日本土壌肥料学雑誌
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日本土壌肥料学会賞受賞
日本土壌肥料学会技術賞受賞
日本土壌肥料学会奨励賞受賞
日本土壌肥料学会技術奨励賞受賞
報文
  • 笛木 伸彦, 大塚 省吾, 田村 元, 中本 洋, 渡邊 祐志
    2020 年 91 巻 5 号 p. 341-350
    発行日: 2020/10/05
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル 認証あり

    北海道における加工用バレイショの主力品種(トヨシロ・スノーデン)を供試し農業試験場および現地圃場で窒素施肥処理を主とした試験を行い,熱水抽出性窒素に基づき規格内収量を向上させる最適窒素施肥量を算出する窒素施肥法の確立を目的とした.トヨシロ・スノーデンともに,30~60 kg ha−1の窒素増肥によってデンプン含量は有意に低下したものの低下分は0~4 g kg−1と小さく,すなわち窒素増肥がデンプン含量に与える影響は小さいと思われた.バレイショの収穫期窒素吸収量と規格内収量は密接な比例関係にあり,窒素吸収量が100~110 kg ha−1で規格内収量が頭打ちとなった.一方熱水抽出性窒素と無窒素区の窒素吸収量(収穫期)も有意な比例関係にあり,熱水抽出性窒素が約100 mg kg−1で窒素吸収量が頭打ちとなり,また前作物がテンサイの場合窒素吸収量が20~70 kg ha−1過大であった.最適窒素吸収量(収穫期)を110 kg ha−1とし熱水抽出性窒素から土壌由来の窒素吸収量を推定し,テンサイ等の前作物の違いを考慮した窒素施肥法を組み立て,得られた圃場試験データを用いてその適合性を検討したところ,熱水抽出性窒素が110 mg kg−1以上や前作がテンサイの場合,その他の要因で窒素供給量が過大な場合には適合度が十分でなかったが,全体では75%の適合度が得られ実用性は十分と考えられた.

  • 箭田 佐衣子, 江口 定夫, 林 暁嵐, 朝田 景, 蓮川 博之, 武久 邦彦
    2020 年 91 巻 5 号 p. 351-365
    発行日: 2020/10/05
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル 認証あり

    緩効性肥料による水田からの窒素(N)流出低減効果を統合的に評価するため,国内水田の水稲作付け期間中のN収支とN流出負荷が実測された1970年以降の文献を収集・データベース(DB)化すると共に,速効性肥料の区(対照区)と緩効性肥料の区(緩効区)をセットで調査した試験のみを抜粋してメタ解析を行った.DB全体では,N流入負荷(NWin=用水N+降水N)に対するN流出負荷(NWout=表面・暗渠排水N+地下浸透N)の比(NWout/NWin)は,対照区の多くは>1で差引排出負荷(NWout−NWin)が正となる「汚濁型」,緩効区の多くは<1で差引排出負荷が負となる「浄化型」の水田であり,側条施肥や全量基肥の条件(無代かきを除く)では全てが「浄化型」であった.メタ解析の結果,緩効区のNWout/NWin比は対照区より有意に低く,その差は0.38と評価された.また,水田のN収支を構成する各Nフローについてのメタ解析では,緩効区のNWin及び水稲吸収Nは対照区とほぼ同等であり,N施用量及びNWoutはいずれも対照区の約7割と評価された.以上より,水田への緩効性肥料のN施用量を慣行の速効性肥料より約3割減肥し,全量基肥や側条施肥法を行うことで,水稲収量を維持したまま,水田からのNWoutを約3割削減でき,NWinよりもNWoutが少ない「浄化型」の水稲栽培が可能となる.

  • 原 嘉隆
    2020 年 91 巻 5 号 p. 366-373
    発行日: 2020/10/05
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル 認証あり

    任意の時期に窒素を溶出させられる被覆尿素肥料は,水稲作で追肥を省略するために広く用いられる.その経時的な溶出に合う数理モデルは,水稲作を想定してアレニウス式等を基に開発され,溶出の推測に用いられる.数理モデルのパラメータの値も15–35°Cなど,水稲作を意識した温度域で得られた値が用いられている.近年,被覆尿素肥料は他作物でも用いられるが,低温となる冬作での数理モデルの適合性は詳しく検討されていない.そこで,低温を含み,これまでよりも広い温度域である5–40°Cにおいてポリオレフィン系樹脂の被覆尿素20銘柄の窒素溶出を調べたところ,数理モデルに当てはまり,溶出速度のパラメータはアレニウス式に精確に従った.さらに,温度依存性を示すパラメータである活性化エネルギーの値が全銘柄でほぼ一定となった.このことは,これまでより広い温度域で調べたことで,活性化エネルギーがより精確に得られたと考えられた.また,他の2つのパラメータ(溶出曲線の形状,溶出速度)も被覆尿素肥料の種類や溶出にかかる日数の目安である80%溶出日数との間に一定の関係がみられた.これらは数理モデルが低温となる冬作でも適合することを示す.そして,パラメータにみられた規則性はモデルの妥当性を示唆し,その規則性を用いれば,様々な種類が存在する被覆尿素肥料において,溶出推測のためのパラメータの値を求めることが容易となると期待される.

  • 丹羽 勝久, 長澤 幸一, 今田 伸二, 前塚 研二, 森井 悠太, 小川 ひかり, 大楠 秀樹, 小松 一彦, 畠野 尚章, 田中 智樹, ...
    2020 年 91 巻 5 号 p. 374-380
    発行日: 2020/10/05
    公開日: 2020/10/10
    ジャーナル 認証あり

    北海道の大規模畑作地帯では7月下旬から8月上旬に共同でコムギが収穫されるため,適期収穫のために衛星画像のNormalized Difference Vegetation Index(NDVI)から穂水分を広域評価する試みが行われてきた.しかしこの方法は大気補正されていない画像を用いるため,撮影日ごとに穂水分実測や回帰式の作成が必要である.本研究では現地調査を必要としない穂水分推定を可能にするために,「ゆめちから」を調査対象とし,7月の複数の衛星画像の各波長域の大気上端反射率と撮影日の穂水分の関係を評価した.赤域(Rred)では全穂水分との間に,寄与率63%の負の相関関係を示した.近赤外域(Rnir)では各画像で平均寄与率55%の正の相関関係を示したが,その関係は画像間で異なった.青域(Rblue)でも画像間差が見られたが,その傾向はRnirと相反した.そこでRblueを乗じることでRnirの画像間差は減少すると判断し,新指数(Improved Ratio Vegetation Index(IRVI)=(Rblue×Rnir)/Rred)を考案した.IRVIは全穂水分との間に寄与率81%,Root Mean Square Error 2.4%の正の相関関係があり,NDVIより高い推定精度を示した.したがって,得られた回帰式は,他時期の衛星画像の穂水分推定にも利用できる可能性がある.

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