Phe過剰投与のシロネズミの体内Pheプールの分布と代謝について調べるため, 放射性PheとTyrを用いた実験により検討を行なった。
1) 体分のPheプールが大きいとき, 注射したL-Phe-U-
14Cの酸化が促進され, 呼気
14CO
2の増加がみられた。また各臓器の組織たん白質への
14C-Pheの取込みの割合が低下していた。尿中への
14C-活性の排泄もやや増加の傾向がみられた。
2) Tyr過剰投与においてもPhe由来の
14CO
2の排泄が増加した。一方Phe過剰の条件で
14C-Tyr由来の
14CO
2の排泄も増加していたので, Phe過剰によりTyrプール増加が起こり, その代謝が促進されたものと推定した。
3) 3週間PheまたはTyrの過剰投与後, シロネズミの体内Pheプールをできるだけ等しくした条件でも, 注射したL-Phe-U-
14Cは呼気
14CO
2に酸化が促進されていた。特に Tyr 過剰でこの傾向が強かった。これは Tyr プールの処理に対してTyr代謝経路の酵素活性の適応が大ぎいものと推定した。
4) chlorophenylalanine 投与により
14C-Phe酸化はPhe過剰, 対照シロネズミともに低下し, 投与後5時間において
14CO
2排泄は対照の1/2程度であった。
5) DL-Phe-2-
14C注射ではL-Phe-U-
14Cの場合と比較して, 尿中への
14C-活性排泄増加がみられた。
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