生物環境調節
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18 巻, 3 号
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  • 木村 和義
    1980 年 18 巻 3 号 p. 71-77
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    稈長の異なるコムギ32品種を用い, 各種単色光照射下における第1葉の葉身傾斜角度を測定し, 葉鞘長, 葉身長および圃場栽培植物の稈長との関係について検討した.
    1) 単色光, 白色光, または暗黒条件下で12日間育てたゴムギの第1葉の葉鞘および葉身の長さと, 圃場で収穫時に測定した稈長との間には, すべての場合に正の相関関係がみられた.
    2) 青色光照射下においては, 全供試品種とも葉身傾斜が促進され, 100°前後の角度を示した.赤色光と白色光においては品種によって傾斜角度に差異がみられ, 稈が長くなるとともに傾斜角度も大きくなる傾向がみられた.すなわち葉身傾斜角度と葉鞘長, 葉身長および圃場植物の稈長との間には, 正の相関関係がみられた.とくに赤色光において高い相関がみられ, 傾斜角度と稈長との相関係数γ=0.863であった.緑色光と暗黒条件では全品種ともほとんど傾斜反応を示さなかった.
    3) 赤色光照射条件において, 傾斜角度と稈長との関係は大きく2つのグループに分けることができた.すなわち, 稈長約100cm以下の品種では赤色光照射によって傾斜反応を示さず, 暗黒条件と同じであるが, 稈長約100cm以上の品種においては赤色光によって傾斜反応が促進され, 稈長と角度との間には正の相関がみられた.
  • 卜蔵 建治, 浅田 武典
    1980 年 18 巻 3 号 p. 79-83
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    リンゴの萠芽から果実の収穫までの全期間を再現性の高い人工環境下で生育させ, 各生育ステージで基本となる生理, 生態反応を研究する方法について検討した.
    1) 他発休眠状態にある花芽が2~4個ついた穂木をマルバカイドウに割りつぎし小型樹を作りグロースチャンパーで生育させた.
    2) 小型のリンゴの樹は高温のグロースチャンバー内では定植後2週間で開花した.受粉後3~4週間でジュンードロップに相当する現象により多数の果実を失った.
    3) この時期に落下をまぬがれた果実はその後, 順調に肥大し, 「つがる」, 「ふじ」の着色, 糖度は自然条件下のものに近い値を示したが, 「ネロ-26」の着色は良くなかった.
    4) 「ネロ-26」の着色については可視部以外の波長域の補光が必要と考えられる.
    5) 本研究において設定されたグロースチャンバー内の温度条件は果実肥大および品質からみておおむね妥当な値と考えられたが, 初期の弱光, 高温については検討する必要がある.
  • 葉温と光合成との関係
    橋本 康, 桑原 典和, 野中 佳昭, 船田 周, 杉 二郎
    1980 年 18 巻 3 号 p. 85-91
    発行日: 1980/09/30
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    制御環境下では蒸散, 気孔開度が葉温で同定されることは既に報告した.光合成は蒸散や気孔開度と密接に関係することから, 光合成もまた葉温で同定できないか, を検討した.その結果, 光照射で立上りは約12分くらいから, 最大葉温値までは光合成速度は葉温と対応して増加し, 最大葉温以後は葉温が下れば, それだけ光合成速度はふえるという逆対応がみられた.つぎに小さな水ストレスを周期的に加えると葉温は振動し, 光合成速度もまた振動したが逆対応であった.さらに大きな水ストレスでも, やはり同様の逆対応であった.以上, 光合成速度と葉温との関係は一部明らかになった.以上の特性をコンピュータに記憶させ, モニタした葉温で判断することにより, 光合成や水ストレスに対する最適な生育制御が容易に実現する.
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