1.プロトクロロフィライドのクロロフィライド
aへの光転換反応, およびクロロフィル蓄積現象を指標として, 大型照射用分光器の700~800nm域の単色光純度の検定を試みた.暗所で生育させたいんげん黄化植物の幼葉に700nm以上の単色光を照射した場合, 上記反応はおこらぬことが知られている.したがって, その波長域の強い単色光を照射した場合, もし反応がおこれば, それは迷光に起因するものであり, 反応量は迷光強度の指標に用いることができると考えられるからである.また650nm光はクロロフィル形成に効率が高い光であることが知られている.この理由から迷光評価の基準として650nmの弱光でおこる反応量を用いた.
2.10erg/cm
2/secの650nm光を10分間照射することにより12%の光転換反応がおこった.しかるに700nm以上の20, 000erg/cm
2/secの単色光の10分間照射により光転換反応は全く認められない.また20, 000erg/cm
2/secの720nm光と10erg/cm
2/secの650nm光の同時照射により12%の光転換反応が認められた.これらの事実から, 700nm以上の波長域の20, 000erg/cm
2/secの単色光には, 10erg/cm
2/secの650nm光に当量関係をもつ光転換反応に有効な光を迷光として混入してないと考えられる.この方法により, 光転換反応は単色光純度検定の高感度の指標として用いることができる.
3.700~800nm域の20, 000erg/cm
2/secの単色光を20時間照射することにより, 720nm域にクロロフィル蓄積の1つのピークが見出された.この波長域でのクロロフィル蓄積の誘導期は650nm光照射の場合の誘導期より長いこと, および光転換活性をもつプロトクロロフィライドが残存していることから, この波長域でのクロロフィル形成は720nmの未知の強光効果によるものであり, 迷光によるものとは考えにくい.したがって, この波長域でのクロロフィル蓄積を迷光検出に用いることは適当でない.
4.790~800nm域の20, 000erg/cm
2/secの単色光によるクロロフィル蓄積は見出すことができなかった.したがって790~800nm域のクロロフィル蓄積を迷光検出の指標として用いることは可能であると考えられる.
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