厩肥の連続施用 (5t, 50t/10a) 下で4作, 次いで無施用で2作トマトを栽培し, 土壌の物理性の変化について調査した.
厩肥施用によって固相率の低下と気相率の上昇がみられ, また50t施用区では5t施用区に比較して, 気相率, 液相率が高く, 固相率が低かった.土層は厩肥施用量に応じて厚くなった.厩肥50t施用は, 大団粒割合を増加させたが, 5t施用ではその割合が低下した.
第1層の硬度は, 厩肥5t施用区で変化しなかったが, 50t施用区で低下した.第2層では, 両区とも増加したが, 増加の割合は5t施用区で顕著であった.
50t施用区の透水性は, 第1層で作付回数とともに上昇したが, 第2層ではやや低下した.一方, 5t施用区の第1層では, 第3作まで上昇した後急激に低下し, 第2層では第3作まで急激に低下したのちほぼ一定となった.
第6作後の第1層における最大容水量は, 原土に対し50t区で14.6%, 5t区で3%増加した.また, pF0.0~1.7およびpF3.0以上の水分量は, 50t施用区で多く, pF1.7~3.0の水分量は両区でほぼ同じであった.
以上の結果から, 10a当り5t程度の厩肥施用は土壌の物理性の改良にほとんど効果がないが, 50t施用では顕著であることが示唆される.
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