生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
13 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 古川 昭雄, 門田 正也
    1975 年 13 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ポプラ葉の光合成・呼吸に対するオゾンの影響について調べた.0.9ppmのオゾンを, 25℃, 24klux, 1.5l/minにおいて90分間処理した.純光合成速度に対する光, CO2濃度の効果をオゾン処理前・後において調べた.また, 明呼吸速度に対する光の効果についても, オゾン処理前・後に測定した.
    オゾン処理によって純光合成速度は著しく阻害され, 減少したが, 暗呼吸速度は促進された.暗呼吸速度の増加によると推察され得る光補償点の上昇が, オゾン処理によってもたらされることが観察された.暗呼吸速度の増加とは対照的に, 明呼吸速度はオゾン処理によって減少した.
    さらに, CO2濃度と純光合成速度の関係についても, オゾン処理前・後に測定した.オゾン処理によって, 明呼吸速度・純光合成速度は影響を受けて減少したが, CO2補償点は増加した.CO2補償点の増加は, クロロプラストにおける光合成反応系の減衰か, 細胞内の呼吸速度の増加によってもたらされると考えられている.それゆえ.CO2補償点の増大は暗呼吸速度の増加が原因していると思われる.しかるに, 暗呼吸速度の3~4倍高いと見られる光呼吸速度がオゾン処理によって減少していると考えられるため, 細胞内における光呼吸と暗呼吸の和としての呼吸速度は, 当然のこととして減少していると推察される.すなわち, オゾン処理によるCO2補償点の増大は, 主として光合成の阻害が原因して生ずるものであろう.
  • 林田 文郎
    1975 年 13 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    駿河湾奥部における田子の浦港内の産業廃水が, 各種海藻類の光合成にいかなる影響をおよぼすかについて検討した結果, つぎのような知見が得られた.
    アオノリ類を除くすべての海藻類では, 廃水濃度の増大にともない, 光合成速度の低下がみうけられた.
    アオノリ類の一種ボウアオノリでは, 廃水の影響によって光合成活性が高められ, 廃水混合率25%下における光合成速度は, 正常海水下のそれの約3倍の値が得られたことから, 本植物は, 汚水判定の指標植物として有効であるといえる.
    褐藻類のイソモク, アラメや紅藻類のマクサ, カギイバラノリなどのように, 潮間帯下部およびそれ以深の深所に生育する海藻ほど, 潮間帯上部~中部の浅所にみられる種類にくらべ, 廃水による影響の度合いが大きく, とくに, アラメとマクサでは, 光合成の阻害が顕著にみとめられた.
  • 苗の生育ならびに花芽形成に対する温度の影響
    斎藤 隆
    1975 年 13 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ナスの生育ならびに花芽形成に対する幼苗期の温度の影響について調査した.
    1) 昼・夜の温度較差を5℃とし, 昼温を15, 20, 25および30℃とした場合, あるいは昼温を17, 23および30℃とした場合, 温度の高い昼30℃・夜25℃で苗の生育が最も旺盛で, 花芽の分化は早く, 温度の低下に伴って生育は遅れ, 花芽の分化も遅くなり, 昼温20℃以下では生育が著しく悪く, 花芽の分化も著しく遅れている.
    2) 昼温を25℃とし, 夜温を17, 24および30℃とした場合, あるいは昼温を30℃とし, 夜温を12, 18および25℃とした場合, 夜温24~25℃で苗の生育は最も旺盛で, 花芽の分化が早く, これより低くても高くても苗の生育は遅れ, 花芽分化も遅れている.第1花の着花節位は夜温の低いほど低下している.
    3) 花芽形成に対する苗の生育時期別の温度の影響をみると, 第1花の着花節位に対しては, 第4葉分化時から第8葉分化時ころまでの期間, つまり子葉展開後2週間の温度が最も大きな影響をおよぼしている.この期間を低夜温に保つことによって, 第1花の着花節位は明らかに低下している.
    4) ナスの花芽形成に対する温度の影響をみると, 低夜温によって花芽形成を起こす生理的条件の成立が早まり, 高夜温で遅れるものとみられる.しかし, 本実験の10℃から30℃の範囲では, いずれの温度下でも花芽形成が起こっており, 花芽が形成されるための直接的な条件として, ある特定の温度に遭遇することが必要であるということはない.
  • 土壌水分含量がタバコの葉面積増加と葉中水分状態におよぼす影響
    久米 英夫
    1975 年 13 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    黒ボク土壌に在来種タバコの白遠州を栽培し, 畦上チューブかん水によるかん水区と, 無かん水の対照区を設定し, 土壌水分変化の経過, 葉面積増加, 乾物重増加, 葉細胞液の浸透ポテンシャル, 葉片の水ポテンシャル, 葉の内容成分, 収穫葉の収量・品質をしらべた.降雨が少なかったため対照区では土壌水分が減少し, 葉面積増加が抑制され乾物重増加が少なかったが, かん水区では葉面積・乾物重とも著しく増大した.対照区ではかん水区にくらべ圧ポテンシャルが小さくなっていた.中, 下位葉の脱水速度は上位葉より大きく, また, 中位葉ではかん水区のほうが対照区より脱水速度が大きかった.対照区のタバコのクロロフィル含量の低下がかん水区のそれにくらべて著しく急速であった.かん水区では収量・品質とも向上し, ニコチン含量はやや低かった.
  • 高橋 史樹
    1975 年 13 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    カブトエビは水田の代かき後数日で出現するが, その生態学的特徴には一年生水田雑草と類似のものが多い.これらの雑草の種子の中には光の刺激によって発芽するものがあるので, このような現象がアジアカブトエビ卵の孵化についてもみられるか否かを検討したところ, 光の効果を受けることがわかった.
    20℃で, いろいろな日長および全明, 全暗の条件下で, 茨木市内の水田土壌に含まれている卵および土壌を除去した飼育貯蔵卵に注水し, 孵化の状況を観察したところ, 8~24hrLの日長下では短期間に高い孵化率がみられたが, 4hrL以下の日長下では孵化が遅れ, とくに全暗条件下ではその遅れが著しかった.
  • 温度制御系のシミュレーションからの検討
    船田 周, 橋本 康, 大政 謙次, 安保 文彰, 大塚 和夫
    1975 年 13 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 1975/03/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究ではグロースキャビネットにおける温度系の電算機制御の特性解明が, シミュレーションにより行われた.すなわち, グロースキャビネットの温度系のモデル化が行われ, アナログコンピュータでシミュレーションされ, サンプリソグPID制御がディジタルコンピュータでシミュレーションされ, K, TI, TDの各種特性がτをパラメータとして求められた.
    1) Kの値は, 操作能力Pとτとの関連で定められるべきであり, 定常, 過渡による特性の差も考慮した電算機制御が行われるべきである.
    2) TIの値は, 定常で小さく, 過渡では大きい方が効果的である.
    3) TDの値は, 定常, 過渡とも小さい方がよい.
    4) τは小さい方が制御系の安定性がよいが, K, TI, TDを特性曲線からうまく選ぶとτ=20secとしても系の安定性は失われない.
    5) 検出器の時定数は, PKとの関連で検討されるべきである.
feedback
Top