a 本実験においては, 蛋白の質および量の高低と同時に脂肪 (植物油) 含量を変えた飼料により白鼠を飼育し, その栄養と振動 (および騒音) のストレス負荷による影響を見た。飼料は自由摂取とし, 11週間後解剖し臓器の計量と一部生化学的検討を加えた。
b 高蛋白群 (蛋白含量25%, 蛋白価90) は高脂 (脂肪含量25 Weight %), 低脂 (同2%) のいずれにおいても標準食群に比し体重増加は良好であり, 各臓器機能も異状がなかったが, 低蛋白群 (蛋白含量8%, 蛋白価75) は高脂, 低脂のいずれも体重増加は悪く (特に高脂低蛋白群は最も悪く) これらは臓器機能においても異状があり, ストレス負荷の影響も強く現われた。
c 飼料中の脂肪の影響は低蛋白群に最も強く現われ, 高蛋白群には悪影響は現われなかった。必須脂肪酸の必要量さえ十分であれば摂取脂肪量はその最少量よりも最大量が問題となるが, この場合においては同時に摂取する蛋白質の質と量に大きく影響される。本実験においては, 体重増加量, 臓器機能などを見るに高脂高蛋白群が最もよく高脂低蛋白群が最も悪い結果が得られた。
d 飼料中の脂肪含量が少なくても低蛋白の場合はやはり成長なども悪く, ストレス負荷の影響も強く受ける。
e 以上の結果より3栄養素の比率を考えるとき蛋白の量と質がまず問題となり, それに関連して脂肪の量の適否が検討されるべきものと思われる。また, 脂肪についても本実験においては植物油 (大豆油) のみの使用であるので脂肪の質による影響も検討されねばならず, これらはさらに研究の要があるものと思う。
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