栄養学雑誌
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44 巻, 5 号
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  • 鈴木 継美
    1986 年 44 巻 5 号 p. 231-241
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1) 第2次世界大戦後に行われた日本人亜鉛摂取量に関する研究を通覧した。
    2) 国民栄養調査成績に基づき, 国民平均1人1日当たり食品群別摂取量を取り上げ, マーケット・バスケット方式でなされた調査結果が, 日本人の平均摂取量として有用と考えられたが, それによると1人1日当たり9mg強という値となる。
    3) しかし, 陰膳方式でなされた比較的規模の大きな調査および同一種類の食品を多数測定した結果を考慮すると, 摂取量はかなり変動するものと思われる。なお,摂取エネルギー量別亜鉛摂取量の分布について資料がないため, 変動範囲についての推定は現状では不可能である。
    4) 今後の研究の問題点について考察した。
  • キムチに及ぼす影響
    朴 鳳阿, 甲田 道子, 松本 仲子, 菅原 龍幸
    1986 年 44 巻 5 号 p. 243-250
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    NaClにKClを20%増しに加えた食塩6種を作り, これを白菜, きゅうり, 大根のキムチに使用して, 許容されるKClの添加割合を, 成分分析, 官能検査等により検討した。
    その結果は次のとおりであった。
    1) K, Naは, 使用するK塩添加食塩中のK, Na量に比例して漬物中に浸透した。
    2) Ca, Mg, アミノ態窒素, 有機酸については, 測定値に一定の傾向が認められず, K塩添加食塩中のK量によって影響をうけることはなかった。
    3) 官能検査の結果は, 色を除いては, 全般にK量の増加に従って好まれない傾向がみられた。総合評価では, 韓国人では全試料とも100%および80%K塩添加食塩を用いたものは, NaCl100%のものに比べて1または5%危険率で有意に好まれなかった。日本人では, 60%K塩添加食塩を用いたキムチでも有意に好まれないものがあった。
    4) K塩添加食塩を使用したキムチに対する韓国人と日本人の嗜好の相関を検討した結果, 色については, 嗜好に差があることがうかがわれたが, 香り, 味, 総合評価等については, ほぼ一致する傾向がみられた。
  • 高木 恵子, 戸田 ゆり子, 大橋 邦和
    1986 年 44 巻 5 号 p. 251-256
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    塩味覚と9つの要因すなわち, 性, 年齢, 職業, 居住地域, 最近の健康状態, 官能検査日の健康状態, 空腹感, 病気, 用いた試料のだし濃度との関連について, 林の数量化理論第2類により多変量解析を行った。得られた結論は次のようである。
    1) だし濃度, 年齢, 性, 職業の4つの要因は, 塩味評価と密接に関連することがわかった。
    i) だし濃度の濃いほうが塩味を強く感じる。
    ii) 高年齢になるほど, うす塩味嗜好が強い。
    iii) 男性は女性より濃い塩味嗜好が強い。
    iv) うす塩味に慣れる訓練を受けた栄養士養成施設校の学生は, うす塩味嗜好が強い。
    2) しかしながら, 今回の調査方法によって得られた塩味評価と要因との相関は, 各被験者の属する群を判別するには不十分であった。このことから, 結果を改良するためには, 今回採用した以外の要因も含めて検討する必要があると思われる。
  • 白木 まさ子, 岩崎 奈穂美
    1986 年 44 巻 5 号 p. 257-265
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    女子・自宅生125名, 女子・下宿生105名および男子・下宿生60名を対象に, 食物摂取状況調査と食習慣および健康状態を問う調査を行い, 対象別に欠食の有無が食生活や健康状態に及ぼす影響を観察した。
    1) 所要量を満たしていない栄養素は, 女子はカルシウム (75~80%), 鉄 (60~70%) で, 男子はカルシウム (85%) である。この2つの栄養素の1,000kcal当たりの摂取量は, 女子のほうが男子よりも多い。
    2) 欠食者 (3日間のうち1回以上欠食) の割合は, 朝食は女子・自宅生11%, 女子・下宿生27%, 男子・下宿生53%, 昼食は女子・自宅生8%, 女子・下宿生7%, 男子・下宿生12%, 夕食は2~5%であった。
    3) 欠食による栄養素摂取量の低下は, 朝食で10~25%, 昼食で35%に及び, 中でも女子・下宿生は朝食を欠食した時の摂取量の低下が大きい。“3食あり”群は, 食事および間食を含めて, 質と量の面で食事の内容が充実している。
    4) 欠食者の食習慣や欠食理由から, 欠食者の不規則な食事は日常的にみられることであり, 食事に対する関心が極めて乏しいことが指摘された。
    5) 自覚症状の有無によって調査した健康状態と欠食の有無との間には, 有意の関係は見出せなかった。
  • 金澤 良枝, 中尾 俊之, 松岡 健平
    1986 年 44 巻 5 号 p. 267-275
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    糖尿病食品交換表は, 実測値と比較すると, エネルギー量の表示は正確であるが, たん白質量は実測値との誤差が大きい食品がある。一方, 腎臓病食品交換表の表示は, 実測値と比較すると, たん白質量の表示は正確であるが, エネルギー量は実測値との誤差が大きい食品がある。
    糖尿病性腎症が進行して腎不全に陥った患者の食事内容は, 血糖コントロールのためのエネルギー摂取規制の他に, 高窒素血症抑制のためたん白質量の摂取も厳密に規制する必要があるため, 本症の食事管理に際しては糖尿病食品交換表, 腎臓病食品交換表ともに不適当な面がある。そこで我々は, 糖尿病性腎不全患者の食事管理を目的とした本症患者専用の食品交換表を新たに考案した。
    今回考案した糖尿病性腎不全用食品交換表 (腎症用新食品交換表) は, 糖尿病食品交換表のうち表3, 表4, 付録を改変した。腎症用新表3は0.5単位表示, エネルギー40kcal, たん白質6gの食品で構成し, 腎症用新表4は1単位表示, エネルギー80kcal, たん白質6gの食品で構成した。腎症用新付録は糖尿病食品交換表の, 付録1, 2に載っている食品を, たん白質量別に3段階に分類し, 1単位表示, エネルギー80kcalで, 付録 (1) はたん白質0g, 付録 (2) は1g, 付録 (3) は1.5gの食品で構成した。
    非透析の糖尿病性腎不全患者の献立 (1,600kcal, たん白質35g) を, この腎症用新食品交換表と糖尿病食品交換表, 腎臓病食品交換表に基づきそれぞれ作成し, 食品成分表によるエネルギー量, たん白質量の実測値と比較したところ, 糖尿病食品交換表による献立ではたん白質量の誤差が8.6g, 腎臓病食品交換表による献立ではエネルギー量の誤差が69kcalあったが, 腎症用新食品交換表による献立ではエネルギー量が41kcal, たん白質量が1.7gの誤差で両者の中間であった。
    以上より, 今回考案した腎症用新食品交換表は, 糖尿病性腎不全患者の食事療法を行ううえで有用性が高いと考えられた。
  • 将来人口新推計と世帯変動調査
    内野 澄子
    1986 年 44 巻 5 号 p. 277-281
    発行日: 1986年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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