応用生態工学
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早期公開論文
早期公開論文の13件中1~13を表示しています
  • 大槻 順朗, 中村 圭吾, 佐藤 隆洋, 河野 誉仁
    論文ID: 25-00022
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/10
    ジャーナル フリー 早期公開

    本自由集会では,環境分野におけるデジタルツイン技術の適用可能性と革新性について.技術的および社会的視点から議論された.デジタルツインは,情報共有の促進と環境影響の低減を推進する重要なツールとして認識された.ゲームエンジンを活用した河川モデル化は,合意形成を支援する手段として注目され,ジェネレーティブデザインは合理的な河川形態の最適化を強化する手法として紹介された.現場観測の簡素化,オープンデータの活用,設計者の環境リテラシー向上といった課題が指摘される一方,災害後の迅速な復旧にむけてのデータ構造の整備などの課題が議論された.

  • 小和田 侑希, 中泉 拓海, 北村 亘
    論文ID: 25-00018
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    都市化に伴い,生物の生息域が減少する中,多様な生物が利用可能な緑地の創出が重要視されている.特に都市域では,生物多様性の保全と住民の利用価値を両立した緑地が求められる.ニホンカナヘビ Takydromus tachydromoides Schlegel は日本固有のトカゲで,都市公園の小規模緑地に生息可能な保全目標種とされている.しかし,東京都では本種の生息数が減少し,絶滅危惧種に指定されているため,生息環境の整備が必要とされる.本研究では,東京都八王子市の長池公園内でニホンカナヘビの個体数や餌生物の分布を調査し,好適な生息環境を明らかにした.草丈の異なる 3 つの調査地で観察した結果,成体・幼体ともに草丈 1 m 程度の草地(調査地 1)で最も多く確認され,昆虫類,特にバッタ目が豊富であることも生息に関与していると考えられた.また,調査地 1 は日光浴が可能な開けた環境であり,捕食者からの逃避にも適していたことが示唆された.季節変動としては,成体は 4-7 月に増加し,8 月に減少,9 月に再び増加する傾向が見られた.この変動は,気温や繁殖期の影響を受けた可能性があるが,データ不足からその特定には至らなかった.本研究はニホンカナヘビの生息条件に関する知見を提供するが,気温や時間帯,その他の要因を含むさらなる調査が必要である.

  • 丹羽 英之
    論文ID: 25-00026
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    シカを管理して植生への影響を低減することは喫緊の課題である.そのためには,シカの行動や植生への影響を迅速に把握できる,簡便で低コストのモニタリングが必要になる.そこで,UAV プラットフォームを使い,湿原においてシカの影響による植生の変化を把握した.深泥池湿原(京都府京都市北区)を調査対象地とし,湿原植生へのシカの影響を指標する種としてミツガシワ Menyanthes trifoliata とマコモ Zizania latifolia を選定した.ミツガシワとマコモが,他の植物との識別が容易な 10 月に UAV で湿原を空撮し,2015 年と 2023 年の両種の分布データを作成した.この植生分布の情報は,湿地の長期変化のモニタリングにおいて,重要な基礎情報となる.

  • 鈴木 透, 山田 浩之, 中村 隆俊, 田開 寛太郎
    論文ID: 25-00014
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    Vegetation digital images archive, including orthophoto and VR images from Shizukari Mire, Hokkaido, Japan, was developed. The images were captured using a drone and a VR camera on July 17, 2024. An orthophoto was generated from 168 images using Metashape. The VR images were converted into 576 equirectangular JPEG files, excluding data from takeoff and landing as well as images with significant distortion.

  • 森 照貴, 中村 太士, 一柳 英隆, 萱場 祐一, 和田 彰
    論文ID: 25-00001
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/10
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 森 照貴
    論文ID: 25-00009
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/10
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 中島 颯大
    論文ID: 25-00003
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    様々な脅威を受けている河川生態系において生物種を絶滅から防ぐためには,質の高い生息地を増やすと同時に,これら生息地の連結性を確保することが重要である.生物の移住に伴う集団間の遺伝子の交換である遺伝子流動は生息地の「機能的連結性」といえ,集団遺伝学・景観遺伝学のアプローチを用いて評価することができる.本稿では(1)遺伝子流動が種や地域個体群に与える機能を確認し,(2)景観遺伝学で発展してきた遺伝子流動評価の考え方や手法について既往文献を整理し,(3)これらの河川生物への適用について,陸上生物を扱う場合の共通点や違いにも着目しながら議論した.遺伝子流動は変動する環境下において集団の頑強性を高める役割をもち,種や地域個体群の存続に正の効果をもつことが示されていた.また,遺伝子流動の評価手法は多くのアプローチがあり,その多くは集団間の遺伝的分化は移住個体数が多いほど小さくなるという考え方に基づいたものであるが,個体情報を用いて直近の遺伝子流動や双方向の遺伝子流動を評価する手法も複数みられた.各手法はそれぞれ前提とする仮定をもつため,対象とするデータの特性や目的に合わせて適切なものを用いることが重要と考えられる.河川生態系は上-下流の非対称性や階層構造・樹状構造をもつ特殊なシステムであり,河川生物には景観遺伝学で発展した手法をそのまま適用することが難しい場合もある.このため,河川生物の遺伝子流動評価については「河川景観遺伝学」という独自の学問分野として議論されることもあり,河川生態系に特化した解析手法も提案されている.最後に,様々な手法を組み合わせた河川景観遺伝学の事例として,石狩川水系空知川上流域のハナカジカの研究を紹介し,遺伝子流動の評価が保全上有用な知見を提供することを確認した.

  • 木村 文宣, 西村 修
    論文ID: 25-00002
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/05
    ジャーナル フリー 早期公開

    ダム貯水池等で発生する底層貧酸素化は,受熱や気泡式循環施設の稼働等により水温躍層が形成されることが進行の一因と考えられているが,水温躍層の形成位置や強度が底層貧酸素化の進行に与える影響についての知見は極めて少なく,特に水温成層形成初期に底層の DO 濃度が低下していく時期の変化については既往知見が示されていない.ダム管理者を対象としたアンケート調査では,全体の 10%程度のダムで底層貧酸素化に伴う水質問題が生じているとの報告がある.水温躍層の形成位置や強度はダム管理者が制御できる可能性があり,水温躍層位置の設定により底層貧酸素化の進行を遅らせることができると,水質改善のための装置の稼働期間を短くする等のメリットが期待できる.そこで,本研究では,三春ダムにおいて水質自動観測装置により計測されている水質項目のうち水温と DO 濃度に着目し,水温鉛直分布データから水温躍層の下端標高(水温躍層標高)と水温躍層標高における躍層強度(成層強度最大値)を算出するとともに DO 計測データから水温躍層以深の DO 濃度の低下速度(DO 低下速度)を算出し,水温成層形成初期における水温躍層標高あるいは成層強度最大値が DO 低下速度に及ぼす影響について解析を行った.その結果,特に成層強度と DO 低下速度の間には相関係数が 0.7~0.8 と比較的良好な対数関数として正の相関関係があることが明らかとなり,成層強度が強まるほど DO 低下速度も上昇するという関係があることが示された.この正の相関関係は,既往文献において鉛直拡散係数が成層強度と指数関数の関係にあることが示されていること,底泥及び深水層での酸素消費速度が概ね一定である限りは,底層 DO 濃度の低下速度と鉛直拡散係数は一次関数の関係で説明できることを踏まえると,妥当な結果ということができる.今回は単独のダム貯水池で計測されたデータに基づく解析結果を示したが,今後は複数のダム貯水池において同様の手法による解析を行い,本結果の蓋然性を確認する予定である.

  • 源 利文
    論文ID: 25-00011
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/05
    ジャーナル フリー 早期公開

    今やマクロ生物のモニタリング手法として欠かせないものとなった環境 DNA 分析は,1987 年に微生物を対象として初めて実施が報告され,その後は古代 DNA の解析にも用いられた.2008 年の Ficetola らの研究は,水からウシガエルの DNA の検出に成功し,原生のマクロ生物の分布調査に革命をもたらした.同時期に日本でも独自に環境 DNA の研究が進められ,日本の研究者たちは多くの重要な成果を上げてきた.特に,Takahara らの環境 DNA の定量に関する研究や,Miya らの魚類環境 DNA メタバーコーディングプライマー「MiFish」の開発は特筆すべき成果である.環境 DNA 分析は,現場での作業が簡単で専門性を必要としないため,大規模なモニタリングに特に有効性を発揮する.日本では,全国沿岸での一斉調査や ANEMONE プロジェクトなどが実施され,多くのデータが蓄積されている.環境 DNA 分析は,水から DNA を取り出す方法が主流であったが,近年では水中堆積物や植物体の表面など,さまざまな媒体から DNA を抽出し,マクロ生物の情報を得る取り組みがなされている.また,感染症の監視や生物の繁殖行動の時空間的な把握への応用も進んでおり,感染症の予防や制御,繁殖行動の詳細な理解に基づく希少生物の保全などに役立つことが期待されている.ただし,環境 DNA 分析にもいくつかの課題がある.最大の課題は,リファレンス DNA 配列データベースの充実度と正確性であり,環境 DNA が示す時空間的な範囲の不確定性も大きな課題である.環境 DNA 分析はまだ若い技術であり,さらなる研究と技術開発が必要である.また,環境 DNA 分析は直接採捕の代替ではなく,生物モニタリングの基本を疎かにしないことを忘れてはならない.次世代に生態系の豊かさを伝えることも保全のために重要である.

  • 鈴木 享子, 伊勢田 律
    論文ID: 24-00020
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究により,東京都野川において国内外来種であるオヤニラミが侵入・生息していることが明らかになった.採捕された 7 個体は全て,ほとんど流れのない,ヨシを中心とする水生植物が豊富にある岸際で採捕された.また,環境 DNA 分析からもオヤニラミが明瞭に検出され,外来種の侵入を検知するツールとして環境 DNA が有効である可能性が示唆された.本研究では,地域市民からの情報提供,市民―研究者の連携により,オヤニラミの侵入・生息を早急に把握することができた.こうした市民との連携や共同調査は,生物の分布状況の把握に寄与し,地域の河川管理や生態系管理,また生物多様性の保全に資するものと考えられる.

  • 佐藤 辰郎, 林 博徳, 皆川 朋子, 鬼倉 徳雄
    論文ID: 24-00024
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/25
    ジャーナル フリー 早期公開
  • 小山 彰彦
    論文ID: 25-00006
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    日本国内における河口・沿岸域の生物多様性保全を目的として,本稿では潮間帯生息場,特に干潟と塩性湿地の定量評価に関する課題を論じた.干潟は 1945 年以前と比べると既に約 40%が消失しており,特に前浜で著しい.今後は,河川区間に位置する未評価の干潟を定量化する必要がある.河川区間に形成される礫質・砂礫質の潮間帯生息場は日本の地形や流域特性に応じたユニークな生態系を維持している可能性がある.しかしながら,近年展開されつつある生息場の評価体制に基づくと,このような潮間帯生息場は見逃されてしまうリスクを有する.一方,ヨシ原を含む塩性湿地は人為的な影響を受けて劣化・消失が著しいことは明らかではあるが,国内における具体的な減少の程度は不明である.よって,まずは効果的な保全・再生を計画するための基礎資料が不足している現状を解決しなければならない.塩性湿地面積と出現種数の間には有意な正の相関は認められず,小規模の塩性湿地も生物多様性の保全に寄与すると期待されるため,中小河川に位置する塩性湿地についても適切に定量評価を行うべきである.加えて,潮間帯生息場は生物環境および物理化学環境に応じた生物相が形成されるため,「干潟」や「ヨシ原」などの単一の評価項目では,適切に生物多様性を評価することは難しい.より詳細に潮間帯生息場,あるいは希少種の現況を定量化するためには,簡単であり,短時間でかつ低コストの技術を用いた,現場に適用可能な調査方法の確立が必須である.そのためには,新規的な調査道具や分析技術についてさらなる研究が望まれる.

  • 大澤 剛士, 山野 博哉, 小笠原 奨悟
    論文ID: 24-00022
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    グリーンインフラストラクチャー(GI)は生態系を計画的に人間社会に組み込み,生態系が有する様々な機能を活用するというアイディアで,自然を基盤とした社会課題の解決(Nature-based Solutions: NbS)に含められることも多い.近年では政府による支援体制も拡充しつつあり,各地で GI 推進が積極化している.しかし,GI の概念は極めて広く,行政等が GI の具体的な取り組みを検討する際の情報が不足しているという指摘もある.GI の導入を検討する際には,少なくとも対象地に存在する生態系および法制度等,人間社会における制約をともに考慮する必要がある.本研究は,対象地に存在する生態系と人間社会における制約の両方に関係する要因である土地利用計画に注目し,自治体において導入しやすい GI タイプを提示することを試みた.国土利用計画法に基づく土地利用基本計画を利用し,全国 1,917 の市区町村について,計画上の土地区分面積を非階層クラスター分析によって類型化した.その結果,土地区分について森林,都市開発地,都市緑地,農地という 4 区分を用いると 3 クラスに,森林を除いた 3 区分を用いると 5 クラスに分かれた.クラスは基本的に積極的に都市開発がなされるクラス,都市緑地および農業地域を多く含むクラス,森林および農地が大部分を占めるクラスに大別され,国土交通省発行のグリーンインフラ実践ガイドにおけるエリア分け「都市部」,「郊外部」,「農山漁村部」とおおむね一致し,推進しやすい GI タイプをある程度反映すると考えられた.クラス分け結果を地図化すると,同じクラスは地理的にまとまっている傾向があり,GI 推進において近接する市区町村の協同は有効と考えられた.これらの結果から,土地利用基本計画に基づく計画上の土地利用は,基礎自治体において推進しやすい GI を検討する材料として有効であると考えられた.

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