均一性はこのような粗孔隙によるバイパス効果によるものと思われた。試験区Iのような粗孔隙系は,メチレンブルー注入法によってその状態を示すことができた。微細なルートチャンネル(直径5 mm以下)は浸潤の初期段階において,気泡や土壌粒子によって閉塞されてしまうため,それより大きなルートチャンネルがバイパス効果を発揮すると考えられた。調査の結果,このような粗大なルートチャンネルの頻度は約3本/m^2 であることが示された。したがって,この種の土壌で水浸潤を測定するための試験区は,少なくとも1 m^2 は必要であるが示唆された。2)再分配過程(1〜11日目)の重水分布は,試験区土壌を特徴づける粗孔隙系の形態によって異なった。試験区I では,土壌マトリックス系の均一でゆっくりとした浸透が主体をなし,側方浸透はみられなかった。また,ルートチャンネルの不連続性により,バイパス効果によって深層に運ばれた水は,回りのマトリックス系へゆっくりと拡散していった。それに対し,試験区 IIでは,重水の分布が不均一で,B層下部での側方浸透が持続した。これはB層の割れ目状孔隙の連続性とCg層の透水性不良によると思われた。
  • 袴田 共之
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 306-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 佐久間 敏雄, 増谷 雪雄
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    円筒法によるインテークレート測定過程における浸潤水の挙動を明らかにし,この方法の問題点を検討する目的で,3種の土壌について,重水をトレーサーとした浸潤水の追跡実験を行った. 1)各土壌とも浸潤水の分布はきわめて不均一で,その挙動を記述するには,少なくとも二つの性格の異なる流れ,すなわち,粗孔隙系の流れとマトリックス内の流れを考慮する必要がある. 2)砂丘未熟土(石狩)は不均一な外観を呈したが,浸潤水に分布は予想以上に不均一であった.この理由として,(1) 植物の茎,枯死根などによる管状粗孔隙,(2) 乾燥した表層土壌の撥水作用,(3) 円筒打込みの衝撃による周辺部の乱れ,(4) 封入空気の影響等が考えられた. 3)擬似グライ土(高岡)では,マトリックスと粗孔隙の対照が最も明瞭であった.作土層であっても,緻密な土塊が存在すると,浸潤水の均一な分布は得られなかった.心土(Bg層)では,柱状構造間のz方向の粗孔隙と緻密なマトリックスの対照が顕著であった.作土下部に一時停滞した浸潤水はBg層の粗孔隙を経由して,Cg層上面まで到達し,マトリックス内に取り込まれるが,その速度はきわめて小さい. 4)高位泥炭土(天塩)の浸潤水の分布は,泥炭の層状の堆積構造を反映して,局部的な浸潤や停滞を繰り返しながらジグザクに浸潤が起こったことを示していた.粗孔隙系は(1) 層間のχ方向の孔隙,(2) 草本の地下茎跡,(3) 樹木の根株・腐朽根跡などからなる. 5)円筒法によるインテークレートの測定は簡便であるが,サンプリングサイズが小さく,側方が拘束されているために結果の変動が大きく,定量性に欠ける.粗孔隙系のスケールを考慮したサンプリングサイズを採る必要がある.円筒の打ち込みによる周辺部の乱れを考慮に入れると,供試した3土壌について円筒の径30cmはいずれも十分でないと判断された.
  • 池田 順一, 小林 達治, 高橋 英一
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 313-317
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    アルファルファ摘出根粒を用いて,塩類ストレスによる呼吸,窒素固定,および窒素固定の効率の変化について調べた.呼吸は,二酸化炭素の増加により,窒素固定は,アセチレン還元法により,それぞれ測定した.また窒素固定の効率は,酸素分圧の変化に伴う呼吸と窒素固定の変化より求めた.塩類ストレスの処理は,0,3000,6000 ppm NaCl の3段階で行った. 1)検出器として,TCDを用いることによって呼吸とアセチレン還元を同時に定量できた. 2)呼吸速度は,対照区, 3000 ppm NaCl 区,6000 ppm NaCl 区でそれぞれ 48.24,40.72,32.85μmol/g 新鮮重/h とNaCl 濃度が上がるに従って低下した.また,アセチレン還元速度も,対照区,3000 ppm NaCl 区,6000 ppm NaCl 区で,それぞれ10.60,10.20,5.06μmol/g新鮮重/h とNaCl 濃度が上がるに従って低下した.酸素分圧の低下によっても呼吸とアセチレン還元の有意な低下がみられた. 3)酸素分圧を下げて,呼吸とアセチレン還元を測定することにより,アセチレン還元に対する窒素固定呼吸の比較(R_f)と維持呼吸と成長呼吸の和(R_<mg>)をそれぞれ求めた.R_f とR_<mg> は対照区でそれぞれ2.23,24.01,3000ppm NaCl 区でそれぞれ 2.01,21.45,6000 ppm NaCl 区でそれぞれ 2.01,21.45,6000 ppm NaCl 存在下で,アセチレン還元に対する窒素固定呼吸の比率が,増加した.また,維持および成長に必要な呼吸は,減少した.
  • 犬伏 和之, 堀 謙三, 松本 聰, 梅林 正直, 和田 秀徳
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    堪水土壌中で作られたメタンが水稲体を経由して大気へ放出されることを確かめ,この過程を解析することを目的としたポット実験を行った.水稲体以外からのメタンの放出をできるだけ除外した方法を用いて,以下の結果を得た. 1)水稲を経由したメタン放出量は,それ以外の経由からのメタン放出量に比べ2〜10倍多く,0.16〜23 mg C/h/m^2 の範囲にあった.測定期間中(8月後半以降)では9月上〜中旬にメタン放出量のピークが認められた.またメタン放出量には日変化のある可能性が認められた. 2)日中に遮光すると,自然条件に比べメタン放出量が1.6〜5倍に増加した. 3)土壌にあらかじめ稲わら麦わらを混合した場合メタン放出量は2〜10倍に増加した.供試した土壌種別にみると,グライ土>灰色低地土>褐色低地土の順になった. 4)水稲根圏へメタン溶存水を注入すると,ただちに水稲地上部から大量のメタンが放出された.一方,水稲根圏へ酢酸ナトリウム溶液を注入すると,22日後に水稲地上部からのメタン放出量が極大に達した. 5)水稲を地上約 10cm で切断し切断面からのメタン放出量を経時的に測定したところ,切断直後に放出量は一時減少したがその後漸増し4時間後には切断直後の1.5〜4倍になった.
  • 斎藤 雅典
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 324-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 山内 益夫, 須崎 静香, 湧嶋 俊史, 藤山 英保
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 325-334
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    アズキには耐塩性に品種間差があることを,NaCl 添加養液で栽培した20品種の葉あるいは地上部の相対生長量を比較することで明らかにした.その品種間差は培地の浸透圧上昇に対する反応ではなく Na あるいは Cl イオン害に対する反応であることを示した.そして,耐塩性の指標としては,葉身の Na 含有率を用いるのが妥当であるとした(低いほうが耐塩性大).葉身の Na 含有率は Na 排除能と Na 移行率に支配される. Na 排除能は, Na 含有溶液で短時間(2日)栽培したアズキの根の Na 含有率上昇の大きい品種で,高くなることを示した.また, Na 含有溶液で短時間栽培したアズキの根の Na 含有率を比較することで,耐塩性品種を簡便に選抜できる可能性を示唆した.さらに,葉身への Na の移行率は,茎への Na分配割合が高い品種ほど低い値を示した.
  • 若月 利之, 小村 修一, 安部 裕冶, 泉 一成
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 335-344
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    黒ボク土,赤色土,マサ土,ゼオライト,炭素減資材(ジュート,木箱等)を層状,階段状に充填して多段土壌層構造をもつ生活排水浄化装置(多段土壌層法と呼ぶ)を作り,その浄化能力を約2年間にわたって試験した.その結果,本研究で提案した多段土壌層法を用いた浄化装置のうち,黒ボク土,マサ土およびゼオライトを積層した装置は,平均濃度,BOD 220 mg/l,COD 88 mg/l,T-N 56 mg/l,T-P 22 mg/l の生活排水を,2年間の実験期間中目詰まり現象は起きなかった.また,炭素源としてジュート袋を挿入した装置は窒素除去能が89%に向上した.多段土壌層法による以上の家庭排水装置は,高い浄化能を長期間安定して維持した.すなわち,2年間の平均で4装置ともBODは4 mg/l 以下,CODは3~7 mg/l,T-Pは装置4を除き0.5 mg/l以下,T-Nは装置2を除き7~16 mg/lであった.したがって,浄化処理水の水質として現在立てられている最高水準の目標値,BOD 10 ppm以下,COD 15 ppm 以下,T-N 10 ppm 以下,T-P 1 ppm 以下を満足するものであることを認めた.
  • 若月 利之, 小村 修一, 安部 裕冶, 泉 一成
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 345-351
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    多段土壌層法による生活排水の長期化浄化試験期間中の気温,装置の透水性,鉄とマンガンの流出,汚水や流出浄化水のpH等を調べ,装置の浄化能力との関係を考察した.多段土壌層法による浄化装置の浄化能力は季節にあまり左右されることなく高く維持できる可能性があることを見出した.充填土壌へのナトリウムの蓄積とそれに伴う粘土の分散沈積による不可逆的な目詰まりを回避するのにはゼオライトの使用が有効と思われた.一方有機物の蓄積に伴う可逆的な目詰まりを防ぐには粒径の大きいゼオライトを用いるか,1年に1〜2カ月程度の汚水流入停止期間を設けることが有効であると思われる.炭素源としてジュートを使用した装置3では,実験開始約1年半後から鉄とマンガンの溶出がみられた.これが流出浄化水の COD の上昇の原因となった.したがって,脱窒を促進し,一方では鉄やマンガンの流出が起こらない装置に改良する必要がある.
  • 山本 洋司, 稲永 醇二, 熊澤 喜久雄
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 352-357
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    落花生の生育と収量に及ぼす施肥窒素の影響を調査するために,開花最盛期・成熟期・収集機の3時期に分けて,^<15>N標識肥料を用いたポット試験を行った.肥料は基肥のみを使用した.窒素肥料は,^<15>N : 5.10 atom% 標識硝酸カルシウムを用い,N: 0 g/pot の3試験区を設定した.リン酸肥料は,熔成リン肥と過リン酸石灰の等量をP_2O_5 として1.5g/pot,カリウム肥料は塩化カリウムをK_2O として1g/pot それぞれ用いた.これらの基肥とpH 6 の田無火山灰土6 kgを均一混合しポットに充填した.落花生の種子はナカテユタカを用い,播種1カ月後の幼苗の根に落花生根粒菌を接種しポットに移植した.ポット栽培は,各試験区の各時期ごとにすべて3連で行った. 1)基肥としての施肥窒素が多いほど開花総数・茎葉重・莢実重は多くなったが,莢実1個当たりの重量は,施肥窒素量が多すぎると逆に減少した.また,施肥窒素量が少ないほど根粒の数と重量は多くなった. 2)施肥窒素少量(N1)区では多量(N1)区のほうが多かった. 4)^<15>N濃度分析により,施肥窒素の寄与率は窒素多量(N3)区より窒素少量(N1)区のほうが小さかった.とくに,窒素少量(N1)区では開花最盛期から成熟期にかけて施肥窒素の寄与率が著しく低下した. 5)これらのことから,基肥窒素が3 g/pot(N3)施肥では,茎葉の過繁茂・無効花の造花や1個当たりの莢実重の減少につながり必ずしも良好な結果は得られず,1 g/pot(N1)程度施肥したほうが良好な結果が得られた.
  • 加藤 秀正, 澤田 智志, 薄井 宏
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 358-365
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
    スギ並木の41断面の土壌のpHは5〜6を中心に4〜7.5付近にまで及んでおり,同一塩基飽和度でも有機物含有量の多いものほどpHは低く,軽石やローム層などの下層土の混入によって有機物含有量が低下すると,pHは上昇した.これは腐食の酸基を形成するカルボキシル基等のほうが,本地域の土壌の主要な粘土鉱物であるアロフェン等の非晶質成分よりも酸基としての性格が強いことに起因していると考えられる.なお,土壌の攪乱がみられない比較対照断面(No.1,No.2)ではpHは4〜5で,塩基の蓄積にもかかわらずpHはあまり上昇しなかった.以上のことから,本調査地の土壌のpHは次の二つに大別できる. 1)一般に厚層多腐植質黒ボク土上のスギ林では,スギの落葉・落枝に由来すると考えられる有機物の蓄積による酸基の増大と塩基,とくにCa の蓄積とは相殺の関係にある.したがって Ca を主とする塩基が蓄積してもpHの上昇は抑えられる. 2)洪積火山灰層のような等電点の高い無機成分が材料となっている下層土の混入を受けた土壌では 1) で述べたような相殺関係が弱く,その結果として土壌pHが中性付近まで上昇した.またスギ並木下土壌や東照宮土壌は塩基飽和度が増大し,かつ土壌の肥沃度を高める役目を担っている Ca を主とする塩基は全炭素と対応して表層部ほど多いこと,および若齢のスギ林であっても塩基が表層部に蓄積する傾向を示したことは注目に値する.
  • 中林 和重, 高柳 勤治
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 366-370
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 吉田 稔
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 371-373
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 大助, 守谷 茂雄
    原稿種別: 本文
    1989 年 60 巻 4 号 p. 374-378
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 60 巻 4 号 p. 379-381
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 60 巻 4 号 p. App2-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 60 巻 4 号 p. App3-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 60 巻 4 号 p. App4-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    1989 年 60 巻 4 号 p. App5-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 60 巻 4 号 p. Cover3-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    1989 年 60 巻 4 号 p. Cover4-
    発行日: 1989/08/05
    公開日: 2017/06/28
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