広島県草戸千軒町遺跡出土鋸(1980年出土)をもとにした、わが国中世の代表的鋸 “ 木の葉型鋸”, の形状復元と、それによる機能追求の第二段階として、今回は適正鋸歯角度について検討するため、6点の実験用鋸による作業実験を行った。
1)供試鋸は同一板厚で、歯部の中央部にだけ頂角55度の二等辺三角形の箱屋目を刻んだ。
2)鋸歯のナゲシ角を15度から40度まで、個体ごとに5度ずつ変えて、目立てを施した。
3)供試材には、断面4.5cm X 10.5cmの檜材を使用した。
4)切れ味の劣る2点を除外した4点の鋸について、6名のパネルが一対比較法による使用実験を行い、優劣を判定した。
5)上記の実験結果を計数処理した結果、今回の実験用鋸の中では、ナゲシ角40度(実測値≒36度)のものが最も切れ味が良いとの判定が得られたが、今回は40度以上のナゲシ角を付与した鋸での実験を行っていない為、適正鋸歯角度についての結論は得られなかった。
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