応用生態工学
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4 巻, 2 号
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  • 橘川 次郎
    2001 年 4 巻 2 号 p. 107-108
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    Abstract:People reaching adolescence in the middle of the 21st Century are yet to be born, so cannot represent themselves in today's government or court, which decides their welfare. Are they going to face the same environmental challenge as we do today? The chances are that they will be much worse off than we are if they try to repair the damage caused by previous generations, and would inevitably ask why their grandparents did not care about them. The future image of the environment should at least project the quality that we still cherish at present. Ecologically sustainable technology is available for most developments needed for the welfare of people today. What is lacking is the political will to put it in the environmental paradigm. The Ecology and Civil Engineering Society has the unique opportunity to play an important role in the maintenance of healthy ecosystems and biodiversity in harmony with the prosperity and welfare of human beings.
  • 村上 まり恵, 山田 浩之, 中村 太士
    2001 年 4 巻 2 号 p. 109-120
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    細粒土砂(<2mm)の堆積が浮き石割合,透水性に与える影響を検討するため,北海道南西部の遊楽部川流域と貫気別川流域の底質が異なる5つの山地小河川を対象として,粒度組成と浮き石割合および透水係数の調査を行った.また,これらの河川間の違いを明らかにした上で,各河川の土地利用の特徴について考察した.なお,流水中の河床における細粒土砂の採取には凍結コア法を用い,透水係数の計測には原位置透水試験のパッカー法を適用した.
    浮き石割合および透水係数は,平均粒径,歪度,尖度と強い相関が見られ,また細粒土砂の重量割合と負の相関が得られた.なかでも,粒径0.125-1,0mmの重量百分率と最も強い負の相関が得られた.これらのことから,細粒土砂の堆積により,浮き石割合および透水係数が低下することが定量的に明らかになった.また,浮き石割合の減少により透水係数が低下することが得られた.一方,河川間において,細粒土砂の重量百分率,浮き石割合,透水係数に違いが認められ,細粒土砂量が多く,透水係数や浮き石割合が低い河川は,農地率の高い河川であった.農地開発により表土流出や河岸崩壊が生じ,土砂生産量が増加すると報告されていることから,農地率が高い河川では,そのような影響が底質に現れたと考えられた.また,細粒土砂を多く含む河床では,出水によるフラッシュ・アウトがない場合,細粒土砂の堆積が進行し,河川生物相に及ぼす影響が大きいことが予想された.
    本研究で用いた凍結コア法およびパッカー法は,流水中の細粒土砂の採取および透水係数の測定方法として有効であった,今後,河川環境の保全を考える際,これらの方法を活用して細粒土砂に関する知見を深め,河床への堆積過程さらに堆積防止方法を検討する必要がある.
  • 村中 孝司, 鷲谷 いづみ
    2001 年 4 巻 2 号 p. 121-132
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    鬼怒川の周辺地域の土地利用の異なる中流域の7カ所の砂礫質河原で植生調査を行い,河原固有植物の分布および外来植物の侵入の現状を把握した.調査した7カ所の河原の植生は種組成の類似性比率によらて,上流側(5カ所)および下流側(2カ所)の2つのグループに分類された.河原固有種および外来種の出現頻度は2つのグループできわだった違いを示した.下流側の調査地には河原固有種はほとんどみられず,セイタカアワダチソウの出現頻度が高かった.それに対して,上流側の調査地にはカワラバハコ,カワラヨモギ,カワラノギクなどの河原固有種が優占する植生が残されていたが,外来牧草シナダレスズメガヤが高い出現頻度を示した.種組成の違いは冠水頻度や基質タイプなどの環境要因の違いでは説明できず,周辺地域の土地利用や河川における位置の違いなどが潜在的種子供給量の違いを介して植生の現状に違いをもたらしている可能性が示唆される.河原固有種が残されている上流側サイトでは,カワラハハコカワラニガナ,カワラノギクはシナダレスズメガヤとの共存度が低く,シナダレスズメガヤの侵入が基質タイプの改変や被陰を通じて河原固有種の生育適地を縮小させている可能性が考えられる.
  • 渡辺 恵三, 中村 太士, 加村 邦茂, 山田 浩之, 渡邊 康玄, 土屋 進
    2001 年 4 巻 2 号 p. 133-146
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究では河川構造の空間スケールの階層性および関連性に着目し,河川改修が底生魚類の分布よび生息環境におよぼす影響を明らかにすることを目的とした.
    調査は,1998年9月から1999年9月までの1年間,石狩川水系真駒内川において施設整備の異なる約2km区間を河道区間スケール(護岸区間,自然区間,流路工区間)として設定し,各区間を通過する物質量を測定した.さらに各河道区間内において瀬と淵を流路単位スケールとして設定し,各流路単位における底生魚類と生息環境の関係の解析をおこなった.
    ハナカジカの生息密度は,自然区間,護岸区間に比べて流路工区間で著しく低かった.しかし,フクドジョウの生息密度は河道区間による差はみられなかった。パナカジカの生息密度が低かった流路工区間では自然区間,護岸区間と比較して河床の特性に違いが認められ,特に小粒径砂礫が多く,浮き石が少なかった.
    また,ハナカジカの生息密度は,巨礫と浮き石の割合に強い正の相関が認められた.このことから,流路工区間で生息密度が低かったのは,生息環境や産卵環境および避難場所として利用可能な巨礫や浮き石の減少によるものと考えられた.
    流路工区間の瀬において巨礫や浮き石の割合が自然区間および護岸区間に比べて低かったのは,河道区間スケールの影響として増水時における掃流力の低下にともなう小粒径砂礫の堆積および河床が動きづらくなったことすなわち攪乱が起こりにくくなったことが考えられた.さらに,流路単位スケールにおいては,平水時における微細粒子の被覆・堆積によるものと考えられた.
    このように,河道区間スケールおよび流路単位スケールの階層性のある各空間スケールに関連した要因によって,ハナカジカの主な生息場所である瀬の河床材料およびその状態が改変した結果,流路工区間においてハナカジカの生息密度は低かったと考えられる。
  • Dharshani MAHAULPATHA, Tharaka MAHAULPATHA, Kaneyuki NAKANE, Tadashi F ...
    2001 年 4 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    Wintering mandarin duck (Aix galericulata) populations and their behavioural adaptations were analyzed in relation to habitat conditions at six dam lakes in the Chugoku district of western Japan, from September 1999 to March 2000. Mandarin duck densities in the dam lakes were significantly correlated with the shoreline bordered by trees. Mandarin duck densities in the dam lakes were also affected by the decrease in the water level. Overhanging branches and dense vegetation along the shoreline provided mandarin ducks with suitable resting cover and shelter. Receding water levels made resting cover unavailable by exposing these sites. The most notable response to a decline in water level was to move into sites with abundant cover such as those found in pools of the inflow rivers. Since it is practically impossible to maintain constant water levels in dam lakes, we suggest that small adjacent impoundments with sufficient cover should be built to attract mandarin ducks to artificial reservoirs.
  • 安藤 義範, 笹田 直樹, 山本 孝洋, 内 智子, 国井 秀伸
    2001 年 4 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/12/02
    ジャーナル フリー
    兵庫県北部を流れる田君川は,標高10数mという西日本としては極めて低標高にバイカモが生育する河川である.かつては大規模なバイカモ群落が見られたが,河川の全域を覆うほどツルヨシの繁茂が著しく,近年ではそうした群落が減少しつつあった.そこで,バイカモ群落を復元する手法を検討する目的でツルヨシの除去実験を行った.ツルヨシの除去は手刈り及び重機(バックホウ)を用いて行った.その結果,手刈りによるツルヨシ除去は1ヶ月に1回の刈り取りを3回以上行うことでツルヨシの群落高の抑制に有効であること,水面上の照度は年間2回以上の刈り取りで増加すること,ツルヨシの衰退とバイカモの植被率の増加には相関があることなどが確認された.重機によるツルヨシ除去はバケット部をシャベル形とし河床材料とツルヨシを全て取り除く方法(河床浚渫法)とバケット部をフォーク形として株状に成長したツルヨシのみをつかみ取る方法(ツルヨシ株除去法)で行った.その結果,河床浚渫法,ツルヨシ株除去法ともに処理後バイカモの植被率は増加したが,ツルヨシ株除去法を用いた方がより早くバイカモの植被率が増加した.また,バイカモの植被率の増加は重機処理区よりも手刈り処理区の方が早いことが確認された.
  • 鈴木 正貴, 水谷 正一, 後藤 章
    2001 年 4 巻 2 号 p. 163-177
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    環境庁が1997年に発表した汽水・淡水魚レッドリストに,絶滅危惧II類としてメダカが掲載されて話題となった.メダカは,河川(恒久的水域)と一時的水域(水田や小水路)の間を移動して,これらの水域を効果的に利用している.また,ドジョウなども同様な生活史を持つ.これらの生息数が減少している理由の一つとして,圃場整備事業があげられる.圃場整備事業は,農業従事者に対して作業時間の短縮や省力化といった様々な恩恵を与えている.一方で冬水の流水停止,水尻や排水路末端の落差形成など水域ネットワークを分断して,魚類の生息環境の悪化を招いている.そこで,工学的な手法による淡水魚類への配慮が求められるようになった.本研究は,水域ネットワークの再構築の一手段として小規模水田魚道の試作と実験を行ったものである.
    魚道の試作にあたって,供試魚にドジョウ(底生魚)とメダカ(遊泳魚)を選び,ドジョウについてはあらかじめ遡上行動を観察した.その結果,ドジョウは遡上中に休憩し,遡上の際には引っかかりを利用することが分かった.この結果を参考にして魚道の試作を行い,供試魚を用いた予備実験を行った.そして,カスケードM型魚道と千鳥X型魚道と称する2つのタイプを開発した.また,この2つの魚道について設置勾配や流量を変えた遡上実験を実施し,以下の結果を得た,1)カスケードM型魚道は,ドジョウ(匍匐型,遊泳型)の遡上・降下行動を可能とする.2)千鳥X型魚道は,ドジョウ(遊泳型)とメダカの遡上・降下行動を可能とする.3)ドジヨウの遡上は,夜間に活発化する.4)メダカはドジョウに比べて正の走流性が強い.
  • 村上 哲生, 服部 典子
    2001 年 4 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    長良川河口堰湛水域において,水温と溶存酸素の鉛直分布を一時間毎に連続観測し,快晴で弱風の気象条件の下で,一時的な水温成層が発達することを明らかにした.成層は水柱の鉛直混合を阻害し,さらに,底層の酸素不足を引き起こす可能性があることが示された.底層酸素濃度は,宵の内に最も低い値が記録され,深夜には表層水の冷却による鉛直混合のために底層の酸素不足は解消された.しかし,底まで達する全水層の完全な混合は毎日起こるわけではなく,一時的な水温成層は,数日間維持されることもあった.水柱や堆積物による急速な酸素消費速度から判断すれば,一時的な水温成層は,夏季の湛水域底層でしばしば観測される酸素不足の原因となる可能性がある.
  • 岡本 尚, 山内 征郎
    2001 年 4 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 古里 栄一
    2001 年 4 巻 2 号 p. 193-194
    発行日: 2001/12/27
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
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