生物環境調節
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16 巻, 4 号
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  • 瀬戸 昌之, 松前 恭子, 田崎 忠良
    1978 年 16 巻 4 号 p. 103-108
    発行日: 1978/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    針広混交林の林床における二酸化炭素の発生速度の季節変化を調べた.年間を通して発生速度 (Y) は地温 (T) の変化とともに大きく変動した.これに対して土壌含水量 (W) の変化には大差なく, その平均値は, 乾土当り77%であった.Y (gCO2-C/m2/day) とT (℃) の間にはlogY=0.029T-0.28の関係が成立した.この場合のQ10は室内に持ち帰った土のそれと同様2.0であった.林床の二酸化炭素の全放出量に対して, 植物の根の呼吸量が占める割合は, 3月には13%, 8月には24%であった.残りは, 土壌微生物および動物の呼吸量によると考えられる.
    室内に持ち帰った林床の土壌にグルコースを添加すると従属栄養の細菌数は添加量にほぼ比例して増加した.また, この場合の細菌の対数期における生長速度 (単位時間当りの分裂回数) は25℃において0.71/hr (世代時間, 1.4hr) となって高い値を示した.これらの結果は, この土壌の細菌の生長に対する主要な制限要因がグルコースのような有機物であって, 窒素やリンなどの栄養塩類でないことを示している.
    以上から, この林床の二酸化炭素の発生速度を律速する主な要因は地温と易分解性の水溶性有機物量であって, 土壌の水分や栄養塩類量ではないと考察した.
  • 瀬戸 昌之, 宮沢 武重, 田崎 忠良
    1978 年 16 巻 4 号 p. 109-112
    発行日: 1978/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    裸地あるいは畑地を含むいくつかの土壌の野外における二酸化炭素の発生速度Y (gCO2-C/m2/day) を調べた.すべての土壌において, Yは地温T (℃) に強く律速され, Tの上昇に対して対数的に増加した.しかし, Tが同じでもおのおのの土壌のYには大きな差があった.たとえばおのおのの土壌のTが22.5±0.5とほぼ同じでも, 府中市関東ロームの裸地におけるYの値が0.49であるのに対して近接地の林地のそれは2.83と約6倍の差があった.この差は, 土壌の含水量, 微生物数あるいは栄養塩類量の違いでは説明できなかった.
    いっぽう, 土壌の水溶性有機物量C (mgC/kg乾土) には大きな差があり, たとえばTが18±2のとき, Cの測定値の最小は裸地の3, 最大は畑の89であった.Cの50までの増大とともに, Yは直線的に増加しY=0.022C+0.51が成立した.Cが50以上のときYは1.5~1.7の範囲にあった.
    以上から, 土質あるいは人間の管理強度や植生の違いにもかかわらず, 土壌の二酸化炭素の発生速度は地温と水溶性有機物量の二つで決定されると考えた.
  • 倉石 晉, 橋本 康, 滝内 基弘, アンドラデ リマ ダルダノ デ
    1978 年 16 巻 4 号 p. 113-118
    発行日: 1978/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    ブラジルの砂漠カーティンガに生育する植物の気孔開度を測定する目的で, 植物の葉温の変化を赤外線放射温度計を使って測定した.サボテンの一種であるPilosocerus gonelleiの葉 (毛) の温度は49.2℃と従来の放射温度計で測定された最高温度, ウチワサボテンの46℃よりも高かったが, .Pilosocerusの茎では45.1℃にすぎなかった.9種の植物にアブシジン酸を処理し, 4時間あるいは24時間後の葉温の変化を調べたが, サボテン科にアナナス属あるいは苔類をのぞいて, すべてアブシジン酸処理により葉温の増加を示し, 日中の砂漠の炎天下でこうした植物は気孔が開いていることを示している.高照度下の砂漠植物の蒸散を拡散抵抗計ではほとんど測定できないことから, アブシジン酸を用いて葉温を測定することにより, 砂漠植物などの気孔開度の測定を行うことの可能性が示された.
  • 大河内 信夫, 桝田 正治, 浅平 端
    1978 年 16 巻 4 号 p. 119-128
    発行日: 1978/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    育苗期間中の培養液の液温および溶存酸素がトマト苗に及ぼす影響を調べ, 密植低段栽培に適した苗の育苗方法について検討した.
    トマト苗に対する夜間の最低液温の影響は, 高温 (17℃) で草丈, 最大葉長, 最大根長が, 無加温 (8℃) よりも優れていた.また, 両区において, 展葉数, 到花日数に差は認められなかったが, 無加温育苗は, 奇形果をつける株が高温育苗よりも多かった.したがって, 最低気温を10℃, 夜温を12℃程度が適当と考えられる.
    培養液への通気は, 無通気に比べ茎葉重, 根重, 根長を増加させたが, 展葉数, 第1段花房の到花日数では, 差がなかった.また, 栽植密度が高くなると, 苗の生育は抑えられるが, 無覆がい無通気育苗が最もコンパクトな草姿となった.
    積極的な培養液への酸素供給は, 茎葉の繁茂をもたらし, 乱形果を発生させた.
    秋から春には種する水耕トマトの育苗は, 無覆がい無通気育苗法がよく, 果実の品質, 収量に好結果をもたらすと考えられ, こうした育苗方法で, 10a当り, 7, 000本の栽植密度で10t以上の収量が見込まれる.
  • 第16巻 (1978)
    1978 年 16 巻 4 号 p. 135-138
    発行日: 1978/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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