異なる段階の光条件下で生育した2種のカンパ, 1種のナラ, 1種のカエデ, 2種のタモの光-光合成関係と,
SLA (specific leaf area) を比較した.庇陰の程度が強くなると,
SLAはタモ類で増加したが, 他樹種ではわずかであった.また光合成速度は, いずれの樹種でも低光合成有効放射量で光飽和し, とくにナラで顕著であった.光環境が暗くなると, 光-光合成曲線の初期勾配はカンパ類ではあまり変化せず, 他樹種では急になった.葉の暗呼吸速度はカンパ類を除きいずれの樹種でも, 庇陰が強まるほど低下する傾向があった.したがって, カンパ類では庇陰に対する順化能力が低く, 庇陰下での生存は困難と思われる.ナラでは
SLAより光合成能力が庇陰に対して順化した.カエデでは庇陰に対する
SLAの順化能力が低く, 光-光合成曲線の変化も少なかった.これらは典型的な陰樹の特性である.タモ類の順化能力は,
SLA・光合成能力ともに高いので, 森林の孔状地において生長することができるのであろう.
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