道徳と教育
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最新号
道徳と教育
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 足立 佳菜
    2018 年 0 巻 336 号 p. 5-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、戦後日本道徳教育史において価値葛藤論の先駆的提唱者として知られる平野武夫の道徳授業論形成過程の一端を明らかにするものである。具体的には、1958年から1960年代前半までの「道徳の時間」の課題を捉えるキーワードとして「道徳性の内面化」と「指導資料」の問題を取り上げ、関西道徳教育研究会の足跡を基に、平野の道徳授業論(価値葛藤論)がこれとどのように呼応・折衝していったのかを分析した。これにより、平野は、「道徳性の内面化」の考察から「自覚」の構造を読み解き自身の価値葛藤論との接続を図っていること、自覚過程の中で自己超越を媒介する役割として「他者資料」の意義を見出していることを明らかにした。
  • 安部 日珠沙
    2018 年 0 巻 336 号 p. 17-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、幼児における道徳性の萌芽が、幼児の抱く憧れの気持ちを基盤とした人格の形成に伴って成されえることを思弁的に論証した。例えば、絵本や物語の読み聞かせなどを通じて、幼児は登場人物に憧れの気持ちを抱く。憧れの感情を善悪という観点からは論じえないため、教師は、幼児の憧れが望ましい方向に発達するよう援助していく必要がある。また、シェリングの憧憬論をもとにこれについて分析を行ったところ、憧れの気持ちを抱くことから人格の形成が始まり、憧れという抽象的なものを、知性を働かせて言語化し、具体的なものに昇華していく営みが人格の陶冶であり、善悪の概念もまたそれとともに生じてくることが分かった。総じて、教師にとって、幼児における人格の形成ないし道徳性の萌 芽とは、幼児が様々な活動を楽しむ中で、自身の環境に対する憧れの気持ちを言葉によって明瞭に表現していく過程で自分を顧み、自分の精神性を発達させていけるように援助する営為だと言える。
  • 新川 靖
    2018 年 0 巻 336 号 p. 29-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、考え、議論することへの転換を目指す「特別の教科 道徳」の授業おいて、児童生徒の思考の質を高めるための効果的な指導方法は何かを検討し,提案することを目的としている。①まず,これまでの道徳授業の課題について検討を行い,道徳授業に求められるのは,児童生徒自らが道徳的価値についての意味の発見ができる学習となることであることを整理した。②次に,道徳授業における思考場面について検討し,話し合いを通して、様々な考えを集団で検討・吟味していく場面を作り出すことの重要性を見出した。③さらに,検討・吟味の場面において「どのように考える」かに着目し,河野の「こども哲学」における対話の感想の評価を手掛かりに,道徳授業における「思考の視点」を考案した。これらを踏まえ,授業において,中心場面での集団による検討・吟味のための場面を設定し,ワークシートに思考の視点を示した実践事例を紹介している。
  • 岩佐 信道
    2018 年 0 巻 336 号 p. 41-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    「道徳性を養うこと」という学習指導要領における道徳教育の目標に真剣に向き合うには、そもそも道徳性とはどういうもので、どのように向上、発達していくかを的確に理解する必要がある。かつてこれに真正面から取り組み、中心的な位置を占めたのがコールバーグであり、その道徳性発達段階論であったが、その研究は判断の側面に偏っているとの批判や反省がある。筆者はかつて、こうした反省をふまえ、人間の実生活における道徳性の発達、向上を捉える試みとして、「三方よし」(自分も、相手も、第三者もともによくなるように)という枠組みと、「相互依存のネットワーク」(私たち人間は、すべての存在との密接なつながりの中で、相互に支え合って生きている)というアプローチについて論じた。ここでは、新たな材料を加えてこの2つの考え方をさらに展開し、道徳性発達研究と道徳教育の進展の基礎としたい。
  • 牛見 真博
    2018 年 0 巻 336 号 p. 53-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    幕末の吉田松陰(1830-1859)は「狂」の思想を重んじた。「狂」は、もとは孔子が説いた儒家の概念で、志が高く進取の気性を有することを言い、孔子の後継者を自任する孟子も好んで用いている。松陰は、「狂」を原動力として、目の前の国難に対し、天子や藩主への忠誠心、愛国心を重んじ、徹底的なナショナリズムを貫こうとした。そして、この「狂」によって、最終的には自身が重んじ、儒家の最も基本的な道徳観の一つである「孝」までも否定するに至っている。本稿は、そうした松陰の原動力である「狂」の思想と実践について、彼が兵学者として社会に立脚していたことに基づくものであることを指摘する。また、松陰の「狂」を考えることは、一般的な道徳的イメージだけでは捉えきれない松陰の人物像の一端を浮かび上がらせることにもつながるであろう。
  • 奥田 秀巳
    2018 年 0 巻 336 号 p. 65-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は、「考え、議論する道徳」が子どもにとっていかなる形で道徳性の変容をもたらすのかを、子どもの日常的知識の構造を考察することにより検討する。そのために、まず、子どもの日常的知識の構造を、アルフレッド・シュッツの現象学的社会学と、日常的思考(thinking as usual)の概念を手がかりにして検討する。そのうえで、マルティン・ハイデガーの「不気味さ」の概念に注目し、日常的思考に含まれる道徳的価値を再検討するために「不気味さ」が必要になることを指摘する。そして、「考え、議論する道徳」が、子どもに道徳的価値を再検討する機会を与えることを指摘する。
  • 谷口 雄一
    2018 年 0 巻 336 号 p. 75-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、特別の教科 道徳の実施による道徳授業の量的・質的な改善に資するために、小学校教員の道徳授業に対する態度について、態度を構成する感情的成分と認知的成分、行動的成分の3成分から調査・分析しようとするものである。その結果、感情的成分については充実感と劣等感、不安感の3つの心理次元があること、認知的成分については道徳科の特質と主体的・対話的で深い学び、保護者との連携の3つの心理次元があること、そして、行動的成分については義務的行動と忌避的行動、愛着的行動、開発的行動、協働的行動の5つの心理的次元があることが明らかになった。中でも、感情的成分の劣等感と不安感の存在、そして、行動的成分の忌避的行動の存在は教科化に向けての大きな課題となるだろう。そして、若手教員の不安感の強さは平成30年度から完全実施される道徳科における道徳授業の改善に向けて、教員養成や教員研修の在り方を考える上で考慮すべき課題である。
  • 野村 宏行
    2018 年 0 巻 336 号 p. 89-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、小学校高学年における主体的・対話的で深い学びの実現を目指した2年間の実践研究である。主体的な学びのために、道徳の学びの連続性と蓄積を意識させる学習の節目を設定して、道徳学習のよさや意義を感じさせ、自分の成長を実感させるなどをした。また、2年間の授業は問題解決的な学習を基本とし、「問題設定」「追求」「解決」の問題追求のプロセスを重視した授業を行い、児童の問題意識に根差した学習を展開した。対話的な学びのために、児童の対話を重視し、ペアでの対話、少人数での話合い、全体での共有を毎時間工夫した。また、保護者や地域の人との対話、先哲との対話である教材も折を見て開発、実践した。2年間の実践を経て、第5学年当初と第6学年の卒業前で、道徳授業に関する意識調査を行った。結果、「道徳授業が好き」「道徳授業は役に立つと思う」の平均点数が向上した。結果のT検定では、共に有意差が見られた。
  • 赤堀 博行
    2018 年 0 巻 336 号 p. 107-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    教育課程の実施の具体である学校教育における授業は、教師の指導と児童生徒の学習によって成り立つものである。指導と学習との媒介としての役割を果たすものが教材である。今後、道徳授業においては、道徳科として全ての児童生徒に検定教科書が給与され、これを主たる教材として使用することになる。そこで、道徳授業の改善,充実に資するために,道徳授業で活用してきた教材について形式面、内容面から整理するとともに、特に有用とされる読み物教材の活用の在り方について考察する。
  • 荒木 寿友
    2018 年 0 巻 336 号 p. 119-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、道徳の授業において用いられる教材、とりわけ読み物教材が資質・能力を育んでいく教材になりえているのかについて検討し、これからの道徳授業においてどのような教材が必要となってくるのか示すことを目的とした。この検討にあたり、まず道徳の授業における教育内容と教材の関係、すなわち「教材を教える」のか「教材で教える」のかについて概観した。次いで、道徳の授業において定番となっている読み物教材を取り上げ、それらの多くは具体的な望ましい姿が描かれ、明示的にも暗黙的にもそれを児童生徒に伝達していることから、そのような読み物教材を「価値伝達型読み物教材」とした。価値伝達型教材は教授主義に基づいており、それに代わるものとして認知主義、状況主義などを取り上げ、 それらに基づく教材の可能性を示した。最終的に、資質・能力を育んでいく道徳の教材「資質・能力育成型教材」について考察を加えた。
  • 木村 美紀
    2018 年 0 巻 336 号 p. 131-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    平成30年度から小学校で完全実施となる道徳の教科化において、大きな改善点は、国の検定教科用図書の導入である。この教科用図書の導入により、量的な担保(年間35時間の確保)と質的な担保(子ども自らが主体的に学ぶ質の高い授業づくり)が可能になる。教育現場は、この教科用図書を中心に活用しながら、子ども自らが考え、議論するアクティブな授業づくりを構想することになる。そもそも教材とは何か、道徳科における教材とは何か、そして、その教材をどう授業に活かすか(道徳の場合教材化)が大切になる。本研究では、道徳科における教材とは何か、それをどのように活用するかという、2つの視点からのアプローチを図りたい。さらに、その活用には、主に読み物教材を活用した体験的な学習を提案したい。
  • 西野 真由美
    2018 年 0 巻 336 号 p. 141-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、今日の学習理論の進展を踏まえ、新学習指導要領で示された「主体的・対話的で深い学び」を道徳科において実現するために求められる教材開発と活用の在り方を検討する。今回の学習指導要領改訂では、学びに関する理論的実践的研究成果に基づいて、「何を学ぶか」だけでなく「いかに学ぶか」という視点での授業改善が議論されてきた。道徳科においても「主体的・対話的で深い学び」の視点での授業改善への取組みがみられるようになっているが、他方で、この新たな視点が教材論に結びついていない状況がみられる。本稿では、学習指導論と教材論を架橋することを目指して、1.道徳科で新たに導入される教科書の位置付けを確認した上で、2.学習理論から要請される教材開発の視点を明らかにし、3.教材開発・活用を各学校におけるカリキュラム・マネジメントの中に位置付ける。以上を踏まえ、4.教材活用の可能性について実践事例に基づいて具体的に検討する。
  • 渡邉 真魚
    2018 年 0 巻 336 号 p. 153-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、「特別の教科 道徳」の指導方法・評価等について(報告)の中で例示された質の高い多様な指導方法の一つ「道徳的行為に関する体験的な学習」に注目し、役割演技を用いた2つの授業実践を考察する。具体的には、役割演技の特性を生かし、再現のプレイと解決のプレイという目的を持たせた学習活動を通して、教材の効果的な活用を行う。本稿における教材の特性を生かすとは、読み物資料で描かれる道徳的な行為を取上げることである。その考察の結果、「内面から行為へ」「行為から内面へ」という双方向の学びが、教材の特性を生かした授業づくり、つまり、読み物資料の中の行為に着目した授業づくりにはあり、児童生徒の生きる社会につながる生きた学びになると判断した。
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