日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
87 巻, 4 号
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報文
  • 矢内 純太, 中尾 淳, 大迫 敬義, 宮藤 久士, 古田 裕三, 佐野 新悟
    2016 年 87 巻 4 号 p. 241-246
    発行日: 2016/08/05
    公開日: 2017/08/09
    ジャーナル フリー

    竹林間伐材から調製した竹粉および竹炭を用いた水稲苗箱培土の機能性評価と,その培土で栽培した水稲幼苗および水稲の生育・収量の評価,さらには竹粉・竹炭の水稲苗箱培土への利用の利点の検討を行った.得られた結果は以下の通りである.

    1)竹粉・竹炭の添加割合(0~50%)に応じて,苗箱の培土重量は有意に減少した.すなわち,例えば添加割合 30%(処理区 3)では原土に比べ32%重量が軽減された.一方,水稲幼苗や水稲の生育・収量に有意な差はなく,竹資材の添加による水稲の生育・収量への悪影響は認められなかった.

    2)竹資材を30%利用した時の竹粉・竹炭の比率については,竹炭率が 50%を上回ると水稲幼苗の生育に有意な減少が認められた(p<0.01).これは, 9前後まで達する高pHでの微量元素の欠乏や 1dS m −1を越える ECに伴う浸透圧の上昇など,主として化学性の悪化によるものと考えられた.一方,田植え後の水稲の生育・収量に有意な差は認められなかった.

    3)以上の結果を踏まえ,間伐材の利用を主目的にするならば A)竹粉・竹炭を 7:3で混和した竹資材を原土に 30%添加したもの(処理区 3)が,農作業の省力化を主目的にするならば B)竹粉を原土に 30%添加したもの(処理区6)が,推奨される水稲苗箱培土としてそれぞれ提案された.

    4)竹粉・竹炭を利用した水稲苗箱培土を活用することには,間伐材の利用による荒廃竹林の再生,水稲栽培における農作業の省力化,地球温暖化抑制につながる培土への炭素貯留という3つの利点があると,結論された.

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