イチゴ (
Fragaria×ananassa, Duch., cv.濃姫) のランナーにarbuscular菌根菌5菌種 (
Gigaspa margarita, Glomus fasciculatum, Gl. mosseae, Gl. sp. R10,
Gl. aggregatum) を接種し, 菌根共生および萎黄病耐性を調査した.菌根菌接種11週間後に萎黄病菌 (
Fusarium oxysporum f. sp.
fragariae) を接種した.萎黄病菌接種30日後, 菌根菌無接種区における発病率は100%に達し, 発病指数も90を上回った.一方, 菌根菌接種区では菌種にかかわらず発病率および発病指数とも無接種区より低く, 発病抑制効果には菌種間差がみられた.この場合, 最も抑制効果が高かったのは
Gl. mosseae区の発病率22.2%, 発病指数6.6であった.また, 導管部および根の褐変程度についても特に
Gl. mosseae区で軽減され, 植物体乾物重では, 萎黄病菌接種前後で菌根菌接種区が無接種区を上回った.菌根菌感染植物体の耐病性機構については不明な点が多く, 耐性因子とされる植物体リン酸含量と本研究における耐病性との間に一貫した特徴はみられなかったことから, 植物体リン酸含量の本耐病性への関与は低いことが示唆された.
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