生物環境調節
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18 巻, 4 号
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  • ステムの生長期間と落葉の季節的変化
    水野 直美, 加古 舜治
    1980 年 18 巻 4 号 p. 95-101
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    制御環境下における, パフィオペディルム (Paphiopedilum insignePfitz.var.sandeyae Reichenb.fil.) の葉数変動を調査した.材料は自然光ファイトトロンの高温, 中温, 低温室および一般的栽培条件の温室で, 18か月間栽培した.新たに発生したステムは, その後40か月以上生存することがわかった.得られたデータからステムの一生にわたる葉数変動を推定した.高温は葉数増加を助長し, 低温は抑制した.落葉はすべての処理区で, 秋~冬季に起き, ステムは, その一生のうちに, 2回から3回の落葉期を持つことがわかった.このような, 多相の落葉現象について考察を行った.
  • 大西 成長, 佳山 良正
    1980 年 18 巻 4 号 p. 103-109
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    閉鎖的環境であるハウス栽培では, 雨による溶脱が少なく, とくに過剰厩肥を投入する場合, 塩類の集積が作物の生育に大きな障害になる.本研究はこのような環境下におけるトマトの生産反応と土壌中の塩類の動向を追求してみた.ビニールハウスは71.5m2のもの2棟で, 各棟を2分して牛ふん厩肥50t/10a施用区と5t/10a施用区とした.各区の畝は, その底部にビニールシートを敷き, 溶脱水は200l容ポリタンクに導くようにした.50t区は化学肥料は施用しなかったが, 5t区は尿素: 50kg, 塩化カリ: 80kg, 熔リン: 80kg/10aを施用した.得られた結果は次のようである.
    1) 50t区と5t区のトマトの地下部を含む植物体重量と果実収量に大きな差はみられなかった.
    2) 50t区の土壌pHは第1作より第2作が終始高い値を示し, 定植後24週でも8.0を示し, 以後低下して7.0を保った.5t区の第2作目では定植後16週目で7.0に近い値を示したが, その後低下して5.0に近づいた.土壌のECは2作目で定植後3mmhoに達し, 以後低下, 16週後には2mmho以下になった.5t区は栽培期間を通じて0.5~1.0mmhoであった.
    3) 厩肥中の塩類の大部分は可溶性塩類であって, 生育初期では, 50t区の土壌中N-酢酸アンモニウム濾液のKが, 25me/100gも測られた.これは置換態Kと可溶性Kの合量である.この量は定植後16週目に10me, 32週後には7~5meと徐々に低下した.これは植物による吸収もあるが, 溶脱量も大きい.5t区は栽培期間を通じて, 5me以下であった.
    4) N-酢酸アンモニウム濾液中のCa量も異常に高かったが, これは置換態のCa+水溶性Caのほかに酢酸アンモニウムに溶ける土壌中のCaCO3などが原因であろう.
    5) 過剰厩肥の施用によって, 土壌中には塩類が多く集積するが, 有底ビニールハウスでは, トマトに障害がみられなかった.これは排水が良好なため, 溶脱が促進されたためと考えられる.
  • 大西 成長, 佳山 良正
    1980 年 18 巻 4 号 p. 111-117
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    筆者らは前報で述べたビニールシートを底に敷いた耕土に厩肥50t/10a区と5t/10a区を設けて, ハウス内でトマトの生育とミネラルの分布におよぼす過剰厩肥の影響について試験をしたので, その2年間の成績をまとめて報告する.
    使用した厩肥の, N, K, Caの含有率は高く, それぞれ2.8, 2.8, 2.4%であった.地上部と地下部乾燥重量の増加過程には大きな差がなかったが, 50t区がやや大で, その原因は葉数および葉面積の増大と考えられる.
    果実の収量は1作目が, 5t区のほうが生重量で1.2t/10a多く, 2作目では逆に1.08t/10a 50t区のほうが多かった.2作目の着果数は50t区10~12に対して, 5t区は8~9であった.土壌の置換性KとCaのme比が0.2以下になると不良果の発生が急激に増加するといわれるが, 2作目の50t区のK/Caが0.25になったが不良果の発生はみなかった.果汁の糖度Brixは第1作で50t区5.8, 5t区4.8で, 50t区で高い傾向がみられた.葉序に関係なく全体から採った部位を混合して分析した結果, Kの含有率は葉, 茎, 根とも成熟とともに低下した.生育全期を含めて茎, 葉間, また厩肥50t施用区と5t施用区間のK含有率を比較しても有意な差がみられなかったが, 各生育期ごとにみると, とくに処理間に大きな差がみられた.Kの集積は葉, 茎ともに著しいが, 葉柄への集積がとくに著しく, 5t区では上部の葉柄が22%の高い集積を示したが, 下位の葉柄は5.6%にすぎなく, 50t区は全葉柄が平均21%を示した.また葉, 茎には高濃度のKが集積するが, 果実は平均4%台以上にならず, その上昇が抑制されていると考えられた.50t区は土壌が高K, 高Ca条件下にあり, Caの吸収阻害によるトマトの茎葉のCa含有率の低下が, 5t区と比較して明らかであり, Mgは高K条件による吸収阻害から茎において低い現象がみられた.
  • 第18巻 (1980)
    1980 年 18 巻 4 号 p. 125-126
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
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