PCBの毒性と水溶性ビタミンとの関係を検討する目的で, 幼若シロネズミを用いて成長試験, 肝臓肥大の程度, 血清リン脂質の増加の程度を調べるほか, 一部の研究においては肝臓V. B
1含量についても測定した結果を要約すると次の通りである。
1) V. B
1欠乏ネズミにPCBを没与すると, 著しい成長減退が起こるが, このような状態のネズミにV. B
1を添加すると, 速やかに成長は快復するものの, あらかじめV. B
1を正常に含む飼料にPCBを添加したいわゆる0.1%PCB群の成長には追いつかなかった。この群の成長に追いつくためにはさらにV. Aの添加を必要とすることが判明した。
2) PCB投与により肝臓のV. B
1含量は単位重量当りにしても, 全肝臓当りにしても有意に減少するが, 体重100g当りの肝臓重量に換算すると, 差は認められなかった。
3) V. B
6欠乏ネズミにPCBを投与すると, 著しい成長抑制が現われ, PCBの毒性の強まることを認めた。正常レベル以上にさらにV. B
6を添加してもPCBによる成長抑制に対して改善効果を示さず, また肝臓肥大, 血清リン脂質の増加を抑制する効果もみられなかった。
4) ナイアシン不足, あるいはトリプトファン, ナイアシン不足の場合, 今回のような実験条件下ではPCBの毒性に対してなんら影響を与えなかった。
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