バイオレメディエーションを行なった石油汚染土壌について,特に土壌生態系を中心とする生態学的見地から土壌の回復状況を評価した.大型土壌動物は,非汚染区,曝気浄化区と比較してコンポスト浄化区,汚染区のバイオマス量が極めて少なく,小型節足動物についても非汚染区以外の調査区における個体数が少ないため,汚染によるストレスの影響から未だに回復に至っていないことがうかがえた.一方,トビムシを用いた毒性試験では生存率や成長量,新生個体数が汚染レベルの増大によって減少することはなかった.また,BiOLOG^[○!R]で調べた微生物の群集構造は非汚染区と曝気浄化区が似た傾向を示した.これらの結果から,石油濃度が1,500 ppm以下の汚染レベルでは,生物指標として小型節足動物がもっとも感受性よく,複数の生物指標を用いることで曝気浄化区はコンポスト浄化区よりも土壌生態系の回復が進んでいることが示された.以上のように,曝気浄化法とコンポスト浄化法では,重油濃度からは回復程度が等しいと判断されたが,生態学的視点からは曝気浄化法が優れていることが明らかになった.
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