沖縄県北大東島の主要作物はサトウキビであるが,過去30年間の平均単収は42 Mg ha−1と沖縄県平均63 Mg ha−1より低く,単収向上が求められている.筆者らはサトウキビ単収を向上させる手段として,製糖副産物の糖蜜に着目し,その施用効果を検証する目的で圃場試験をおこなった.試験区は対照区(糖蜜施用なし),20 Mg区(糖蜜20 Mg ha−1施用),50 Mg区(糖蜜50 Mg ha−1施用)の3処理,4反復とした.栽培は春植え栽培および株出し栽培の2作とし,糖蜜は春植え栽培の植え付け前に施用した.
収量調査の結果,収量は対照区,20 Mg区,50 Mg区でそれぞれ87.2, 101.3, 111.9 Mg hg−1の順に増加した(p<0.05).原料茎数も糖蜜施用量に伴って有意に増加したが(p<0.05),原料茎長,茎径は2作共に差はなく,収量増加は原料茎数増加によると推察された.
土壌化学性のうち,無機態窒素は糖蜜施用116日までは対照区に比べて有意に増加したが,糖蜜施用204日以降は試験区間に有意差はなかった.可給態窒素は春植え期間中,糖蜜施用量に伴って有意に高く推移し(p<0.05),サトウキビの原料茎数および収量の増加につながったと考えられた.交換性カリウムは,全ての試験期間を通して対照区に比べ糖蜜施用区で有意に高く推移した(p<0.05).交換性カリウムの蓄積によって光合成能に関与するマグネシウムの吸収抑制が懸念されたが,収穫時の葉中マグネシウム含量に差はなく,甘蔗糖度は2作とも試験区間で差はなかった.このことから,糖蜜50 Mg ha−1までの施用量であれば,サトウキビのマグネシウム吸収や甘蔗糖度への影響はないと判断された.
糖蜜施用による農家の収益性(1 haあたり・2作合計)を試算したところ,対照区に比べ20 Mg区で36.4万円,50 Mg区で54.4万円向上した.
以上のことから,糖蜜は,50 Mg ha−1までの施用量であれば,品質を低下させずにサトウキビの単収,地力,農家収益性を向上させることができる有効な資材であることが示された.
肥料の品質で最も現場で問題となりやすい固結について,各種粉状固結防止材によるBB肥料の固結軽減効果評価した.供試肥料は主要なBB原料である硫安,DAP,塩加を用い,粉状固結防止材を0.5%添加した.固結試験は30°C, 85%RHの条件下に4週間保管した.
タルク,シリカヒューム,けいそう土のうち,タルクが最も固結割合および強度が低かった.これは一般的にBB肥料の固結軽減対策として使用される球状シリカゲルを1%配合するよりも効果が高かった.
また,添加したタルクは肥料への付着性が高く,BB肥料同士の摩擦軽減し,粉化率を軽減する効果があった.
そこで,12種類の異なるタルクをBB肥料に0.5%添加し,タルクの粒度および純度が固結軽減効果に及ぼす影響について検討した.
その結果,粒度がと小さく,純度(SiO2+MgO)が高い方が固結軽減効果は高かった.さらに,粒度8 µm以下と小さく,純度90%以上のタルクは,添加量が0.1~0.2%程度の少量でも十分な固結軽減効果が得られることが明らかになった.
また,実在するBB肥料製品においても,現行で配合されている球状シリカゲルよりもタルクの方が固結軽減効果は高く,さらに堆積期間が長くても,その効果が持続されることが示された.
小・中学生の土に対する意識を明らかにするために,山口市内の周辺環境の異なる3地区(農業地区,ニュータウン地区,旧市街地区)の小学生,中学生を対象に「土」に関するアンケート調査を行った.その結果,①土の必要性の意識は地域差がなく,住んでいるまわりに「少しは土があった方がよい」が最も回答割合が高く,小中学生の持つ土の必要性の感覚であった.②「土がある場所」があった方がよい理由は,地区を問わず「木や草や花などの緑が多くなるから」が最も高い回答割合であった.③「食べ物をつくるのに土が必要」との認識は,農業地区で高い傾向であった.④地区を問わず運動場や公園あるいはスポーツをしているときが,土に触れる主要な機会で,農業地区においても農業の場で土に触れる児童・生徒は多くなかった.⑤土に対する興味は,学年の進行とともに低下した.⑥土に対する興味を高めるためには土に触れる機会が重要であることが示唆された.⑦土の機能の知識が高くても,その機能が土の必要性として認識されていなかった.⑧同一の教科書を使用していても,授業で土に触れる機会が学校によって異なり,教師により授業での土の取り上げ方に違いがあることが示唆された.