海洋深層水研究
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11 巻, 1 号
選択された号の論文の40件中1~40を表示しています
原著論文
  • 野田 浩之, 岡本 一利, 岡田 裕史, 高木 毅
    2010 年 11 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
    淡水で養成されたニジマス (体重93±38g) を, 2006年11月から駿河湾の水深687mから取水し15℃に加温した深層水 (以下, 深層水A区) で52尾, 水温無調整の表層海水 (12~16℃, 以下, 表層海水区) で51尾飼育した. 2007年4月までの日間成長率と生残率は両区で同様な値を示した. 2007年6月から, 深層水A区生残魚10尾 (体重671±541g) と, 淡水で養成後3ケ月間無加温 (7℃) の深層水で飼育したニジマス10尾 (体重337±87g, 以下, 深層水B区) を水温15℃の深層水で, 表層海水区生残魚6尾 (体重883±520g) を水温無調整の表層海水でそれぞれ飼育した. 表層海水区は7月下旬までに全て死亡した. 深層水A区とB区は2007年11月の体重が1.96±0.95kg, 1.29±0.75kgとなり, 成熟率は71%と29%であった. さらに深層水B区では2008年4月に体重3.42kgに成長した未成熟個体があった. これにより深層水をニジマスの適水温に加温することによって大型魚の生産が可能なことが確かめられた.
  • 野田 浩之, 二村 和視, 岡本 一利
    2010 年 11 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
    駿河湾深層水を用いたサガラメEisenia arboreaの陸上養殖技術の開発を目的に, 駿河湾深層水をかけ流し, 通気によって胞子体を浮遊させた状態で0.1-1kL規模の水槽を用いた培養を試み, 培養密度と生長率の関係について調べた. 材料にはフリー配偶体から生産したサガラメ胞子体を用い, 開始時の葉長 (19~50mm) 及び培養密度 (1.65~4.80kg/kL) の異なる5試験区を設定した. 自然光の差し込む屋内で容量0.1kLから1kLの水槽を用い28~48日間培養した. いずれの試験区も培養期間の経過に伴い葉長と湿重量が増加し, 培養終了時には開始時から3.55~7.62kg増重した. 日積算光量の平均値が同様の2期間において, 培養密度と葉長および湿重量の各相対生長率の関係を検討した結果, 負の相関が認められた. 以上のことから, 駿河湾深層水を用いた浮遊培養によるサガラメの養殖は可能であり, 培養密度を2kg/kL以下に保つことで高い生長率を維持できると考えられた.
第13回 海洋深層水利用学会全国大会 
特別シンポジウム 講演論文
  • Guy Toyama
    2010 年 11 巻 1 号 p. 21-23
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
  • 蘇 茂森, 蘇 偉成
    2010 年 11 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
    台湾水産試験所は台東県知本に海洋深層水の低温で清浄かつ無機栄養塩の豊富な特性を利用して重要な水産生物の原種繁殖施設を設置している. これにより, 良質の水産種苗を生産し, ハイテク水産養殖を発展させる. 工事は2011年の完成を予定している. 水産試験所は既に民間企業が取水を行った深層水を利用して, 藻類の試験をしている. 水産生物ジーンバンクの完成後, 水産試験所は積極的に海洋深層水を利用して以下の開発研究を推進する. (1) 重要な養殖生物の良質品種の開発と種苗生産への応用, (2) 良質な大型海藻類及び微細藻類の研究開発, (3) 機能性の高い水産養殖製品の研究開発, (4) 深層水の農業領域への多元的応用.
  • 李 士畦, 古 明弘, 黄 秉益
    2010 年 11 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
    台湾における海洋深層水の産業技術の研究は, 2005年から政府の経費補助により研究機関と大学によって始められ, 海域環境水質モニタリングと情報管理, 高付加価値商品原料の開発, バイオテクノロジーとグリーンエネルギー分野など多面的に展開されている. 本稿はそれぞれの分野における利活用例として, 自国によるミネラル濃縮液の生産設備の開発や地元メーカー商品への応用, 化粧品や医薬品原材料 (藻類多糖類やフィコビリタンパク質) の開発, グリーンエネルギーの研究 (油藻の培養, 二酸化炭素固定の研究や冷熱エネルギーの利活用) を紹介した. このように, 台湾での海洋深層水の利活用は, 原料確保から, 加工食品への応用を経て, 現在は, 高価値商品の開発と再生可能エネルギー分野での利用が重点的に研究され, 海洋深層水の多目的利用が進められている.
  • 魚 再善
    2010 年 11 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
    韓国は,経済水域に恵まれ沿岸域と海洋で活発な人間活動を進め経済発展を遂げてきた. しかし, 沿岸域では産業活動の発展とともに埋め立てが進められ, 干潟の減少, 海洋汚染, 藻場の消失, 沿岸域の荒廃などが進んだ. その上, 韓国南部では水不足も深刻である. このため, 政府は2000年から海洋深層水の資源利用に着目し, 2005年に海洋深層水研究センターや陸上施設などが完成した. これには韓国の国土海洋部が資金を供給し, 実際のプロジェクトは高城で進められた. 海洋深層水は水深300mと500mの2水深から1,100t/日取水し, 巨大水槽に貯留して使用に供されている. また, それぞれ近くの海岸から表層水も取水されている. この他, 大手企業のパナブルが7.5kmの取水管を設置して水深1500mから日量3000tの海洋深層水を取水している. 韓国の海洋深層水は, 様々な研究および開発に利用されている.
  • 黄 秉益, 辰巳 勲, 高橋 正征
    2010 年 11 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/11/15
    ジャーナル フリー
    社会の持続性強化を目的として再生型の海洋深層水資源に着目し, 台湾に建設が予定されているリゾートでモデル検証した. 海洋深層水58万m3/日の冷熱エネルギーを建物冷房に使用し87%の省エネ後, 一部を発電機冷却水に利用し63%以上の省エネ効果の可能性を得た. 昇温海洋深層水とゴミ焼却熱の温度差利用で年間613MWhの排熱発電と, 海洋深層水の冷熱を利用した土壌冷却により熱帯環境下での温帯の野菜・果物栽培の可能性も検討した. 昇温海洋深層水を逆浸透 (RO) 膜濾過で淡水化し, リゾート利用者と周辺住民 (16万人/日) が必要とする上水4.2万m3/日を製造・供給することで, 表層海水利用に比べた省資源の可能性が示された. 海洋深層水中の栄養塩類は海藻培養で回収し, 最終的には表層水と同様水質にして周辺海域に放流する. 海洋深層水資源の多段利用効果を, 省エネと省資源からモデル検証した.
第14回 海洋深層水利用学会全国大会 
一般講演 1 〈海洋 ・ 水産関連〉
一般講演 2 〈生物 ・ 水産関連 1〉
一般講演 3 〈生物 ・ 水産関連 2〉
一般講演 4 〈農業 ・ 畜産関連〉
一般講演 5 〈健康 ・ 医療関連〉
一般講演 6 〈利活用システム関連他〉
特別シンポジウム
特別講演
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