日本産フトミミズ科Megascolecidae の属分類の概略について述べた.まずSims and Easton (1972) に基づき,ト
ウヨウフトミミズ群の属分類体系の歴史的な背景について概説し,日本での分類体系の受容についても言及した.そ
の上で同群の現行属の有効性について議論し,特にフクロフトミミズ属
Metaphire とアズマフトミミズ属
Amynthasの区別については, 両属において, 雄性孔の形態には中間的なものが見られること,分子系統の解析結果からも単系統性が支持されていないなど,いくつかの疑問があることを紹介し,既往研究で提案されているように将来はアズマフトミミズ属
Amynthas に統合されるべきであることを指摘した. また, 初学者に向けて, 現行の有効属の特徴と識別法, 分布や種多様性の特徴, 種分類形質について略述した.以下の属について今回新たに和名を創設した.アズマフトミミズ亜群:
Begemius Easton, 1982 ゴウシュウフトミミズ属(新称). ネッタイフトミミズ亜群:
ArchipheretimaMichaelsen, 1928 アケボノフトミミズ属(新称);
Metapheretima Michaelsen, 1928 ミカヅキフトミミズ属(新称);
Planapheretima Michaelsen, 1934 キノボリフトミミズ属(新称);
Pleionogaster Michaelsen, 1892 サノウフトミミズ属(新称).Sims, R. W. and Easton, E. G., 1972. Biol. J. Linn. Soc., 4: 169–268.
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