冷涼季蔬菜のニンジン, シュンギク, コマツナ, エンドウ, ダイコン, ハツカダイコン, ホウレンソウ, カブとネギの9種類を供試し, 4週間水耕栽培した.液温を15°, 20°, 25°と30℃に変え, 主として根圏温度が地上部と地下部の生育に及ぼす影響について調査した.
1.種類によって根の伸長適温に差が認められ, 実験終了時における供試蔬菜の根の伸長適温は約13°~25℃の範囲にあった.そのうち, ホウレンソウ (13.3℃) とエンドウ (13.7℃) の伸長適温は最も低く, ついでダイコン (18.1℃) , ニンジン (19.3℃) , コマツナ (19.9℃) , ネギ (19.9℃) , ハツカダイコン (20.2℃) , カブ (20.2℃) ではそれよりもやや高く, シュンギク (24.7℃) では最も高くなった.
2.液温を変えてから7日ごとに調査した結果, 供試蔬菜の多くでは生育にともなって根の伸長適温が低下した.生育にともなって伸長適温が低下した蔬菜には, ホウレンソウ, エンドウ, ダイコン, ニンジン, ネギ, ハツカダイコン, カブがあった.
3.平均液温と最大根長から求めた伸長最適温度の推測値からも, 種類によって差がみられた.実験終了時における伸長最適温は, エンドウとホウレンソウで最も低くなった.ついでハツカダイコン, ネギ, シュンギク, コマツナ, ダイコン, カブではそれよりもやや高くなり, ニンジンでは最も高くなった.
4.液温の影響は根重増加にも認められた.実験終了時における根の乾物重の増加適温は, 約13°~25℃の範囲にあった.そのうち, ホウレンソウとエンドウの適温は最も低くなった.ついでコマツナ, ネギ, シュンギク, ハツカダイコン, カブ, ニンジンではそれよりも高く, ダイコンでは最も高くなった.
5.葉面積の増加は地下部の生育との相関があり, とくに葉面積と根の新鮮重あるいは最大根長との問には高い正の相関が認められた.
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