栄養学雑誌
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40 巻, 3 号
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  • 愛媛県小学校の栄養教育体制および同教師と教員養成大学・短大食物学教員の意識調査
    宇高 順子, 門田 なおみ
    1982 年 40 巻 3 号 p. 131-140
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    愛媛県下小学校の学校給食における栄養教育の実態と, 教師 (給食主任), 教員養成大学・短大食物学教員の意識を調査した。その結果,
    1) 小学校教師には, 学校給食を主に社会性教育の場として位置づけている者が多かった。給食の成果, 材料購入規模, 給食内容について現状肯定的に捉えている教師が多かった。
    2) 給食内容に対する小学校教師の意識と指導内容の間に矛盾がみられた。児童の食生活についての教師の問題認識や指導必要性の意識と, 学校で指導している内容との間に, ずれがみられた。これらに対して, 給食内容の不備の改善, 教師の食物専門知識付与による意識向上, 栄養士の増員, 栄養士の給食指導への参加, 指導体制の整備が必要と考えられた。
    3) 給食主任は20代女教師が多かった。栄養士の給食指導への参加校が少なかった。給食指導体制に不備を感じている教師が多かった。食物専門知識の付与の機会を望む教師が多かった。栄養士の給食指導への参加を望む教師が多かった。
    4) 食物学教員については, 学校給食に関する授業の実施者には学校給食を, 食物選択能力養成を主眼とする栄養教育, 体位・健康への直接的貢献の場として, 非実施者には主に社会性教育の場として捉える者が多かった。授業実施者は, 食物選択習慣養成などの栄養教育面の成果や栄養士の地位に対して強く憂慮していた。
    5) 教員養成大学・短大における学校給食に関する授業実施率は大学15%, 短大39%で, 対象学生が限られていた。より多くの学生を対象とした学校給食に関する授業の, 教員養成校のカリキュラムへの位置づけが嘱望された。
    6) 家庭食改善を組み込んだ給食形態, 指導体制の検討が必要と考えられた。
  • 高田 タキ
    1982 年 40 巻 3 号 p. 141-146
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高脂血症を伴わない糖尿病患者について, 高比重リポたん白コレステロールと栄養素摂取の関係を検討し, 次の結果を得た。
    1) 血清HDL-Cと食事性たん白質, 動物性たん白質ならびにコレステロール摂取量の間に有意の正の相関が成立した。
    2) 低HDL-C血症群では動物性食品の過少摂取傾向を示し, 食品別にみると卵, 魚介類の摂取量が相対的に少ないことが判明した。
    3) 血清TCおよびTC-HDL-Cと, たん白質, 動物性たん白質, コレステロール摂取量の間には相関がみられなかった。
    4) 今回の対象では動物性食品の摂取量がTCやTC-HDL-CよりもHDL-Cに反映されるという結果が得られた。今後, 低HDL-C血症症例に対し動物性食品摂取量の増加を試み, その場合の反応について検討していきたい。
  • 食事中カリウムおよび水分の推移
    中根 孝子, 大野 幸子, 増田 さく, 秋山 房雄, 安西 志保子, 小林 繁, 小出 桂三
    1982 年 40 巻 3 号 p. 147-153
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者における摂取時Kおよび水分量を正確に把握する目的で, 実際に供与した食事の調理前後におけるK, 水分量を測定し, その推移を前処理タイプごとに次のように分類して検討した。
    A1: 材料のほとんどがゆで処理可能な料理
    A2: ゆでこぼし可能な材料で調味料使用料理
    B: ゆでこぼしが一部可能またはそれ以外の前処理を行う料理
    1) 4日間の献立におけるK, 水分の調理前後の推移は, 1日平均としてKが20.4%減, 水分は1.6%増であった。
    2) 前処理タイプ別に分類: した場合のKの調理前後における増減率の平均値および標準偏差は, A1=-53.3±26.7%, A2=-31.8±23.7%, B=-11.5±16.9%であった。
    3) 水分の推移を腎臓病食品交換表による食品群別・前処理条件別に類似傾向を示すもの同士で分類するとその水分の変化は次のようになった。
    (1) ごはん・めん・パン類 (交換表1の食品) と豆類…+321.7±397.5%
    (2) 果実・種実・いも・野菜類 (交換表2, 3の食品) でゆで・しぼり可能…-28.6±10.9%
    (3) 果実・種実・いも・野菜類 (交換表2, 3の食品) でゆで・しぼり不可能…+11.2±31.5%
    (4) 魚・肉・卵・乳類 (交換表4の食品) で油を用いる…-18.4±21.6%
    (5) 魚・肉・卵・乳類 (交換表4の食品) で油を用いない…-26.9±7.8%
    以上のようにK, 水分ともにゆで処理を中心とした前処理の果たす役割は大きい。
    その際, texture, 食味などを損なわない調理条件を設定するとともに, この手法を積極的にとり入れた献立作成をすることが大切と思われる。
  • 特に制限アミノ酸の補足効果
    岩谷 昌子, 山口 迪夫, 宮崎 基嘉
    1982 年 40 巻 3 号 p. 155-162
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本実験は, 成長期ラットでみられた分離大豆たん白質に対するメチオニンとスレオニンの補足効果が, 成熟ラットにおいてもみられるか否かを検討した。
    その結果, 生物価は分離大豆たん白質そのものでは47と低かったが, メチオニンの単独添加で60, メチオニンとスレオニンの同時添加で81, 全必須アミノ酸の混合物添加で87となり, 全卵たん白質の88に近似する値が得られた。後者3つの値の間には統計的な有意差は認められなかった。
    血清成分では, メチオニンとスレオニンの同時添加でアルブミン, A/G比は上昇, 尿素-Nは減少し, いずれも分離大豆たん白区に対して有意差が認められた。また, 両アミノ酸の添加で総コレステロールの値に大きな変化がみられなかったが, HDLコレステロールは有意に上昇し, コレステロール代謝は改善されたものと推定された。これら血清成分に対して, 残り全ての必須アミノ酸の添加は有意な改善効果をもたらさなかった。
    以上の結果より, 成熟ラットに対しても, 分離大豆たん白質の第1制限アミノ酸は含硫アミノ酸, 第2制限アミノ酸はスレオニンであることが明らかにされた。
  • 松尾 真砂子
    1982 年 40 巻 3 号 p. 163-168
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    女子短大生の母親300名 (平均年齢46±4歳, 肥満者62名, 正常者238名) を対象にして, 肥満に対する意識ならびに食習慣についてアンケート調査を行い, 次の結果を得た。
    1) 肥満者が理想とする体重, 標準と考える体重, さらに肥満とみなす体重は, 全て正常者の場合より重く, しかも一般的な基準より重かった。
    2) 大部分の肥満者は自分の食事量を人並みだと思っていた。
    3) 肥満者は, 正常者に比べて果物の摂取頻度が低かった。また, 肥満度の高い者は漬け物や佃煮の摂取頻度が高かった。
    4) 肥満者は正常者に比べ, 濃い味付けを好んだ。
    5) 肥満者は料理を作る時, 栄養・健康の次に嗜好より経済に重点をおいていた。
    6) 肥満者には正常老に比べ,「イライラする」と間食をとる傾向が見うけられた。
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