栄養学雑誌
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36 巻, 4 号
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  • 東條 仁美, 宮崎 基嘉
    1978 年 36 巻 4 号 p. 159-164
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    食餌中のビタミンEが生体内で脂質の過酸化物の生成にどのような効果を持つかについて検討した。幼ウィスター系雄ラットを用い, 飼料中にビタミンEを添加した群と無添加群とについて比較し, 次のような結果を得た。
    1) 肝臓, 腎臓および筋肉について測定した過酸化物の生成はビタミンE無添加群では添加群よりも有意に高値を示した。
    2) ビタミンE添加群と無添加群との肝臓におけるTBA値の有意差は腎臓, 筋肉に比べ高い値を示した。
    3) 飼料中のたん白レベルを窒素で1.0%から3.0%レベルまでに変えたが肝臓のTBA値に有意な差は認められなかった。
    4) 肝臓における脂肪酸のパターンはビタミンE添加群と無添加群との間に若干の差異がみられた。すなわち, 添加群のパルミチン酸の比率は無添加群に比べ有意に低く, 逆にオレイン酸では有意の高値を示した。
    5) 血中コレステロール量および肝臓中のコレステロール量や脂質量についてはビタミンE添加群と無添加群との間に有意差は認められなかった。
    以上の結果, ビタミンEは生体内で過酸化物の生成を抑制することを認めた。
  • フェニルアラニン過剰投与シロネズミにおける14C-フェニルアラニン体内酸化と分布について
    小畠 義樹
    1978 年 36 巻 4 号 p. 165-174
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    Phe過剰投与のシロネズミの体内Pheプールの分布と代謝について調べるため, 放射性PheとTyrを用いた実験により検討を行なった。
    1) 体分のPheプールが大きいとき, 注射したL-Phe-U-14Cの酸化が促進され, 呼気14CO2の増加がみられた。また各臓器の組織たん白質への14C-Pheの取込みの割合が低下していた。尿中への14C-活性の排泄もやや増加の傾向がみられた。
    2) Tyr過剰投与においてもPhe由来の14CO2の排泄が増加した。一方Phe過剰の条件で14C-Tyr由来の14CO2の排泄も増加していたので, Phe過剰によりTyrプール増加が起こり, その代謝が促進されたものと推定した。
    3) 3週間PheまたはTyrの過剰投与後, シロネズミの体内Pheプールをできるだけ等しくした条件でも, 注射したL-Phe-U-14Cは呼気14CO2に酸化が促進されていた。特に Tyr 過剰でこの傾向が強かった。これは Tyr プールの処理に対してTyr代謝経路の酵素活性の適応が大ぎいものと推定した。
    4) chlorophenylalanine 投与により14C-Phe酸化はPhe過剰, 対照シロネズミともに低下し, 投与後5時間において14CO2排泄は対照の1/2程度であった。
    5) DL-Phe-2-14C注射ではL-Phe-U-14Cの場合と比較して, 尿中への14C-活性排泄増加がみられた。
  • 菅家 祐輔, 鈴木 和春, 五島 孜郎
    1978 年 36 巻 4 号 p. 175-179
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    白ネズミ (Wistar 系, 雄・雌) に鉄欠乏飼料を2カ月間与えて鉄欠乏性貧血を惹起させて, 大動脈結合組織の基質成分である酸性ムコ多糖 (GAG) と糖たん白 (GP) への影響を調べた。雄雌とも, 鉄欠乏食によって有意にヘモグロビン量が減少して確実な貧血状態を呈したにもかかわらず, 体重増加量は共に差がなかった。しかし, ヘモグロビンの減少度合には性差が認められ, 雄の減少の方が雌よりも大きかった。鉄欠乏群の大動脈ヘキソサミン量の変動も性によって差があり, 雄ではGPに由来すると思われる減少, 雌ではGAGのヒアルロン酸に基因するとみられる増加が認められた。このような性差の発現した原因はおそらく性ホルモンにあると思われるが, それらの発生機序や意義については, ヒアルロン酸以外のGAGやコラーゲンやエラスチンなどの他の結合組織成分の研究の結果が得られていない今の時点では不明である。
  • 唐沢 久仁子, 武藤 静子
    1978 年 36 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    ラットの酸味に対する嗜好性を Tow-bottle choice method により調べた。
    クエン酸単味溶液と脱イオン水の選択においては, 呈味溶液の選択率は20%を越えず, 濃度上昇に伴ないその摂取量および選択率は低下し, 忌避される傾向がみられた。
    甘味共存系においては, クエン酸濃度の低いところではしょ糖溶液と有意な差を認めない摂取を行ない, またその量は生理的に必要と思われる量の1.8~2.9倍であり, 選択率もほぼ100%であった。クエン酸濃度上昇に伴ない摂取量および選択率は低下したが, 最高濃度においても約40%の選択率を示した。
    塩味共存系では, クエン酸単味の場合よりは多く, しかし, 甘味共存の場合よりは少ない摂取量と選択率であった。
  • 絶食-再摂食時における無機質の肝脂質蓄積に及ぼす影響
    辻 悦子
    1978 年 36 巻 4 号 p. 187-194
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    肝脂質積積機構の解明にあたり, 絶食-再摂食系ラットを用い, しょ糖を糖質源とした飼料で無機質による影響を検討した。
    1) 無機質無添加飼料を与えたラットでは対照群に比べ肝臓総脂質, コレステロール値の減少が再び認められた。この時の血清コレステロール値は上昇していた。
    2) 無機質無添加飼料にリン酸2水素カリウム (KH2PO4) を加えると, 肝臓総脂質, コレステロール値は著しく増加した。
    3) KH2PO4と他の無機塩とを同時に添加しても, 組み合わせによる影響は認められず, KH2PO4の効果が大であった。
    4) 分子中にカリウムとリン酸を含む各種の塩をそれぞれ無機質無添加飼料に加えたところ, 肝総脂質, コレステロールはカリウムを含む塩を加えた全群で著しく増加し, カリウムが肝脂質上昇作用の主要因子と思われた。
  • 松野 信郎, 山口 迪夫, 野村 美弥
    1978 年 36 巻 4 号 p. 195-200
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 食品たん白質の全アミノ酸中の全必須アミノ酸割合 (EA%) を日本食品アミノ酸組成表から算出した。
    2) 152種の食品中最少値は19%最高値は56%であり, 動物性食品 (72種) は比較的限られた範囲内に分布し, 植物性食品 (80種) は広範囲に分布し, 一般的には動物性よりも低かった。
    3) 粗たん白質中の必須アミノ酸割合 (EAcp%) と比べ差のあるものやないものがみられたが, 全体の1/3は差がなく, 残りは2以上の差がみられた。ことに植物性食品に差の大きなものがかなりみられ, EA%>EAcp%の10以上のものは16例もあった。
    4) EA%とEAcp%との相関は+0.90であった。
    5) 日本人摂取たん白質のEA%は42~43で, EAcp%の41~42と差はなかった。
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