光独立栄養条件下におけるイチゴ (
Fragayia×ananassa Duch.cv.Houkouwase) 培養小植物体の純光合成速度および成長に及ぼす培地の初期無機イオン組成 (modified Hoagland and Arnon, MHA; Hoagland and Arnon, HA; Murashige and Skoog, MS) およびMHAの初期総無機イオン濃度 (20, 40, 60および80mol・m
-3) の影響を調べた.
総無機イオン濃度40mol・m
-3のMHAはHAよりもK
+, Mg
2+, NH
4+, NO
3-, H
2PO
4-, SO
42-をそれぞれ1.3, 1.5, 3.0, 1.1, 3.0, 1.5倍に高めたものである.20, 40および60mol・m
-3のMHAは80mol・m
-3のMHAを希釈したものである.発根ステージにある小植物体を株分けしたものを外植体とし, それらをポリカーボネイト製培養器内で培養した.培養器には通気性マイクロポーラスフィルター (孔径: 0, 5μm) を4個貼り付けた (換気回数: 3.5h
-1) .培養器は気温25℃, 相対湿度70%, CO
2濃度2.0mmol・mol
-1, 明期16h・d
-1, 光合成有効光量子束密度160μmol・m
-2・s
-1 (光源: 白色蛍光灯) 下に置いた.
試験開始21日目における小植物体当たりの純光合
成速度はH
2PO
4-濃度4.5mol・m
-3で最大で, 乾物重はH
2PO
4-濃度3mol・m
-3で最大となった.小植物体当たりの生体重, 乾物率, 葉面積, および蒸散速度は初期総無機イオン濃度40および60mol・m
-3のMHAでHA, MS, 初期総無機イオン濃度20および80mol・m
-3のMHAより大となった.初期総無機イオン濃度40および60mol・m
-3のMHAおよび初期H
2PO
4-口濃度3および4.5mol・m
-3のMHAは, HAおよびMSよりも小植物体の純光合成速度および成長を促進させることが明らかになった.
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