日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
89 巻, 6 号
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進歩総説:気候変動に伴い顕在化してきた作物栽培管理における問題と適応技術
報文
  • 丹羽 勝久, 横堀 潤, 原 圭祐, 笛木 伸彦, 若林 勝史
    2018 年 89 巻 6 号 p. 544-551
    発行日: 2018/12/25
    公開日: 2018/12/15
    ジャーナル フリー

    作物生育センサCropSpecによる小麦生育推定マップ,ドローン画像から作成する熱水抽出性窒素推定マップは北海道十勝地域で可変施肥に利用されている.本研究では黒ボク土2圃場(A, B)でこれらマップを作成し,同一メッシュサイズのマップに加工した上で,小麦生育の圃場内差異の要因を解析した.

    (1) A圃場の熱水抽出性窒素推定値は50~100 mg kg−1の範囲にあり,小麦生育推定値との間に1%水準で有意な正の相関関係が見られた(R2=0.28).

    (2) B圃場では熱水抽出性窒素推定値は75~134 mg kg−1の範囲にあり,全区域で見た場合,小麦生育推定値との関係は無相関であった.しかし,熱水抽出性窒素推定値が75~115 mg kg−1の区域(区分1)では小麦生育推定値との間に1%水準で正の相関関係が認められた(R2=0.24).一方,その他区域(区分2)は小麦生育推定値と無相関であり,区分2の平均生育推定値は区分1に比べて低かった.

    このように十勝地域の黒ボク土では,小麦生育の圃場内差異に対して,土壌の窒素肥沃度の指標である熱水抽出性窒素の圃場内変動の寄与が認められる場合とそうでない場合があった.したがって,この地域の黒ボク土で熱水抽出性窒素推定マップに基づく可変施肥を行う場合には,熱水抽出性窒素と作物生育が正の相関関係を示すことを事前に確認することが重要である.

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