酸性土壌における生育阻害要因の主たるものはアルミニウム(Al)である.モデル植物であるシロイヌナズナでは,転写因子STOP1が,ALMT1, ALS3, およびPGIP1などの主要なAl耐性遺伝子の発現を正に制御している.しかし,STOP1を活性化する上流シグナルや,STOP1非依存的なAl耐性応答経路の詳細は不明であった.本研究では,1)化学遺伝学的アプローチを用いて,ホスファチジルイノシトール(PI)代謝,特にPI3KおよびPI4Kが,Alストレス初期におけるALMT1発現の活性化とそれに伴うリンゴ酸排出に必須であること,2)eGWASにより,PIシグナル伝達系およびストレス応答に関与する遺伝子,例えばPLC9がALS3およびPGIP1の発現を制御していること,3)CDPK32やANAC071のようなSTOP1非依存的な経路がALS3の発現を制御していること,4)一酸化窒素(NO)を介したPGIP1の遺伝子発現制御機構の存在,5)STOP1がSAUR55の発現を直接活性化し,このSAUR55がPP2C.D2/D5を阻害することでAHA2を活性化し,リンゴ酸の排出を促進しAl耐性を高めていることを明らかにした.以上,本研究はAl耐性機構に関わるさまざまな因子を明らかにしたものであり,Al耐性作物の作出に新たな知見を提供するものである.
(要旨の日本語訳 神谷岳洋)
鶏ふん堆肥または豚ぷん堆肥をBulk Blending Fertilizer(BB)肥料原料として使用したときの固結に対する水分の影響を検証した.BB肥料の固結強度は供試堆肥の水分活性との間に0.1%水準で有意な相関が認められた.また,計20点の堆肥について乾燥前,8時間乾燥後および24時間後と異なる水分条件に調整し,それぞれ水分活性と含水率および繊維物質との関係を解析した.その結果,乾燥前および8時間乾燥後における堆肥の水分活性は含水率と0.1%水準で有意な正の相関が認められ,24時間乾燥後の水分活性は酸性デタージェント繊維(ADFom)と1%水準で有意な負の相関が認められた.一般に含水率が高いほど水分活性は高くなるため,比較的含水率の高い条件では供試堆肥においても同様の傾向を示したと考えられた.繊維物質は低湿度域では水分を主に結合水で保持しているため,含水率の低い条件では,堆肥中の水分に占める結合水の割合は繊維物質が多いほど高くなると考えられた.また,供試堆肥の水分活性について含水率とADFomの硫酸可溶画分(ADFom-酸性デタージェントリグニン(ADL))で重回帰分析を行った結果,24時間乾燥後のみADFomの硫酸可溶画分と有意な相関が認められた.この画分は一般的には主にセルロースと考えられていることから,堆肥の水分活性に影響を与える繊維物質は特にセルロースであることが示唆された.